2015/08/31(月) - 11:05
地中海を見下ろす1級山岳でバトルを繰り広げた総合有力選手たち。ステージ優勝したトム・ドゥムランや復調を示したクリス・フルーム、序盤に落車したアレハンドロ・バルベルデらのコメントを紹介します。
ステージ優勝を飾って首位に返り咲いたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
少し調子を落としていた昨日とは違い、今日は序盤から好調だった。その結果、驚くような成績を残すことが出来たよ。急勾配区間で何とかライバルたちに食らいついて緩斜面でアタックする作戦を実行した。今日のようなステージで勝てるなんて思ってもみなかった。
間違いなく人生の中で最も良いコンディションであり、開幕時には考えられなかったポジションにいる。リーダージャージを取り戻したことを誇りに思う。これからも一日一日を確実にこなしていきたい。標高のある大きな山岳でどこまで戦えるのか分からないけど、登坂力は年々改善しているし、今は凄くよく登れている。
ジャイアント・アルペシンのクリスティアン・ギベルトー監督
アメージングでアンビリーバブルな勝利だ。昨日の時点で彼は少し調子を落としていたので、今日どんな走りが出来るのか未知数だった。でも今朝のミーティングの時点で高いモチベーションに包まれていたよ。彼自身も強かったし、サポートするチームも素晴らしかった。1回目の登坂を終えた時点でまだ3名のアシストを残していた。
リーダージャージの奪還は快感だ。グランツールで総合争いをリードするなんてファンタスティック。この先に待ち構える難関山岳ステージでは、自分たちに何が出来るのかしっかり見極めながら走りたい。
急勾配の登りでアタックしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
がっかりした。ステージ優勝のチャンスを感じたけど、ドゥムランが信じられない走りで追い抜いていった。彼の走りには脱帽だ。彼はまだ若い選手であり、輝かしい未来が待っているはずだ。
チームメイトたちの働きはファンタスティックだった。ニコラス・ロッシュ、ミケル・ニエベ、セルジオ・エナオモントーヤに自分を加えたクライマー4人で集団先頭を走り、パーフェクトなポジションで登坂を開始した。彼らの働きには感謝してもしきれない。
とにかく全力を尽くした。登りの前半をコンサバティブに走って力を温存し、勝負の後半に備えたんだ。結果はともあれステージ優勝争いに絡めたし、タイムを失わずに済んだので良かったよ。
ステージ3位に入ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
登りの麓ではモビスターが主導権を握ったものの、一旦ペースが落ちたところでドゥムランが巧妙なペースコントロールで飛び出した。彼の姿は常に視界に入っていたし、パニックにはならなかった。登り自体も厳しかったし、驚くほど強力なドゥムランの走りがレースを厳しくした。
ステージ優勝争いが始まったとき、フルームのアタックに反応したものの届かず。代わりにドゥムランがフルームに追いついて勝利した。ステージ優勝には届かなかったものの、自分のパフォーマンスには満足している。平常心をもって走り続ければきっとまたチャンスがやってくる。
最優先事項である総合争いは順調だ。ドゥムランが最大のライバルになるとは思っていない。来週以降のステージで徐々に明らかになっていく。バルベルデはタイムを失ったけど侮れない存在だ。
ステージ5位に入ったラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
今日は本調子ではなかったのでチームメイトに頼んでポジション取りしてもらい、集団先頭で最後の登りに突入。(残り1kmで)早めに仕掛けて先行しておく作戦だったけど、急勾配が延々と続いたので、フィニッシュまでの距離がどんなに長いと感じたことか。残り700mの時点ではまだ先行していたものの、ステージ優勝には届かないと分かっていた。過去数日間感じていた調子の良さを感じることが出来なかった。
でもステージ5位に入ることができ、総合トップ10に浮上したので結果オーライだ。次に待つのは(第11ステージの)アンドラから始まる後半戦。これまでとは話が異なる距離の長い山岳が幾つも残っている。ここまでの走りには満足しているし、チームメイトたちは今日もパーフェクトな走りでサポートしてくれた。誰もが経験するというバッドデーを今日経験したよ。
レース序盤に落車したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
言い訳をするのは嫌いだけど、(34km地点の)落車はもっと悪い結果になり得た。リタイアも頭をよぎったほどで、今からすぐに病院に向かって検査を受けるよ。落車で打ち付けた肩が腫れ上がっていて痛むんだ。鎖骨は折れていないと思う。もし骨折していたらナイフで刺されたような痛みを感じるはずで、再スタートは不可能だから。
今日はライバルたちから遅れをとらないことに専念した。先陣を切ってアタックして脚の調子を確認。チームの走りは素晴らしかったものの、脚は思うように動かなかった。落車を考慮するとこれ以上の結果は望めなかった。大きくタイムを失わなかったので満足している。早くこの肩の痛みを和らげたい。
ステージ6位に入ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
今日のフィニッシュは自分にとって今大会一番の鬼門だった。ホアキン・ロドリゲスが得意とするような短くて急勾配な登り。自分に出来ることは守りの走りに徹することだった。ルーラーでTTスペシャリストのドゥムランの走りには驚いたよ。彼が総合争いにおいて危険な存在であることが明らかになった。フルームも強力だったけど、チャベスとロドリゲス、アルは輝きを見せなかった。次は(第11ステージの)アンドラの戦い。誰が強いのかがアンドラで鮮明になるはずだ。
59秒遅れてマイヨロホを失ったエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
溜まっていた疲労が響き、残念な結果になってしまった。フィニッシュまで700mを残してライバルたちから脱落。今日のトム・ドゥムランは本当に強かった。身体は疲れている。レッドジャージを獲得したその日から、ジャージキープのために全力で走ってきた。今日もまたチームメイトたちに大きな感謝の言葉を送りたい。ブエルタは中盤戦に差し掛かったばかり。これからもチームは戦っていく。
逃げて山岳賞ジャージをキープしたオマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
今朝起きた時から心身ともに準備は整っていた。山岳賞ジャージを守るためには何としても逃げに乗って山岳ポイントを稼ぐ必要があったんだ。2級山岳では出遅れてしまったけど、パワーメーターの表示を見ながら出し切らないように走って合流。逃げ切りの可能性が低いと感じたので完全に山岳ポイントにフォーカスし、それを達成した。たった5ポイントだったけど価値ある逃げだった。力を尽くしたので明日は休養するよ。
暑さの中、アシストに徹した新城幸也(ユーロップカー)
足の調子はだいぶ良かったが、暑さで頭痛がひどい。落車はみんな大きな怪我がなくてよかった。
コースプロフィール以上のきつさの登りがあったり、これもまたブエルタなのだと思った。これまで5回グランツールを経験してきても、ブエルタは慣れないことばかりで疲労度も大きいが、脚の調子はいいので、後半に向けてコンディションを上げていく。
選手コメントはチーム公式サイトならびにTeamユキヤ通信より。
text:Kei Tsuji
ステージ優勝を飾って首位に返り咲いたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
少し調子を落としていた昨日とは違い、今日は序盤から好調だった。その結果、驚くような成績を残すことが出来たよ。急勾配区間で何とかライバルたちに食らいついて緩斜面でアタックする作戦を実行した。今日のようなステージで勝てるなんて思ってもみなかった。
間違いなく人生の中で最も良いコンディションであり、開幕時には考えられなかったポジションにいる。リーダージャージを取り戻したことを誇りに思う。これからも一日一日を確実にこなしていきたい。標高のある大きな山岳でどこまで戦えるのか分からないけど、登坂力は年々改善しているし、今は凄くよく登れている。
ジャイアント・アルペシンのクリスティアン・ギベルトー監督
アメージングでアンビリーバブルな勝利だ。昨日の時点で彼は少し調子を落としていたので、今日どんな走りが出来るのか未知数だった。でも今朝のミーティングの時点で高いモチベーションに包まれていたよ。彼自身も強かったし、サポートするチームも素晴らしかった。1回目の登坂を終えた時点でまだ3名のアシストを残していた。
リーダージャージの奪還は快感だ。グランツールで総合争いをリードするなんてファンタスティック。この先に待ち構える難関山岳ステージでは、自分たちに何が出来るのかしっかり見極めながら走りたい。
急勾配の登りでアタックしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
がっかりした。ステージ優勝のチャンスを感じたけど、ドゥムランが信じられない走りで追い抜いていった。彼の走りには脱帽だ。彼はまだ若い選手であり、輝かしい未来が待っているはずだ。
チームメイトたちの働きはファンタスティックだった。ニコラス・ロッシュ、ミケル・ニエベ、セルジオ・エナオモントーヤに自分を加えたクライマー4人で集団先頭を走り、パーフェクトなポジションで登坂を開始した。彼らの働きには感謝してもしきれない。
とにかく全力を尽くした。登りの前半をコンサバティブに走って力を温存し、勝負の後半に備えたんだ。結果はともあれステージ優勝争いに絡めたし、タイムを失わずに済んだので良かったよ。
ステージ3位に入ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
登りの麓ではモビスターが主導権を握ったものの、一旦ペースが落ちたところでドゥムランが巧妙なペースコントロールで飛び出した。彼の姿は常に視界に入っていたし、パニックにはならなかった。登り自体も厳しかったし、驚くほど強力なドゥムランの走りがレースを厳しくした。
ステージ優勝争いが始まったとき、フルームのアタックに反応したものの届かず。代わりにドゥムランがフルームに追いついて勝利した。ステージ優勝には届かなかったものの、自分のパフォーマンスには満足している。平常心をもって走り続ければきっとまたチャンスがやってくる。
最優先事項である総合争いは順調だ。ドゥムランが最大のライバルになるとは思っていない。来週以降のステージで徐々に明らかになっていく。バルベルデはタイムを失ったけど侮れない存在だ。
ステージ5位に入ったラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
今日は本調子ではなかったのでチームメイトに頼んでポジション取りしてもらい、集団先頭で最後の登りに突入。(残り1kmで)早めに仕掛けて先行しておく作戦だったけど、急勾配が延々と続いたので、フィニッシュまでの距離がどんなに長いと感じたことか。残り700mの時点ではまだ先行していたものの、ステージ優勝には届かないと分かっていた。過去数日間感じていた調子の良さを感じることが出来なかった。
でもステージ5位に入ることができ、総合トップ10に浮上したので結果オーライだ。次に待つのは(第11ステージの)アンドラから始まる後半戦。これまでとは話が異なる距離の長い山岳が幾つも残っている。ここまでの走りには満足しているし、チームメイトたちは今日もパーフェクトな走りでサポートしてくれた。誰もが経験するというバッドデーを今日経験したよ。
レース序盤に落車したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
言い訳をするのは嫌いだけど、(34km地点の)落車はもっと悪い結果になり得た。リタイアも頭をよぎったほどで、今からすぐに病院に向かって検査を受けるよ。落車で打ち付けた肩が腫れ上がっていて痛むんだ。鎖骨は折れていないと思う。もし骨折していたらナイフで刺されたような痛みを感じるはずで、再スタートは不可能だから。
今日はライバルたちから遅れをとらないことに専念した。先陣を切ってアタックして脚の調子を確認。チームの走りは素晴らしかったものの、脚は思うように動かなかった。落車を考慮するとこれ以上の結果は望めなかった。大きくタイムを失わなかったので満足している。早くこの肩の痛みを和らげたい。
ステージ6位に入ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
今日のフィニッシュは自分にとって今大会一番の鬼門だった。ホアキン・ロドリゲスが得意とするような短くて急勾配な登り。自分に出来ることは守りの走りに徹することだった。ルーラーでTTスペシャリストのドゥムランの走りには驚いたよ。彼が総合争いにおいて危険な存在であることが明らかになった。フルームも強力だったけど、チャベスとロドリゲス、アルは輝きを見せなかった。次は(第11ステージの)アンドラの戦い。誰が強いのかがアンドラで鮮明になるはずだ。
59秒遅れてマイヨロホを失ったエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
溜まっていた疲労が響き、残念な結果になってしまった。フィニッシュまで700mを残してライバルたちから脱落。今日のトム・ドゥムランは本当に強かった。身体は疲れている。レッドジャージを獲得したその日から、ジャージキープのために全力で走ってきた。今日もまたチームメイトたちに大きな感謝の言葉を送りたい。ブエルタは中盤戦に差し掛かったばかり。これからもチームは戦っていく。
逃げて山岳賞ジャージをキープしたオマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
今朝起きた時から心身ともに準備は整っていた。山岳賞ジャージを守るためには何としても逃げに乗って山岳ポイントを稼ぐ必要があったんだ。2級山岳では出遅れてしまったけど、パワーメーターの表示を見ながら出し切らないように走って合流。逃げ切りの可能性が低いと感じたので完全に山岳ポイントにフォーカスし、それを達成した。たった5ポイントだったけど価値ある逃げだった。力を尽くしたので明日は休養するよ。
暑さの中、アシストに徹した新城幸也(ユーロップカー)
足の調子はだいぶ良かったが、暑さで頭痛がひどい。落車はみんな大きな怪我がなくてよかった。
コースプロフィール以上のきつさの登りがあったり、これもまたブエルタなのだと思った。これまで5回グランツールを経験してきても、ブエルタは慣れないことばかりで疲労度も大きいが、脚の調子はいいので、後半に向けてコンディションを上げていく。
選手コメントはチーム公式サイトならびにTeamユキヤ通信より。
text:Kei Tsuji
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