2009/09/12(土) - 10:44
ブエルタの総合争いにおける最大の舞台、それが第12ステージから始まる超級山岳の山頂フィニッシュ3連戦。初日の超級山岳ベレフィケ峠は、序盤から逃げに乗ったライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン)が生き抜いて優勝。カナダ人初のブエルタステージ勝者に輝いた。
休息日明けの第12ステージは、序盤から1級山岳ベレフィケ峠、1級山岳カラール・アルト、3級山岳カストロ・デ・フィラブレス峠、超級山岳ベレフィケ峠と、難関峠が連続する本格山岳ステージ。合計2回登場するベレフィケ峠は登坂距離13.3km・平均勾配7.5%だ。
この日は前々日の第11ステージで優勝を飾ったタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)やリーナス・ゲルデマン(ドイツ、ミルラム)がスタートせず。曇り空のアルメリアをスタートした大集団は、アタックと吸収を繰り返しながら山岳地帯へ。27km地点でようやく逃げが決まった。
逃げに乗ったのは、すでに総合で大きく遅れているアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)や、山岳賞ランキング5位のフリアン・サンチェス(スペイン、コンテントポリス・アンポ)ら12名。
オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)やボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ)を始めとするスプリンターたちも乗り込んだこの逃げグループは、メイン集団から最大8分のアドバンテージを稼ぎ出した。
逃げグループの中で最も積極的に山岳ポイントを狙ったのは、山岳賞ランキング7位のハビエル・ラミレス(スペイン、アンダルシア)。山岳賞ジャージを守りたいコフィディスは刺客として2名(エルファレスとフェルナンデス)を逃げに送り込み、フェルナンデスが1級山岳ベレフィケ峠を先頭通過したが、残るカテゴリー山岳ではラミレスがポイントを稼いだ。
総合成績を諦め、完全にステージ優勝に的を絞っていたヴィノクロフ。しかし2つ目の1級山岳カラール・アルトで先頭グループから脱落し、メイン集団に吸収された。ヴィノはゴールまで辿り着くこと無く、チームメイトのホセルイス・ルビエラ(スペイン)とともにリタイアを選択。2006年大会覇者がレースを去った。
メイン集団はマイヨオロ擁するケースデパーニュが終始コントロールし、逃げグループとのタイム差を5分まで詰めてこの日最後の超級山岳ベレフィケ峠へ。先頭グループからこのベレフィケ峠を前に飛び出したのはダビド・ガルシア(スペイン、シャコベオ・ガリシア)。ガルシアは最大45秒のリードを得て、独走でベレフィケ峠を駆け上がった。
向かい風が吹き付けたため、総合上位陣は牽制気味。そんなメイン集団からラスト6km地点でダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)が様子見のアタックで飛び出したが成功せず。ラスト5km地点で満を持して飛び出したのは、レース前に「もし脚が反応するなら、タイムを挽回するチャンスはいくらでもある」と語っていたエセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)だった。
メイン集団ではラスト2kmを切ってからロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が飛び出すと、猛烈なペースでライバルを引き千切ってモスケラに合流。先頭では粘り強く追走していたヘジダルがガルシアに合流し、2人で協力してメイン集団を引き離しながらゴールへ。
ステージ優勝目がけてペースを上げ続けるヘーシンクとモスケラ。しかしその前ではガルシアをスプリントで下したヘジダルがガッツポーズ!ガーミンが2ステージ連続で優勝を飾った。
獲得標高差3500mオーバーの難ステージを制したヘジダルは「厳しいステージだった。いつでも休息日後のステージは何が起こるか分からないからね」と、レース後のインタビューで振り返る。カナダ人選手としてはブエルタ初、グランツールでは1988年ツールのスティーブ・バウアー以来の勝利を、超級山岳で成し遂げた。
MTB出身選手のヘジダルはカナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州の州都ヴィクトリア出身の28歳。U23時代の2001年にMTB世界選手権2位の成績を残したヘジダルは、2004年にUSポスタルでプロデビュー。ディスカバリーチャンネル、フォナック、ヘルス・ネットを渡り歩き、昨年ガーミンに合流した。2007年には現チームメイトで昨年世界選手権TT2位のスヴェイン・タフトを破ってカナダのTTチャンピオンに輝いている。
山岳3連戦の初日、総合上位陣の中でタイム差を稼いだのはヘーシンクだけだった。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)がマイヨオロを守ったが、ヘーシンクがタイム差10秒&ボーナスタイムによりバルベルデとのタイム差を18秒まで詰めている。
選手コメントはレース後インタビュー、レース公式サイトより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2009第12ステージ結果
1位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン)5h34'31"
2位 ダビド・ガルシア(スペイン、シャコベオ・ガリシア)+01"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+06"
4位 エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)
5位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)+16"
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
8位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)
9位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン)
10位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)
マイヨオロ(個人総合成績)
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)51h12'38"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)+07"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+18"
4位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン)+51"
5位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)+53"
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)+1'03"
7位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)+2'13"
8位 エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)+2'14"
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、アスタナ)+3'53"
10位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ)+4'01"
モンターニャ(山岳賞)
1位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)86pts
2位 ダビ・デラフエンテ(スペイン、フジ・セルヴェット)72pts
3位 フリアン・サンチェス(スペイン、コンテントポリス・アンポ)59pts
プントス(ポイント賞)
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームコロンビア・HTC)99pts
2位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)75pts
3位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ)66pts
コンビナーダ(複合賞)
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)18pts
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)19pts
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)21pts
チーム総合成績
1位 ケースデパーニュ 153h40'10"
2位 アスタナ +9'43"
3位 フジ・セルヴェット +12'53"
リタイア(DNS=未出走・DNF=途中リタイア)
DNS タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)
DNS ヴィタリー・ブッツ(ウクライナ、ランプレ)
DNS リーナス・ゲルデマン(ドイツ、ミルラム)
DNS マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)
DNS アルベルト・フェルナンデス(スペイン、シャコベオ・ガリシア)
DNF ホセルイス・ルビエラ(スペイン、アスタナ)
DNF アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)
DNF ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)
DNF フランチェスコ・トメイ(イタリア、ランプレ)
DNF ポール・マルテンス(ドイツ、ラボバンク)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic
休息日明けの第12ステージは、序盤から1級山岳ベレフィケ峠、1級山岳カラール・アルト、3級山岳カストロ・デ・フィラブレス峠、超級山岳ベレフィケ峠と、難関峠が連続する本格山岳ステージ。合計2回登場するベレフィケ峠は登坂距離13.3km・平均勾配7.5%だ。
この日は前々日の第11ステージで優勝を飾ったタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)やリーナス・ゲルデマン(ドイツ、ミルラム)がスタートせず。曇り空のアルメリアをスタートした大集団は、アタックと吸収を繰り返しながら山岳地帯へ。27km地点でようやく逃げが決まった。
逃げに乗ったのは、すでに総合で大きく遅れているアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)や、山岳賞ランキング5位のフリアン・サンチェス(スペイン、コンテントポリス・アンポ)ら12名。
オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)やボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ)を始めとするスプリンターたちも乗り込んだこの逃げグループは、メイン集団から最大8分のアドバンテージを稼ぎ出した。
逃げグループの中で最も積極的に山岳ポイントを狙ったのは、山岳賞ランキング7位のハビエル・ラミレス(スペイン、アンダルシア)。山岳賞ジャージを守りたいコフィディスは刺客として2名(エルファレスとフェルナンデス)を逃げに送り込み、フェルナンデスが1級山岳ベレフィケ峠を先頭通過したが、残るカテゴリー山岳ではラミレスがポイントを稼いだ。
総合成績を諦め、完全にステージ優勝に的を絞っていたヴィノクロフ。しかし2つ目の1級山岳カラール・アルトで先頭グループから脱落し、メイン集団に吸収された。ヴィノはゴールまで辿り着くこと無く、チームメイトのホセルイス・ルビエラ(スペイン)とともにリタイアを選択。2006年大会覇者がレースを去った。
メイン集団はマイヨオロ擁するケースデパーニュが終始コントロールし、逃げグループとのタイム差を5分まで詰めてこの日最後の超級山岳ベレフィケ峠へ。先頭グループからこのベレフィケ峠を前に飛び出したのはダビド・ガルシア(スペイン、シャコベオ・ガリシア)。ガルシアは最大45秒のリードを得て、独走でベレフィケ峠を駆け上がった。
向かい風が吹き付けたため、総合上位陣は牽制気味。そんなメイン集団からラスト6km地点でダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)が様子見のアタックで飛び出したが成功せず。ラスト5km地点で満を持して飛び出したのは、レース前に「もし脚が反応するなら、タイムを挽回するチャンスはいくらでもある」と語っていたエセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)だった。
メイン集団ではラスト2kmを切ってからロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が飛び出すと、猛烈なペースでライバルを引き千切ってモスケラに合流。先頭では粘り強く追走していたヘジダルがガルシアに合流し、2人で協力してメイン集団を引き離しながらゴールへ。
ステージ優勝目がけてペースを上げ続けるヘーシンクとモスケラ。しかしその前ではガルシアをスプリントで下したヘジダルがガッツポーズ!ガーミンが2ステージ連続で優勝を飾った。
獲得標高差3500mオーバーの難ステージを制したヘジダルは「厳しいステージだった。いつでも休息日後のステージは何が起こるか分からないからね」と、レース後のインタビューで振り返る。カナダ人選手としてはブエルタ初、グランツールでは1988年ツールのスティーブ・バウアー以来の勝利を、超級山岳で成し遂げた。
MTB出身選手のヘジダルはカナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州の州都ヴィクトリア出身の28歳。U23時代の2001年にMTB世界選手権2位の成績を残したヘジダルは、2004年にUSポスタルでプロデビュー。ディスカバリーチャンネル、フォナック、ヘルス・ネットを渡り歩き、昨年ガーミンに合流した。2007年には現チームメイトで昨年世界選手権TT2位のスヴェイン・タフトを破ってカナダのTTチャンピオンに輝いている。
山岳3連戦の初日、総合上位陣の中でタイム差を稼いだのはヘーシンクだけだった。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)がマイヨオロを守ったが、ヘーシンクがタイム差10秒&ボーナスタイムによりバルベルデとのタイム差を18秒まで詰めている。
選手コメントはレース後インタビュー、レース公式サイトより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2009第12ステージ結果
1位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン)5h34'31"
2位 ダビド・ガルシア(スペイン、シャコベオ・ガリシア)+01"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+06"
4位 エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)
5位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)+16"
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
8位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)
9位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン)
10位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)
マイヨオロ(個人総合成績)
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)51h12'38"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)+07"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+18"
4位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン)+51"
5位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)+53"
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)+1'03"
7位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)+2'13"
8位 エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)+2'14"
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、アスタナ)+3'53"
10位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ)+4'01"
モンターニャ(山岳賞)
1位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)86pts
2位 ダビ・デラフエンテ(スペイン、フジ・セルヴェット)72pts
3位 フリアン・サンチェス(スペイン、コンテントポリス・アンポ)59pts
プントス(ポイント賞)
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームコロンビア・HTC)99pts
2位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)75pts
3位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ)66pts
コンビナーダ(複合賞)
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)18pts
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)19pts
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)21pts
チーム総合成績
1位 ケースデパーニュ 153h40'10"
2位 アスタナ +9'43"
3位 フジ・セルヴェット +12'53"
リタイア(DNS=未出走・DNF=途中リタイア)
DNS タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)
DNS ヴィタリー・ブッツ(ウクライナ、ランプレ)
DNS リーナス・ゲルデマン(ドイツ、ミルラム)
DNS マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)
DNS アルベルト・フェルナンデス(スペイン、シャコベオ・ガリシア)
DNF ホセルイス・ルビエラ(スペイン、アスタナ)
DNF アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)
DNF ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)
DNF フランチェスコ・トメイ(イタリア、ランプレ)
DNF ポール・マルテンス(ドイツ、ラボバンク)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic
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