2014/11/04(火) - 09:27
欧米におけるグラベルライディングブームを受け、いよいよパナレーサーから専用のタイヤラインナップ「Gravel King」が発売された。今回はロードバイク向け最ワイドモデルの28cと、ブロックパターンのCXバイク向け32cをインプレッション。
ディスクブレーキを搭載し、ワイドタイヤを装着可能としたロードバイクの増加やシクロクロスブーム、そして欧米から入ってきた「グラベルグラインダー」というカテゴリーの認知によって少しずつ流行の兆しをみせてきた未舗装路(グラベル)ツーリング。そうしたムーブメントに向けパナレーサーから発売されたのが紹介する「グラベルキング」シリーズである。
思いのままに未舗装路を走ることに楽しみを見出すライダーのためのグラベルキング。ラインナップはタイヤ幅別に23c、26c、28c、32cという4種類が存在し、23c、26c、28cはロードバイク用、32cはブロックパターンを設けたCX/グラベルロード向けと区別されている。今回は28cをロードバイクに、32cをCXバイクにセットしてテストを行った。
優れた安定感を持つ28c 未舗装路をいとわないタフネスタイヤ
まずはロードバイク向けの28cから見ていこう。こちらは2013年から発売されているロングライド用の"TOURER PLUS Brevet edition"をベースとしたモデルで、基本的な構造はほぼ同様。コンセプトは「ロードバイクで安心してダートツーリングが楽しめるロードタイヤ」だ。
ホイールに装着してエアを充填してみると、接地部分の形状がコンペティション向けの"Race"シリーズとは異なる扁平に近いラウンド形状であることに気づく。これは回頭性を意識してセンター部分を尖らせたRaceとは違い、接地面積を稼いで安定感を高めるための構造だ。
28cという大ボリュームと相まって、実際にバイクを走らせると面白いほど直進安定性が強いことに驚かされる。バイクが直立しようとする「立ち」が大きいため、特に何の注意も払っていなくとも、多少の凹凸があってもハンドルが振られることがない。150km、200km、250km...と距離を重ねるほどにこの安定感はメリットとなることだろう。
空気圧は体重64kgの筆者で4.5bar(舗装もグラベルも走る場合)がベスト。最初は6気圧でスタートしたところエアボリュームが大きく舗装のざらついた幹線道路では跳ねが目立ってしまったが、5bar以下なら硬さが出ずに乗りやすかった。低めに設定しても嫌な腰砕けが無くケーシングの剛性が高いことも手伝って、柔らかいクロモリフレームに乗っているかのような踏み込んだ後の"戻り"を味わえる。
グラベルではかなり武器になる。さすがにスリッピーな泥や粘土には太刀打ちできないが、ドライや湿り気のある硬いダート上では接地面積の広さが効いているのか、一般のロードタイヤとは一線を画す安心感。タイヤそのものの厚みも手伝ってリム打ちの心配が少ないのもグッドポイントだ。
ただし直進時の安定感に特化したことで、切れ込み量が少ないためコーナー手前では「曲がるぞ!」と一拍子置く必要があったり、トレッドパターンによるものかコーナリング中のグリップ感もRaceと比べてやや劣ったりというデメリットもある。ヒラヒラとバイクを操りたい方には重たさを感じてしまうが、それでも従来の28cタイヤと比べれば転がりの軽さも大幅に改善されている。グラベルキングというネーミングイメージとは違ってしまうが、日々の通勤通学やロングライドにもうってつけだろう。
圧倒的な走りの軽さが特徴の32c CXレースでも使える実力派
新規に登場した32cは、背が低く目が詰まったブロックパターンを外観の特徴に持つ。コンパウンドは28cと同様に耐カット性、耐摩耗性を向上させた「ZSGナチュラルコンパウンド」で、指で触ってみるとトレッドのノブもかなりしなやかだ。
まず最初から断っておくが、ブロックパターンからこのタイヤを「普通のシクロクロスタイヤでしょ」と思ってはいけない。ダートでのグリップを最大限に考えたCXタイヤは舗装路ではどうしても重たさが目立ってしまうが、このグラベルキング32cは特徴的なパターンによって転がりが圧倒的に低く、ロードタイヤにかなり近いレベルにまで到達していると感じる。
舗装路のコーナーで倒し込んでも嫌な潰れ方をしないためナチュラルなラインをトレースでき、乗り味も柔らかすぎず、かといって硬すぎず。下手なシクロクロス用チューブレス/チューブラータイヤを軽々と越えるほどの上質な乗り味を楽しむことができた。
ダートに突入しても軽い走行感はそのまま変わることが無く、芝生や固めのドライ路面では高級チューブラーに迫るほどの走り。ノブの低さや32cという細さからスリッピーな路面やタイヤがもぐる泥・砂こそ不得意だが、ドライコンディションでは十分にレース用タイヤとして使えるだけの力がある。
試しに1.0barまで落としても腰が抜け切らず、私のオフロードでのベストは1.5bar。舗装路と未舗装路をミックスしたツーリングに使うのであれば、2〜2.5barといったところだろうか。
またノブの目が詰まっていることで接地面積が大きく、シクロクロスタイヤと比較してロングライフにも期待できる。またこれによってダート区間で詰まった泥のタイヤ離れも比較的速いとというメリットもあった。
オンロードで軽く、未舗装路ではシクロクロスタイヤとしても十分に武器になるグラベルキング32c。ダートツーリングが大好きだけれど、繋ぎの舗装路区間がネック…と悩んでいた方は決して少数ではないだろうし、そんな方にとっては自信を持ってオススメしたい。多様なライディングスタイルを幅広くカバーできる、一歩進んだマルチパーパスタイヤだ。
パナレーサー GravelKing
サイズ:23C、26C、28C、32C
重量:258g(28C、実測値)、324g(32C、実測値)
推奨空気圧:700~875kPa(23C)、735kPa(26C、28C)、200~650kPa(32C)
カラー:黒/黒オープン、黒/茶オープン
価格:4,858円(税別)、5,191円(税別、32C)
text&photo:So.Isobe
ディスクブレーキを搭載し、ワイドタイヤを装着可能としたロードバイクの増加やシクロクロスブーム、そして欧米から入ってきた「グラベルグラインダー」というカテゴリーの認知によって少しずつ流行の兆しをみせてきた未舗装路(グラベル)ツーリング。そうしたムーブメントに向けパナレーサーから発売されたのが紹介する「グラベルキング」シリーズである。
思いのままに未舗装路を走ることに楽しみを見出すライダーのためのグラベルキング。ラインナップはタイヤ幅別に23c、26c、28c、32cという4種類が存在し、23c、26c、28cはロードバイク用、32cはブロックパターンを設けたCX/グラベルロード向けと区別されている。今回は28cをロードバイクに、32cをCXバイクにセットしてテストを行った。
優れた安定感を持つ28c 未舗装路をいとわないタフネスタイヤ
まずはロードバイク向けの28cから見ていこう。こちらは2013年から発売されているロングライド用の"TOURER PLUS Brevet edition"をベースとしたモデルで、基本的な構造はほぼ同様。コンセプトは「ロードバイクで安心してダートツーリングが楽しめるロードタイヤ」だ。
ホイールに装着してエアを充填してみると、接地部分の形状がコンペティション向けの"Race"シリーズとは異なる扁平に近いラウンド形状であることに気づく。これは回頭性を意識してセンター部分を尖らせたRaceとは違い、接地面積を稼いで安定感を高めるための構造だ。
28cという大ボリュームと相まって、実際にバイクを走らせると面白いほど直進安定性が強いことに驚かされる。バイクが直立しようとする「立ち」が大きいため、特に何の注意も払っていなくとも、多少の凹凸があってもハンドルが振られることがない。150km、200km、250km...と距離を重ねるほどにこの安定感はメリットとなることだろう。
空気圧は体重64kgの筆者で4.5bar(舗装もグラベルも走る場合)がベスト。最初は6気圧でスタートしたところエアボリュームが大きく舗装のざらついた幹線道路では跳ねが目立ってしまったが、5bar以下なら硬さが出ずに乗りやすかった。低めに設定しても嫌な腰砕けが無くケーシングの剛性が高いことも手伝って、柔らかいクロモリフレームに乗っているかのような踏み込んだ後の"戻り"を味わえる。
グラベルではかなり武器になる。さすがにスリッピーな泥や粘土には太刀打ちできないが、ドライや湿り気のある硬いダート上では接地面積の広さが効いているのか、一般のロードタイヤとは一線を画す安心感。タイヤそのものの厚みも手伝ってリム打ちの心配が少ないのもグッドポイントだ。
ただし直進時の安定感に特化したことで、切れ込み量が少ないためコーナー手前では「曲がるぞ!」と一拍子置く必要があったり、トレッドパターンによるものかコーナリング中のグリップ感もRaceと比べてやや劣ったりというデメリットもある。ヒラヒラとバイクを操りたい方には重たさを感じてしまうが、それでも従来の28cタイヤと比べれば転がりの軽さも大幅に改善されている。グラベルキングというネーミングイメージとは違ってしまうが、日々の通勤通学やロングライドにもうってつけだろう。
圧倒的な走りの軽さが特徴の32c CXレースでも使える実力派
新規に登場した32cは、背が低く目が詰まったブロックパターンを外観の特徴に持つ。コンパウンドは28cと同様に耐カット性、耐摩耗性を向上させた「ZSGナチュラルコンパウンド」で、指で触ってみるとトレッドのノブもかなりしなやかだ。
まず最初から断っておくが、ブロックパターンからこのタイヤを「普通のシクロクロスタイヤでしょ」と思ってはいけない。ダートでのグリップを最大限に考えたCXタイヤは舗装路ではどうしても重たさが目立ってしまうが、このグラベルキング32cは特徴的なパターンによって転がりが圧倒的に低く、ロードタイヤにかなり近いレベルにまで到達していると感じる。
舗装路のコーナーで倒し込んでも嫌な潰れ方をしないためナチュラルなラインをトレースでき、乗り味も柔らかすぎず、かといって硬すぎず。下手なシクロクロス用チューブレス/チューブラータイヤを軽々と越えるほどの上質な乗り味を楽しむことができた。
ダートに突入しても軽い走行感はそのまま変わることが無く、芝生や固めのドライ路面では高級チューブラーに迫るほどの走り。ノブの低さや32cという細さからスリッピーな路面やタイヤがもぐる泥・砂こそ不得意だが、ドライコンディションでは十分にレース用タイヤとして使えるだけの力がある。
試しに1.0barまで落としても腰が抜け切らず、私のオフロードでのベストは1.5bar。舗装路と未舗装路をミックスしたツーリングに使うのであれば、2〜2.5barといったところだろうか。
またノブの目が詰まっていることで接地面積が大きく、シクロクロスタイヤと比較してロングライフにも期待できる。またこれによってダート区間で詰まった泥のタイヤ離れも比較的速いとというメリットもあった。
オンロードで軽く、未舗装路ではシクロクロスタイヤとしても十分に武器になるグラベルキング32c。ダートツーリングが大好きだけれど、繋ぎの舗装路区間がネック…と悩んでいた方は決して少数ではないだろうし、そんな方にとっては自信を持ってオススメしたい。多様なライディングスタイルを幅広くカバーできる、一歩進んだマルチパーパスタイヤだ。
パナレーサー GravelKing
サイズ:23C、26C、28C、32C
重量:258g(28C、実測値)、324g(32C、実測値)
推奨空気圧:700~875kPa(23C)、735kPa(26C、28C)、200~650kPa(32C)
カラー:黒/黒オープン、黒/茶オープン
価格:4,858円(税別)、5,191円(税別、32C)
text&photo:So.Isobe
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