雨の山岳地帯で行なわれたツール・ド・ポローニュ第5ステージは、最後のカテゴリー山岳で飛び出した6名での勝負を制したアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)が優勝。今シーズン初勝利を飾った世界チャンピオンは一躍総合首位に立ち、リーダージャージに袖を通した。

アップダウンが続く雨のコースでアタックがかかるアップダウンが続く雨のコースでアタックがかかる photo:www.tourdepologne.pl第5ステージはスロバキアの国境に近い山岳地帯に突入した。終盤にカテゴリー山岳を含むクリニカ・ズルドイの周回コースが設定されており、1級と2級のカテゴリー山岳が合計8つ登場する。最後の2級山岳はゴールの僅か3km手前だ。

レース3分の1消化後に先頭で形成されたのは、パヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ)やマシュー・ゴス(オーストラリア、サクソバンク)を含む6名の逃げグループ。山岳周回コースで山岳ポイントを量産したブラットは山岳賞ランキングトップに立った。

逃げを試みたパヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ)ら逃げを試みたパヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ)ら photo:www.tourdepologne.plしかしランプレとリクイガスの集団コントロールによって逃げグループは敢え無く吸収。マルツィオ・ブルセギン(イタリア)やマヌエーレ・モーリ(イタリア)らランプレ勢が積極的に集団を牽いて終盤の山岳へ。縮小したメイン集団から、最後の上りで満を持したバッランが飛び出した。

バッランにはシルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス)ら5名が合流し、6名で頂上をクリアするとそのままゴールまでダウンヒル。降りしきる雨の中、6名によるスプリント勝負をバッランが制した。

ランプレがコントロールするメイン集団ランプレがコントロールするメイン集団 photo:www.tourdepologne.pl昨年地元イタリア・ヴァレーゼで開催されたロード世界選手権で優勝したバッランは、アルカンシェル(世界チャンピオンジャージ)を着ての初勝利。シーズン序盤にウイルス性感染症(サイトメガロウイルス)を患っていることが判明し、得意のクラシックレースやジロ・デ・イタリアを棒に振った。ツール・ド・フランスでは何度かアタックする積極性を見せ、復調をアピールしていた。

メイン集団は15秒遅れでゴールしたため、バッランは集団とのタイム差&ボーナスタイムによって総合リーダーに。ステージ2位のダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)が総合2位、ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)が総合3位に続く。

6名によるスプリント勝負を制したアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)6名によるスプリント勝負を制したアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ) photo:www.tourdepologne.plバッランはチーム公式サイトの中で「ツール・ド・フランスに出場したおかげでコンディションの良さは確認済み。このポローニュで勝ちたいとずっと思っていた。一日中チームがレースをコントロールしてくれたおかげで、僕は最後の一発に集中するだけだった。アタック後、飛び出した6名は協調体制が取れていたので、集団を振り切ってゴールまで逃げ切れたんだ」とコメント。

また「この勝利ですでに充分に満足している。シーズン序盤から不運が続いていたから余計の勝利の喜びが大きいよ」と語りながらも、「明日はポローニュ総合優勝目指して、リーダージャージを守るためにレースをコントロールしたい」と、総合優勝に向けての意気込みを見せている。

シャンパンを開けるアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)シャンパンを開けるアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ) photo:www.tourdepologne.pl注目のイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は、15秒遅れのメイン集団から更に12秒遅れでゴール。ポローニュ開幕後、つぶやきサイトTwitterで度々「コンディションは良くない」といったコメントを残しており、エースの座は総合6位のシルヴェスタ・シュミット(ポーランド)に移る可能性が高い。

翌第6ステージは今大会最難関の162kmの山岳コースで行なわれる。登場する10個のカテゴリー山岳は全て1級で、絶え間なく登場する上りで本格的な山岳バトルが繰り広げられるだろう。この第6ステージで総合争いは決着する。

ツール・ド・ポローニュ2009第5ステージ結果
1位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)3h48'23"
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)
3位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)
4位 フランチェスコ・レーダ(イタリア、クイックステップ)
5位 マレック・ルトキェビッチ(ポーランド、ポルスカBGZ)
6位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス)
7位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)+15"
8位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)
9位 マウリシオアルベルト・アルディラ(コロンビア、ラボバンク)
10位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン)

個人総合成績
1位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)21h47'00"
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)+04"
3位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)+06"
4位 フランチェスコ・レーダ(イタリア、クイックステップ)+10"
5位 マレック・ルトキェビッチ(ポーランド、ポルスカBGZ)
6位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス)
7位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、サイレンス・ロット)+11"
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア・HTC)+15"
9位 ダヴィド・ロースリ(スイス、ランプレ)+16"
10位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)+20"

ポイント賞
ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、サイレンス・ロット)

スプリント賞
ダヴィド・ロースリ(スイス、ランプレ)

山岳賞
パヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ)

チーム総合成績
ポルスカBGZ