2014/02/07(金) - 09:20
2014年も最強スプリンターの称号はマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)が獲得するのか?ドバイツアー(UCI2.1)第2ステージはビッグスプリンターによる闘いに持ち込まれ、キッテルが今季UCI初勝利を飾った。
「風が強かったので、ゴール手前のトンネル区間で必ず集団の前方をキープする作戦だった。最終的に隊列は崩れながらも、チームメイトに連れられて残り500mでフィニーの番手を獲得。フィニーは早めに仕掛けたけど、タイミングを待ってから仕掛けた。勝てて嬉しいよ」。今大会最初のゴールスプリントでライバルたちを打ち破ったキッテルはそう語っている。
ドバイ近郊を走り、ペルシア湾に浮かぶ椰子の木型の人工島「パーム・ジュメイラ」にゴールする122kmで行なわれた第2ステージ。起伏のない真っ平らなレイアウトで、フィニッシュラインは人工島の先端に位置する高級リゾートホテル「アトランティス・ザ・パーム」の目の前に引かれている。
2015年に新チームを立ち上げるとされるF1ドライバーのフェルナンド・アロンソ氏も登場したスタート地点。気温21度の快晴の下でスタートが切られると、フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)、ウィリー・スミット(南アフリカ、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)、ディオゴ・ヌネス(ポルトガル、バンコビク・カルミン)がアタック。この3名を4分差でメイン集団が追走する形でレースは進行する。
高層ビルが立ち並ぶドバイの街中と、砂漠を貫く直線路を進んで行くうちにタイム差は縮小していく。徐々にゴール勝負に向けて活気づくメイン集団によって、最後まで粘ったマンセボも残り15kmで吸収。
オメガファーマ・クイックステップやモビスター、ジャイアント・シマノ、ガーミン・シャープが位置取り合戦を繰り広げながら、人工島「パーム・ジュメイラ」の目抜き通りを駆け抜けた。
人工島先端の「アトランティス・ザ・パーム」に向かう海中トンネルをゴール7km手前で抜け、ペルシア湾からの海風を受けながらハイスピードで進むプロトン。ペタッキ=レンショー=カヴェンディッシュのリードアウトトレインを初めて機能させるオメガファーマ・クイックステップが主導権を握ったものの、ゴール勝負には持ち込めない。
ライバルチームがひしめき合う形で残り1km。真っ先にスプリントを開始したのはリーダージャージを着るテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)だった。
風の強い最終ストレートを先頭で突き進むフィニー。その後ろからキッテルやペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)が発進する。フィニーのスピードは衰えなかったが、キッテルの伸びが上回った。
サガンを振り切って勝利したキッテルは「勝利に向けた闘いは興奮を与えてくれるし、僕はそれが好きなんだ」とレース後のインタビューで語る。キッテルはツアー・ダウンアンダーの前座クリテリウム「ピープルズチョイスクラシック(UCI非公認)」で優勝しているが、UCIレースでの勝利は今シーズン初めて。「目標のステージ優勝に向かって、自分の道を歩むだけ。目標を妨げるライバルにはもちろん注視している。後ろに目がついているわけじゃないので何が起こったか分からないけど、残り1500mの時点で隣を走っていたカヴェンディッシュがいつの間にかいなくなった。スプリンターが隣り合う接戦は見ていて面白かったと思う」。
カヴェンディッシュはスプリントを諦めて30位フィニッシュ。スプリントに向けてカヴェンディッシュの番手を取っていた宮澤崇史(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)は、以下のように語っている。「残り3kmで20番手と出遅れたが、ポジションを上げながら進み、残り300mでカヴェンディッシュのホイールを捉えた。このままスプリントへ!と思ったときにモビスターの選手がカヴェンディッシュの前に割り込み、カヴェンディッシュがスプリントを諦めてしまった」。
「自分もブレーキからもう一度踏み込み直したが、トップの争いには参加できずに終ってしまった。2014年の初レースにしてはとてもいい体調を感じている、明日もこの感覚のいい状態で勝負に挑んでいきたい」と語る宮澤はスプリントで15位。チームメイトの石橋学は同タイムの86位で第2ステージを終えている。
ドバイツアー2014第2ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) 2h50'30"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
3位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
4位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
5位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
6位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
7位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、ティンコフ・サクソ)
8位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、スカイダイブドバイ)
9位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ)
10位 ライモント・クレダー(オランダ、ガーミン・シャープ)
15位 宮澤崇史(日本、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)
86位 石橋学(日本、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)
個人総合成績
1位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) 3h02'32"
2位 スティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシング) +15"
3位 ラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、ガーミン・シャープ) +17"
4位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) +23"
5位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) +26"
6位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) +30"
7位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター) +33"
8位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、キャノンデール) +36"
9位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
10位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
ポイント賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
スプリント賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
ヤングライダー賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Tim de Waele, RCS Sport
「風が強かったので、ゴール手前のトンネル区間で必ず集団の前方をキープする作戦だった。最終的に隊列は崩れながらも、チームメイトに連れられて残り500mでフィニーの番手を獲得。フィニーは早めに仕掛けたけど、タイミングを待ってから仕掛けた。勝てて嬉しいよ」。今大会最初のゴールスプリントでライバルたちを打ち破ったキッテルはそう語っている。
ドバイ近郊を走り、ペルシア湾に浮かぶ椰子の木型の人工島「パーム・ジュメイラ」にゴールする122kmで行なわれた第2ステージ。起伏のない真っ平らなレイアウトで、フィニッシュラインは人工島の先端に位置する高級リゾートホテル「アトランティス・ザ・パーム」の目の前に引かれている。
2015年に新チームを立ち上げるとされるF1ドライバーのフェルナンド・アロンソ氏も登場したスタート地点。気温21度の快晴の下でスタートが切られると、フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)、ウィリー・スミット(南アフリカ、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)、ディオゴ・ヌネス(ポルトガル、バンコビク・カルミン)がアタック。この3名を4分差でメイン集団が追走する形でレースは進行する。
高層ビルが立ち並ぶドバイの街中と、砂漠を貫く直線路を進んで行くうちにタイム差は縮小していく。徐々にゴール勝負に向けて活気づくメイン集団によって、最後まで粘ったマンセボも残り15kmで吸収。
オメガファーマ・クイックステップやモビスター、ジャイアント・シマノ、ガーミン・シャープが位置取り合戦を繰り広げながら、人工島「パーム・ジュメイラ」の目抜き通りを駆け抜けた。
人工島先端の「アトランティス・ザ・パーム」に向かう海中トンネルをゴール7km手前で抜け、ペルシア湾からの海風を受けながらハイスピードで進むプロトン。ペタッキ=レンショー=カヴェンディッシュのリードアウトトレインを初めて機能させるオメガファーマ・クイックステップが主導権を握ったものの、ゴール勝負には持ち込めない。
ライバルチームがひしめき合う形で残り1km。真っ先にスプリントを開始したのはリーダージャージを着るテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)だった。
風の強い最終ストレートを先頭で突き進むフィニー。その後ろからキッテルやペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)が発進する。フィニーのスピードは衰えなかったが、キッテルの伸びが上回った。
サガンを振り切って勝利したキッテルは「勝利に向けた闘いは興奮を与えてくれるし、僕はそれが好きなんだ」とレース後のインタビューで語る。キッテルはツアー・ダウンアンダーの前座クリテリウム「ピープルズチョイスクラシック(UCI非公認)」で優勝しているが、UCIレースでの勝利は今シーズン初めて。「目標のステージ優勝に向かって、自分の道を歩むだけ。目標を妨げるライバルにはもちろん注視している。後ろに目がついているわけじゃないので何が起こったか分からないけど、残り1500mの時点で隣を走っていたカヴェンディッシュがいつの間にかいなくなった。スプリンターが隣り合う接戦は見ていて面白かったと思う」。
カヴェンディッシュはスプリントを諦めて30位フィニッシュ。スプリントに向けてカヴェンディッシュの番手を取っていた宮澤崇史(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)は、以下のように語っている。「残り3kmで20番手と出遅れたが、ポジションを上げながら進み、残り300mでカヴェンディッシュのホイールを捉えた。このままスプリントへ!と思ったときにモビスターの選手がカヴェンディッシュの前に割り込み、カヴェンディッシュがスプリントを諦めてしまった」。
「自分もブレーキからもう一度踏み込み直したが、トップの争いには参加できずに終ってしまった。2014年の初レースにしてはとてもいい体調を感じている、明日もこの感覚のいい状態で勝負に挑んでいきたい」と語る宮澤はスプリントで15位。チームメイトの石橋学は同タイムの86位で第2ステージを終えている。
ドバイツアー2014第2ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) 2h50'30"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
3位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
4位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
5位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
6位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
7位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、ティンコフ・サクソ)
8位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、スカイダイブドバイ)
9位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ)
10位 ライモント・クレダー(オランダ、ガーミン・シャープ)
15位 宮澤崇史(日本、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)
86位 石橋学(日本、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)
個人総合成績
1位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) 3h02'32"
2位 スティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシング) +15"
3位 ラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、ガーミン・シャープ) +17"
4位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) +23"
5位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) +26"
6位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) +30"
7位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター) +33"
8位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、キャノンデール) +36"
9位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
10位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
ポイント賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
スプリント賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
ヤングライダー賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Tim de Waele, RCS Sport
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