2014/01/22(水) - 17:57
アデレードから多くの観戦サイクリストが訪れるKOMチェッカーズヒルをクリアし、スターリングの定番周回コースへ。ポジション取りに苦戦した新城幸也(ユーロップカー)は勝負に絡めず、ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)がオーストラリア勢を打ち破ってみせた。
終盤に、登りと下りしかないようなスターリングの周回コースが登場する第2ステージ。時にスプリンターも勝負に絡む全長150km・獲得標高2700mの定番コースを、トッププロ選手たちは4時間弱・平均39km/hで駆け抜ける。参考→ ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)のSTRAVAページ。
「今日もチームには自由に動いていいと言われました」という新城幸也(ユーロップカー)は、開幕前からこの第2ステージの登りスプリントに懸けていた。丁寧に日焼け止めを肌に塗り込み、メカニックと話し合ってサドルの位置を調整してから、少しデザインを変更した全日本チャンピオンジャージを着てスタートラインに並ぶ。
アデレード中心部から郊外に向かう平坦&直線の幹線道路でスタートが切られるとすぐ、ドラパックやUniSAオーストラリアの選手がこの日もアタック。前日に敢闘賞を獲得したウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック)らが飛び出した。
「スターリングにゴールするステージで逃げるのは3年連続だ」と回想するクラークが、2日連続でエスケープ。クラークは2012年の第2ステージで独走逃げ切り勝利を飾っている。
クラークに合流したのはキャンベル・フレークモア(オーストラリア、UniSAオーストラリア)とボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)の2人。
ジロでステージ4勝・ツールでステージ9勝・ブエルタでステージ9勝を飾っているジャンポール・ファンポッペルを父に、戦後最年少選手として昨年ツールに出場したダニー・ファンポッペル(ともにヴァカンソレイユ・DCMからトレックファクトリーレーシングに移籍し、揃ってダウンアンダー出場)を弟にもつファンポッペル兄が逃げた。
葡萄やリンゴの畑が広がる丘陵地帯を駆け抜けるエスケープトリオとメイン集団のタイム差2分前後で推移する。先頭ではクラークが積極的に山岳ポイントを稼いだものの、スタート前に写真を添えて「今日はスタート出来ないかも。緑の斑点が身体中に出来て、気持ち悪いんだ」とTwitterで冗談を飛ばしていたアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)がメイン集団で動きを見せる。
「力を使わずにポイントを取れたので、迷わず行った」と話すハンセンが集団から飛び出してKOMを4番手通過し、山岳賞トップの座を守っている。
「2年前は独走で勝てたけど、今回は思うように行かなかった。2日連続の逃げでさすがに疲れているので、数日休んで、またアタックしたい」と語るクラークやファンポッペル、フレークモアらは、オリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団によって吸収。カウンターアタックでフィリップ・ダイグナン(アイルランド、チームスカイ)らが飛び出したが決まらない。スターリングのフィニッシュラインに向けて、最終周回の攻防が始まった。
絶え間ないアップダウンとワインディングが続く周回コースで熾烈なポジション争いが繰り広げられ、ティンコフ・サクソやガーミン・シャープがペースを上げて集団を引っ張る。
「下りでチームメイトたちのサポートを受けたけど、(フィニッシュラインに至る)登りが始まってからポジション取りに苦戦した」と語る新城は、ゴール前で発生した落車の影響でブレーキングして後退。勝負に絡めずに、トップと同タイムの43位でゴールしている。
イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)らのアタックは成功に至らず、オリカ・グリーンエッジが率いる形でゴールスプリントへ。ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)が最後のリードアウトを終えると、残り150mでスプリントが始まった。
ウリッシ、エヴァンス、ゲランス、ガヴァッツィの4人が横一線でスプリントを開始。最終コーナーのイン側に向けて最短ラインでスプリントしたウリッシが伸びる。ゲランスを大きく引き離す圧倒的なスプリントで、ウリッシが歓喜のガッツポーズを見せた。
「サイモン・ゲランスが飛び抜けて良いコンディションなので、今日ステージ優勝のチャンスは無いと思っていた。でも、チームメイトたちのサポートのおかげで、不可能と思えた勝利を掴んだんだ」。ステージ優勝を飾るとともに、総合2位に浮上したウリッシは喜びを爆発させる。
UCIワールドツアー勝利に沸くランプレ・メリダ。しかし山岳アシストの1人ラファエル・バルス(スペイン)がゴール前の落車で怪我を負い、レースを去ることが決まっている。「バルスがいなければ山岳ステージでウリッシは孤立してしまう。好調のオーストラリア勢を相手に総合争いを繰り広げるのは難しいかも知れない。ウリッシの勝利は嬉しいが、複雑な心境だ」と、ランプレ・メリダのブルーノ・ヴィチーノ監督は打ち明けている。
「ウリッシの勝利には驚いていない。でも、追い抜いていく彼のスピードには驚いたよ」と笑いながら話すゲランスは、黄土色のオーカージャージをキープ。「ウリッシには敵わなかったけど、ボーナスタイムを獲得出来て良かった。総合争いにおいて、僕がポールポジションにいることは間違いない」。
翌日の第3ステージは、ゴール手前にKOMコークスクリューが登場する難コース。ゲランスも「明日が一番危険なステージになるかも知れない」と警戒している。
その他の写真はフォトギャラリーにて!
ツアー・ダウンアンダー2014第2ステージ結果
1位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 3h52'14"
2位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
4位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
6位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
7位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)
8位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
9位 ハビエル・モレーノ(スペイン、モビスター)
10位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
43位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
個人総合成績
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 7h12'31"
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +07"
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) +11"
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +13"
5位 スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
6位 サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・シマノ) +16"
7位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ) +17"
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
9位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)
10位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
55位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +21"
スプリント賞
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 31pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 27pts
3位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ) 22pts
山岳賞
1位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) 20pts
2位 ウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック) 20pts
3位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼル) 12pts
ヤングライダー賞
1位 カルロス・ベローナ(スペイン、オメガファーマ・クイックステップ) 7h12'52"
2位 ルーカ・ワッケルマン(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
チーム総合成績
1位 ランプレ・メリダ 21h38'28"
2位 BMCレーシングチーム +04"
3位 オリカ・グリーンエッジ
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
終盤に、登りと下りしかないようなスターリングの周回コースが登場する第2ステージ。時にスプリンターも勝負に絡む全長150km・獲得標高2700mの定番コースを、トッププロ選手たちは4時間弱・平均39km/hで駆け抜ける。参考→ ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)のSTRAVAページ。
「今日もチームには自由に動いていいと言われました」という新城幸也(ユーロップカー)は、開幕前からこの第2ステージの登りスプリントに懸けていた。丁寧に日焼け止めを肌に塗り込み、メカニックと話し合ってサドルの位置を調整してから、少しデザインを変更した全日本チャンピオンジャージを着てスタートラインに並ぶ。
アデレード中心部から郊外に向かう平坦&直線の幹線道路でスタートが切られるとすぐ、ドラパックやUniSAオーストラリアの選手がこの日もアタック。前日に敢闘賞を獲得したウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック)らが飛び出した。
「スターリングにゴールするステージで逃げるのは3年連続だ」と回想するクラークが、2日連続でエスケープ。クラークは2012年の第2ステージで独走逃げ切り勝利を飾っている。
クラークに合流したのはキャンベル・フレークモア(オーストラリア、UniSAオーストラリア)とボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)の2人。
ジロでステージ4勝・ツールでステージ9勝・ブエルタでステージ9勝を飾っているジャンポール・ファンポッペルを父に、戦後最年少選手として昨年ツールに出場したダニー・ファンポッペル(ともにヴァカンソレイユ・DCMからトレックファクトリーレーシングに移籍し、揃ってダウンアンダー出場)を弟にもつファンポッペル兄が逃げた。
葡萄やリンゴの畑が広がる丘陵地帯を駆け抜けるエスケープトリオとメイン集団のタイム差2分前後で推移する。先頭ではクラークが積極的に山岳ポイントを稼いだものの、スタート前に写真を添えて「今日はスタート出来ないかも。緑の斑点が身体中に出来て、気持ち悪いんだ」とTwitterで冗談を飛ばしていたアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)がメイン集団で動きを見せる。
「力を使わずにポイントを取れたので、迷わず行った」と話すハンセンが集団から飛び出してKOMを4番手通過し、山岳賞トップの座を守っている。
「2年前は独走で勝てたけど、今回は思うように行かなかった。2日連続の逃げでさすがに疲れているので、数日休んで、またアタックしたい」と語るクラークやファンポッペル、フレークモアらは、オリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団によって吸収。カウンターアタックでフィリップ・ダイグナン(アイルランド、チームスカイ)らが飛び出したが決まらない。スターリングのフィニッシュラインに向けて、最終周回の攻防が始まった。
絶え間ないアップダウンとワインディングが続く周回コースで熾烈なポジション争いが繰り広げられ、ティンコフ・サクソやガーミン・シャープがペースを上げて集団を引っ張る。
「下りでチームメイトたちのサポートを受けたけど、(フィニッシュラインに至る)登りが始まってからポジション取りに苦戦した」と語る新城は、ゴール前で発生した落車の影響でブレーキングして後退。勝負に絡めずに、トップと同タイムの43位でゴールしている。
イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)らのアタックは成功に至らず、オリカ・グリーンエッジが率いる形でゴールスプリントへ。ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)が最後のリードアウトを終えると、残り150mでスプリントが始まった。
ウリッシ、エヴァンス、ゲランス、ガヴァッツィの4人が横一線でスプリントを開始。最終コーナーのイン側に向けて最短ラインでスプリントしたウリッシが伸びる。ゲランスを大きく引き離す圧倒的なスプリントで、ウリッシが歓喜のガッツポーズを見せた。
「サイモン・ゲランスが飛び抜けて良いコンディションなので、今日ステージ優勝のチャンスは無いと思っていた。でも、チームメイトたちのサポートのおかげで、不可能と思えた勝利を掴んだんだ」。ステージ優勝を飾るとともに、総合2位に浮上したウリッシは喜びを爆発させる。
UCIワールドツアー勝利に沸くランプレ・メリダ。しかし山岳アシストの1人ラファエル・バルス(スペイン)がゴール前の落車で怪我を負い、レースを去ることが決まっている。「バルスがいなければ山岳ステージでウリッシは孤立してしまう。好調のオーストラリア勢を相手に総合争いを繰り広げるのは難しいかも知れない。ウリッシの勝利は嬉しいが、複雑な心境だ」と、ランプレ・メリダのブルーノ・ヴィチーノ監督は打ち明けている。
「ウリッシの勝利には驚いていない。でも、追い抜いていく彼のスピードには驚いたよ」と笑いながら話すゲランスは、黄土色のオーカージャージをキープ。「ウリッシには敵わなかったけど、ボーナスタイムを獲得出来て良かった。総合争いにおいて、僕がポールポジションにいることは間違いない」。
翌日の第3ステージは、ゴール手前にKOMコークスクリューが登場する難コース。ゲランスも「明日が一番危険なステージになるかも知れない」と警戒している。
その他の写真はフォトギャラリーにて!
ツアー・ダウンアンダー2014第2ステージ結果
1位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 3h52'14"
2位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
4位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
6位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
7位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)
8位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
9位 ハビエル・モレーノ(スペイン、モビスター)
10位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
43位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
個人総合成績
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 7h12'31"
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +07"
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) +11"
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +13"
5位 スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
6位 サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・シマノ) +16"
7位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ) +17"
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
9位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)
10位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
55位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +21"
スプリント賞
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 31pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 27pts
3位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ) 22pts
山岳賞
1位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) 20pts
2位 ウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック) 20pts
3位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼル) 12pts
ヤングライダー賞
1位 カルロス・ベローナ(スペイン、オメガファーマ・クイックステップ) 7h12'52"
2位 ルーカ・ワッケルマン(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
チーム総合成績
1位 ランプレ・メリダ 21h38'28"
2位 BMCレーシングチーム +04"
3位 オリカ・グリーンエッジ
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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