2013/09/13(金) - 11:08
ブエルタ2013を決する山岳3連戦が開幕。先頭グループから飛び出したヴァシル・キリエンカが単独走で第18ステージを制した。総合では2位のクリストファー・ホーナーが首位のヴィンチェンツォ・ニーバリへ3秒差に迫り、大接戦の様相を呈している。
ステージ優勝のヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)
逃げ切りを目指して独走するヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング) phpto:CorVos最後の山岳の登り口で、いまのリードなら優勝できそうだとわかった。だけど一定ペースで走ることだけに集中して、後方でなにが起きているかはまったく考えなかった。たくさんのファンがいて走りにくかった。今回が3回目のブエルタだ。
ステージ優勝のヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング) phpto:CorVosジロではステージ優勝の経験があるが、ブエルタではステージ2位止まりだった(2008年の第19ステージ)。だから、本当に勝ちたくて、ようやく実現した。ぼくの勝ちかたはいつも同じで、長い距離を逃げることだ。こういう正直なアプローチのおかげで勝てているし、チームメイトたちが信頼してくれていることも大きい。
フィニッシュラインでの勝利のキスは妻と子供たちに向けてのものだが、今日のステージではダニエーレ・トルトリへも捧げている。ぼくのアマチュア時代の監督で、プロに転向するときに尽力してくれて、今年の7月に亡くなった人物だ。
今年のツール・ド・フランスは散々な成績だったけど(ピレネー山岳のステージでタイムアウトによるリタイア)、チームメイトたちのおかげで高いモチベーションを維持できたことに感謝している。
総合1位、ステージ10位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
ホーナーを懸命に追うヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji波乱の多いステージだった。今日は良い走りができそうだったので、ライバルたちとのタイム差を付けようと思っていた。でも、ホーナーが絶好調であることを示す結果になった。彼との距離が少し開いたほうが、レースをコントロールできると考えていた。だけど、彼はみるみる離れていった!
1級山岳ペーニャ・カバルガに苦しむホアキン・ロドリゲス(左、スペイン、カチューシャ)とヴィンチェンツォ ・ニーバリ(右、イタリア、アスタナ) photo:www.lavuelta.com42歳(実際は41歳)という年齢で、あの強さだ! 彼が弱さを見せる瞬間がない限りは、彼に勝てそうになさそうだ。ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)もホーナーを脱落させようとしていたが、成功はしなかった。
モビスターもチームとしてペースを上げたものの、それでもホーナーは最強だった。ぼくは楽観的でもないし、悲観的でもない。だから、今日の結果に現実的なものを見いだしたい。
このブエルタではベストを尽くすつもりで出場している。ステージ優勝を狙っていたが、まだ達成できていない。だけど、これまでのところコンディションはずっと良好だ。まだ総合リーダーの座にいるし、今後もチャンスが来ることに期待している。
総合4位、ステージ8位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
ずっと総合成績を上げようとトライしていたが、だんだんと難しくなっていった。今日はかなり苦しんだが、それでも勝負を仕掛けねばならなかった。ぼくらは後方からずっとアタックを仕掛けていたが、ホーナーとニーバリのほうが強かった。モビスターもチームとしてボーナスタイムを狙った勝負を仕掛けようとしていたが、逃げグループの吸収に失敗していた。
複合賞、ステージ6位、総合2位クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)
スタート前のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) phpto:CorVos(総合1位と3秒差で山岳ステージが残り2つ控えているが?)3秒差でブエルタの総合優勝が果たせなかったら、ひとつの事件だ。だけど、この3秒というのは因縁の深い数字だ。第4ステージで千切れて6秒を失ったときのタイム差も3秒差だった。
マイヨロホ奪還に向けて好調を維持するクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) phpto:CorVosこのブエルタがスタートして以来、3秒差を詰める機会は何度もあった。今日の場合だと、残り100mがそうだ。残り75mくらいの地点で、少し安全策をとってしまったけど、今日のゴールは思ったよりはハードじゃなかった。ともかく、最も重要なのは、今日はタイム差をかなり詰められたということだ。
(ペーニャ・カバルガの感想は?)2005年にサウニエル・ドゥバルに在籍していたときに、この山の麓にあるサンタンデールの街のアパートに6週間ほど住んでいた。そのときは幸運なことに、ここまで登ることはなかった。本当にハードだった。たけど、脚が売り切れることはなかった。気楽さも感じていたし、楽しめた。自分の脚に驚いている。もしかしたら、あと1〜2kmは登れそうだった。予想よりは厳しくなかった。
マシュー・ブッシュ(アメリカ)とロベルト・キセロフスキー(クロアチア)、それから他のチームメイトたちが山岳の登り口で牽引してくれた。サクソ・ティンコフが少し集団を牽いて、その後カチューシャに順番が変わったときに、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)の後ろで少し身動きがとれなくなった。
おかげで、少しだけタイム差を稼げなかったが、今日稼げた分に充分満足している。ファビアン・カンチェラーラ(スイス)が去ったにも関わらず、チームメイトたちが驚くべきアシストをしてくれたことをもう一度感謝したい。ぼくのチームには、素晴らしい選手たちがいる。信じがたいことだ!
(ニーバリに勝てそう?)第20ステージのアングリルが楽しみだ。そこで熾烈なバトルが繰り広げられることになる。急勾配の登りだから、まったく牽引の効果もない。ぼくがブエルタで総合リーダーに立てるなら、明日よりは第20ステージのほうが可能性はある。
でも、明日のアルト・デル・ナランコで総合ジャージを獲得する可能性だってある。明日の山岳については知らない。知識はゼロだ。明日は駆け引きがあるレースになりそうだ。個人的には体力勝負の厳しい展開になってほしい。自分を追い込むような展開になれば、誰も付いてこられないはずだ。
たぶん、まだリードを作らないほうが良いように思う。だけど、少しでも差を付けることができたら、総合1位としてマイヨロホに身を包むことになるだろう。ブエルタを総合優勝する可能性が、しだいに現実味を帯びてきた。
ポイント賞、総合3位、ステージ9位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ )のランデブー phpto:CorVos誰もがベストを尽くしたことに満足すべきだ。だけど、ホーナーは止められなかった。現在の彼は最も脅威となっている選手だと思える。(ゴールの)ペーニャ・カバルガのことは知らなかった。とてもハードな登りだった。最後の300mは、それまでに比べると勾配も厳しくなかったので、あそこで全力を出すべきだった。
今日は39T×29Tで登っていた。このギア比の選択は正しかったと思う。プリト(ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ))が跳ぶようにアタックしたときは、自分のペースを維持することを優先した。
総合5位、ステージ11位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)
うまく自分を追い込めたが、ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)に抜かれてしまった。数kgくらい彼より重かったのが原因だ。総合成績の5位を目標にして、今日はそれを維持できた。絶好調というわけではないが、不調でもない。今日はとてもハイペースだった。チームメイトのラファル・マイカ(ポーランド)にできるだけゆっくりしたペースで走るようにお願いした。今日の結果には満足している。
ステージ3位のアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)
苦しい表情を浮かべながら1級山岳ペーニャ・カバルガを登るアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsujiいろんな感情が交じり合っている。もちろん山岳ステージでステージ3位の成績なのはうれしい。だけど、チームとぼくは、もう少し上の順位に入りたかった。いくつかの戦略ミスをしたのと、昨日、集団が分断されたことで体力を大きく消耗したことの影響が大きかった。
3番手で1級山岳ペーニャ・カバルガを登るアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsujiだけど、ステージ3位を手にしたので文句を言うつもりはない。今日はアタックする作戦ではなかった。だけど、ここでステージ優勝を狙いたかった。集団が別れて、自分が先頭集団にいるときに、この集団でゴールできそうだから優勝を狙ってみようと考えた。
最後から2つ目の山岳でキリエンカ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)がアタックしたとき、サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)だけが彼に付いていって、他の選手たちは互いに様子見していた。ぼくもアタックしたが、体力を激しく消耗していた。
キリエンカが高速なペースを維持し続けたので、すぐにぼくたちは脱落してしまった。その後、クラークを先に行かせて後方に待機したが、チャンスをうかがって、最後の山岳の2〜3km前にキリエンカの追走グループに復帰できた。そこで順位を上げることができたので、今日の登りの走りには満足している。
ステージ2位、総合18位のクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
2番手で1級山岳ペーニャ・カバルガを登るクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ) photo:Kei Tsujiガッカリしている。自分のキャリアでは、ステージ2位はもう7〜8回目だ……じれったく思う。先頭集団を走るのは気持ち良いけど、そこに勝利を伴わないのは苦痛だ。今日は作戦通りだった。ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)の抜け出しはタイミングが早すぎると思った。だけど、彼に付いていくべきだった。ぼくの判断ミスだ。
キリエンカをアシストしたダリオ・カタルド(イタリア、スカイプロサイクリング)
キリエンカ(ベラルーシ)がやってくれた! ブエルタが始まってから、彼の走りは日ごとに調子が良くなっていた。今日の作戦は1名以上が逃げグループに入り、キリエンカの走りをサポートするというものだった。ウラン(コロンビア)とエナオモントーヤ(コロンビア)が総合争いから脱落してしまったが、チームはまだまだモチベーションに満ちている。
※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
ステージ優勝のヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)
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今年のツール・ド・フランスは散々な成績だったけど(ピレネー山岳のステージでタイムアウトによるリタイア)、チームメイトたちのおかげで高いモチベーションを維持できたことに感謝している。
総合1位、ステージ10位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
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モビスターもチームとしてペースを上げたものの、それでもホーナーは最強だった。ぼくは楽観的でもないし、悲観的でもない。だから、今日の結果に現実的なものを見いだしたい。
このブエルタではベストを尽くすつもりで出場している。ステージ優勝を狙っていたが、まだ達成できていない。だけど、これまでのところコンディションはずっと良好だ。まだ総合リーダーの座にいるし、今後もチャンスが来ることに期待している。
総合4位、ステージ8位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
ずっと総合成績を上げようとトライしていたが、だんだんと難しくなっていった。今日はかなり苦しんだが、それでも勝負を仕掛けねばならなかった。ぼくらは後方からずっとアタックを仕掛けていたが、ホーナーとニーバリのほうが強かった。モビスターもチームとしてボーナスタイムを狙った勝負を仕掛けようとしていたが、逃げグループの吸収に失敗していた。
複合賞、ステージ6位、総合2位クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)
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(ペーニャ・カバルガの感想は?)2005年にサウニエル・ドゥバルに在籍していたときに、この山の麓にあるサンタンデールの街のアパートに6週間ほど住んでいた。そのときは幸運なことに、ここまで登ることはなかった。本当にハードだった。たけど、脚が売り切れることはなかった。気楽さも感じていたし、楽しめた。自分の脚に驚いている。もしかしたら、あと1〜2kmは登れそうだった。予想よりは厳しくなかった。
マシュー・ブッシュ(アメリカ)とロベルト・キセロフスキー(クロアチア)、それから他のチームメイトたちが山岳の登り口で牽引してくれた。サクソ・ティンコフが少し集団を牽いて、その後カチューシャに順番が変わったときに、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)の後ろで少し身動きがとれなくなった。
おかげで、少しだけタイム差を稼げなかったが、今日稼げた分に充分満足している。ファビアン・カンチェラーラ(スイス)が去ったにも関わらず、チームメイトたちが驚くべきアシストをしてくれたことをもう一度感謝したい。ぼくのチームには、素晴らしい選手たちがいる。信じがたいことだ!
(ニーバリに勝てそう?)第20ステージのアングリルが楽しみだ。そこで熾烈なバトルが繰り広げられることになる。急勾配の登りだから、まったく牽引の効果もない。ぼくがブエルタで総合リーダーに立てるなら、明日よりは第20ステージのほうが可能性はある。
でも、明日のアルト・デル・ナランコで総合ジャージを獲得する可能性だってある。明日の山岳については知らない。知識はゼロだ。明日は駆け引きがあるレースになりそうだ。個人的には体力勝負の厳しい展開になってほしい。自分を追い込むような展開になれば、誰も付いてこられないはずだ。
たぶん、まだリードを作らないほうが良いように思う。だけど、少しでも差を付けることができたら、総合1位としてマイヨロホに身を包むことになるだろう。ブエルタを総合優勝する可能性が、しだいに現実味を帯びてきた。
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総合5位、ステージ11位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)
うまく自分を追い込めたが、ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)に抜かれてしまった。数kgくらい彼より重かったのが原因だ。総合成績の5位を目標にして、今日はそれを維持できた。絶好調というわけではないが、不調でもない。今日はとてもハイペースだった。チームメイトのラファル・マイカ(ポーランド)にできるだけゆっくりしたペースで走るようにお願いした。今日の結果には満足している。
ステージ3位のアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)
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キリエンカが高速なペースを維持し続けたので、すぐにぼくたちは脱落してしまった。その後、クラークを先に行かせて後方に待機したが、チャンスをうかがって、最後の山岳の2〜3km前にキリエンカの追走グループに復帰できた。そこで順位を上げることができたので、今日の登りの走りには満足している。
ステージ2位、総合18位のクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
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キリエンカをアシストしたダリオ・カタルド(イタリア、スカイプロサイクリング)
キリエンカ(ベラルーシ)がやってくれた! ブエルタが始まってから、彼の走りは日ごとに調子が良くなっていた。今日の作戦は1名以上が逃げグループに入り、キリエンカの走りをサポートするというものだった。ウラン(コロンビア)とエナオモントーヤ(コロンビア)が総合争いから脱落してしまったが、チームはまだまだモチベーションに満ちている。
※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
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