2013/09/03(火) - 13:29
休息日前となる第10ステージを制したのは、クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)。ステージ2勝となるホーナーは総合1位にも返り咲き、山岳賞・複合賞も獲得した。ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)は総合6位へと順位を落としたが、ポイント賞をキープした。
ステージ優勝、総合1位、山岳・複合賞のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)
(このブエルタで最強なのでは?)好調なのは確かだ! ぼくが最強かどうかはわからないが、最強の選手のひとりには入ると思う。総合優勝候補勢と一緒に上位に入っているから。
(ライバルたちとタイム差がついたのは意外?)そんなことはない! ライバルたちがアシストなしで走っているのがわかった。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が苦しそうだった。彼らとの差がほんのわずかなら、彼らはぼくを追わずに後ろのほうで、戦略的に動いて牽制に入るんじゃないかと考えた。
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)の総合タイムを念頭に置いて走って(第9ステージ後に27秒差で遅れていた)、残り2kmでアタックする作戦だった。次のタイムトライアルでは、ニーバリは余裕でぼくに1分差を付けるだろう。だから、40秒くらいのリードが得られれば良いと考えていた。
(タイムトライアルに悲観的な理由は?)自分がタイムトライアルが得意なのかわからない。以前にタイムトライアルで良い結果を出したのは、もう2〜3年も前のことだ。水曜日の第11ステージにはニーバリにマイヨロホを渡すことになると思う。
ぼくはクライマーだし、小柄な選手だ。タイムトライアルで良い結果を出したこともあるけど、水曜日はどうなるか不明だ……。
(第14〜第16ステージのピレネー3連戦についての知識は?)まったくなにもわからない。今朝のミーティングの後のことだけど、ぼくはレポーターたちに「今日の山岳についての知識はない。下りでポポ(ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ))の後に付いていって、最後に登るだけだ」と告げた。
ぼくが知っているのはそれだけだった。2006年と2007年にもピレネーを走ったことさえも思い出せないし、山の名前も知らない。もしかしたら、今年のピレネーの山が全然わからないかもしれないし、逆にすべての山を知っているかもしれない。
ポイント賞・総合6位・ステージ12位のダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
終盤は本当に苦しかった。今日はベストな日ではなかったことは確かだ。(スタート前の)ニュートラル・ゾーンで落車したときは、誰かが後ろから追突していきて、足首にぶつかった。でも、このケガはまったく今日のパフォーマンスには関係ない。暑さも得意なので、今日の暑さも原因ではない。山岳の登り口から不調を感じていた。
ステージ2位・総合2位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
ホーナーがアタックしたときには、レースは非常にしっかりとコントロールされていた。他にもいくつかアタックがあったけど、自分のペースで登ることにした。自分ひとりのペースでレースができていたら、ホーナーに対してあまりタイムを失うこともなかったと思う。
ただ、あれもこれも望むのは無理がある。ホーナーは絶好調で、今日でステージ2勝をあげた。現在、ホーナーは、あの年齢にしては、極上のコンディションであることを示している。
ステージ3位・総合4位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
前にも述べた通り、今日は2つの山岳のおかげで、今年のブエルタの本当の総合優勝候補がわかるステージとなった。ホーナーには驚いたが、彼はこれまでしっかり走れていたので、あまり意外とは思わない。
タイム差は付くだろうとと思っていたが、1分差はかなり大きい。彼が第3ステージでステージ1勝目をあげて、その強さを示したが、今日の優勝でさらに周囲を納得させた。
ぼくを含む彼以外の選手——ニーバリやプリト=ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)、ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)といった面々は、今はお互いにかなり接戦している状態だ。
今日はニーバリが少し差を広げたが、他の候補者たちもかなり強力だ。今はニーバリとプリトとぼくの3人が、お互いに様子を見ている状態だ。この状況で今後のレース展開が変わるかはわからない。だけど、ぼくたち3人が単なる表彰台狙いじゃないこともお互いにわかっている。今日はそれが確認できた。
残り5kmで少し遅れたのは、今日の登りのことをよく知っているからだ——ぼくたちは何度もこのコースでトレーニングしているので、あそこでは自分のペースで走る必要があることを知っていた。呼吸を整えられたので、もう一度差を詰めることができた。かなり苦しかったけれど、後から調子が上がるのを自覚できた。
今日は初の本格的な山岳ステージで、これから先の道のりも長い。ようやく待ち望んだ休息日になるが、普段の休息日よりは少しトレーニングをして、水曜日の第11ステージの個人タイムトライアルに備えたい。個人タイムトライアルはかなりハードになりそうだが、ぼくにとっては悪い材料にはならなそうだ。タイムトライアルには少し気合いを入れて挑んで、もがけるだけもがくつもりだ。
総合3位・ステージ7位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)
最後の残酷の登りでは、ずっと全力を振り絞って走って、総合勢のグループから浮いたり沈んだりしていた。だけど、今日の走りには自信を持って満足している。本当にベストを尽くしたし、自分の肉体の最大限の力を発揮できたので、失望はしていない。
ニコラス・ロッシュについて語るビャルヌ・リースGM(サクソ・ティンコフ)
ニコラス・ロッシュ(アイルランド)は強力だし、彼はもがくべきポイントを知っている。かならずブエルタの最終週に総合上位に残っていると確信している。だが、今後に予定されている山岳はすべて手強い。
総合5位・ステージ5位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
最後の登りのペースは本当に速かった。ホーナーのアタックは止められなかった。今日のすべての事態は想定済みだったので、この結果には満足している。ボーナスタイムは獲得できなかったし、今日は失うものも多かった。マイヨロホと(クチュアル・スタート前の落車が原因でリタイアした)アルベルト・ロサダ(スペイン)だ。
総合8位・ステージ6位のティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
今日の走りには満足している。今シーズンの序盤には、こんなに脚が好調になるとは思っていなかった。ニーバリにはかなり遅れたと思うが、まったく後悔していない。このレースでは、スペイン人たちがお互いをマークし合っていて、イタリア人たちはお互いに助け合っている。
そして、フランス人のぼくには居場所がない。今は総合8位だけど、あまり気にしないようにしている。調子が悪くなって、順位を大きく下げるかもしれないからだ。
アクチュアル・スタート前の落車によるケガでリタイアしたバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル)
あまりにも不運だ。落車は今日の午後のアクチュアル・スタートすら始まる前の出来事だった。おかげで、すべてが苦しみに変わった。擦過傷だと10回のうち9回は、あまり痛まない。でも、今回は膝をハンドルかペダルに打ちつけてしまったようだ。脚を曲げることができなかった。脚が腫れていくのを見て、打撲だとわかった。
だけど、すぐにはギブアップしなかった。また自転車に乗ろうと2回ほど挑戦したけど、まったくペダルを回せなかった。そこで諦めることにした。落車が起こった区間は下りだった。ぼくたちはニュートラル・ゾーンにいたのだけど、時速50〜60kmは出ていた。落車の発生現場は目撃していない(たぶんランチタイムで安全地帯が大混雑していたのだろう)。突然、選手たちが目の前で落車した。
パニックになって、誰もがブレーキをかけた。でもスピードが出ていたせいで、すぐには止まれなかった。ぼくは何人かの選手の上に倒れ、そこに他の選手たちがぶつかってきた。総合で良い成績を狙っていて、確実にあと少しは順位を上げられるだろうと思っていた(第9ステージ後の段階で総合20位だった)。ほんの一瞬の出来事で、この希望が消え去ってしまった。とても辛い。
※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
ステージ優勝、総合1位、山岳・複合賞のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)
(このブエルタで最強なのでは?)好調なのは確かだ! ぼくが最強かどうかはわからないが、最強の選手のひとりには入ると思う。総合優勝候補勢と一緒に上位に入っているから。
(ライバルたちとタイム差がついたのは意外?)そんなことはない! ライバルたちがアシストなしで走っているのがわかった。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が苦しそうだった。彼らとの差がほんのわずかなら、彼らはぼくを追わずに後ろのほうで、戦略的に動いて牽制に入るんじゃないかと考えた。
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)の総合タイムを念頭に置いて走って(第9ステージ後に27秒差で遅れていた)、残り2kmでアタックする作戦だった。次のタイムトライアルでは、ニーバリは余裕でぼくに1分差を付けるだろう。だから、40秒くらいのリードが得られれば良いと考えていた。
(タイムトライアルに悲観的な理由は?)自分がタイムトライアルが得意なのかわからない。以前にタイムトライアルで良い結果を出したのは、もう2〜3年も前のことだ。水曜日の第11ステージにはニーバリにマイヨロホを渡すことになると思う。
ぼくはクライマーだし、小柄な選手だ。タイムトライアルで良い結果を出したこともあるけど、水曜日はどうなるか不明だ……。
(第14〜第16ステージのピレネー3連戦についての知識は?)まったくなにもわからない。今朝のミーティングの後のことだけど、ぼくはレポーターたちに「今日の山岳についての知識はない。下りでポポ(ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ))の後に付いていって、最後に登るだけだ」と告げた。
ぼくが知っているのはそれだけだった。2006年と2007年にもピレネーを走ったことさえも思い出せないし、山の名前も知らない。もしかしたら、今年のピレネーの山が全然わからないかもしれないし、逆にすべての山を知っているかもしれない。
ポイント賞・総合6位・ステージ12位のダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
終盤は本当に苦しかった。今日はベストな日ではなかったことは確かだ。(スタート前の)ニュートラル・ゾーンで落車したときは、誰かが後ろから追突していきて、足首にぶつかった。でも、このケガはまったく今日のパフォーマンスには関係ない。暑さも得意なので、今日の暑さも原因ではない。山岳の登り口から不調を感じていた。
ステージ2位・総合2位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
ホーナーがアタックしたときには、レースは非常にしっかりとコントロールされていた。他にもいくつかアタックがあったけど、自分のペースで登ることにした。自分ひとりのペースでレースができていたら、ホーナーに対してあまりタイムを失うこともなかったと思う。
ただ、あれもこれも望むのは無理がある。ホーナーは絶好調で、今日でステージ2勝をあげた。現在、ホーナーは、あの年齢にしては、極上のコンディションであることを示している。
ステージ3位・総合4位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
前にも述べた通り、今日は2つの山岳のおかげで、今年のブエルタの本当の総合優勝候補がわかるステージとなった。ホーナーには驚いたが、彼はこれまでしっかり走れていたので、あまり意外とは思わない。
タイム差は付くだろうとと思っていたが、1分差はかなり大きい。彼が第3ステージでステージ1勝目をあげて、その強さを示したが、今日の優勝でさらに周囲を納得させた。
ぼくを含む彼以外の選手——ニーバリやプリト=ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)、ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)といった面々は、今はお互いにかなり接戦している状態だ。
今日はニーバリが少し差を広げたが、他の候補者たちもかなり強力だ。今はニーバリとプリトとぼくの3人が、お互いに様子を見ている状態だ。この状況で今後のレース展開が変わるかはわからない。だけど、ぼくたち3人が単なる表彰台狙いじゃないこともお互いにわかっている。今日はそれが確認できた。
残り5kmで少し遅れたのは、今日の登りのことをよく知っているからだ——ぼくたちは何度もこのコースでトレーニングしているので、あそこでは自分のペースで走る必要があることを知っていた。呼吸を整えられたので、もう一度差を詰めることができた。かなり苦しかったけれど、後から調子が上がるのを自覚できた。
今日は初の本格的な山岳ステージで、これから先の道のりも長い。ようやく待ち望んだ休息日になるが、普段の休息日よりは少しトレーニングをして、水曜日の第11ステージの個人タイムトライアルに備えたい。個人タイムトライアルはかなりハードになりそうだが、ぼくにとっては悪い材料にはならなそうだ。タイムトライアルには少し気合いを入れて挑んで、もがけるだけもがくつもりだ。
総合3位・ステージ7位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)
最後の残酷の登りでは、ずっと全力を振り絞って走って、総合勢のグループから浮いたり沈んだりしていた。だけど、今日の走りには自信を持って満足している。本当にベストを尽くしたし、自分の肉体の最大限の力を発揮できたので、失望はしていない。
ニコラス・ロッシュについて語るビャルヌ・リースGM(サクソ・ティンコフ)
ニコラス・ロッシュ(アイルランド)は強力だし、彼はもがくべきポイントを知っている。かならずブエルタの最終週に総合上位に残っていると確信している。だが、今後に予定されている山岳はすべて手強い。
総合5位・ステージ5位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
最後の登りのペースは本当に速かった。ホーナーのアタックは止められなかった。今日のすべての事態は想定済みだったので、この結果には満足している。ボーナスタイムは獲得できなかったし、今日は失うものも多かった。マイヨロホと(クチュアル・スタート前の落車が原因でリタイアした)アルベルト・ロサダ(スペイン)だ。
総合8位・ステージ6位のティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
今日の走りには満足している。今シーズンの序盤には、こんなに脚が好調になるとは思っていなかった。ニーバリにはかなり遅れたと思うが、まったく後悔していない。このレースでは、スペイン人たちがお互いをマークし合っていて、イタリア人たちはお互いに助け合っている。
そして、フランス人のぼくには居場所がない。今は総合8位だけど、あまり気にしないようにしている。調子が悪くなって、順位を大きく下げるかもしれないからだ。
アクチュアル・スタート前の落車によるケガでリタイアしたバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル)
あまりにも不運だ。落車は今日の午後のアクチュアル・スタートすら始まる前の出来事だった。おかげで、すべてが苦しみに変わった。擦過傷だと10回のうち9回は、あまり痛まない。でも、今回は膝をハンドルかペダルに打ちつけてしまったようだ。脚を曲げることができなかった。脚が腫れていくのを見て、打撲だとわかった。
だけど、すぐにはギブアップしなかった。また自転車に乗ろうと2回ほど挑戦したけど、まったくペダルを回せなかった。そこで諦めることにした。落車が起こった区間は下りだった。ぼくたちはニュートラル・ゾーンにいたのだけど、時速50〜60kmは出ていた。落車の発生現場は目撃していない(たぶんランチタイムで安全地帯が大混雑していたのだろう)。突然、選手たちが目の前で落車した。
パニックになって、誰もがブレーキをかけた。でもスピードが出ていたせいで、すぐには止まれなかった。ぼくは何人かの選手の上に倒れ、そこに他の選手たちがぶつかってきた。総合で良い成績を狙っていて、確実にあと少しは順位を上げられるだろうと思っていた(第9ステージ後の段階で総合20位だった)。ほんの一瞬の出来事で、この希望が消え去ってしまった。とても辛い。
※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
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