2013/05/15(水) - 07:15
最大勾配が20%に達する1級山岳アルトピアーノ・デル・モンタジオで本格的な総合争いが始まった。ラスト8kmでアタックを成功させたリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)が独走勝利。ウランはウィギンズを抜いて総合3位に浮上した。
第10ステージは隣国スロベニアやオーストリア国境に近い山岳地帯を走る。登場するカテゴリー山岳は2つで、標高1555mの1級山岳カゾン・ディ・ランツァ峠を越え、標高1519mの1級山岳アルトピアーノ・デル・モンタジオを駆け上がってゴール。今大会最初の本格的な頂上ゴールだ。
疲労蓄積を理由に挙げるジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)と、第9ステージで肋骨を骨折したアンヘル・ビシオソ(スペイン、カチューシャ)の2人がスタートせず。フリウリ=ヴェネツィアジュリア州のコルデノンスをスタート後、ヴィヴィアーニ、ベンナーティ、デハース、マシャド、ポポヴィッチ、ミラー、デッケル、チャリンギ、ロドリゲス、パウエルス、ガット、リヒハルト、ブラットという13名の逃げグループが形成された。
脚の揃った逃げグループは、アスタナがコントロールするメイン集団に対して最大9分のリードを得て1級山岳カゾン・ディ・ランツァ峠へ。中盤の下りを除いた平均勾配が10%を超えるこの細い山道が始まると、先頭ではジャクソン・ロドリゲス(ベネズエラ、アンドローニジョカトリ)がアタック。ロドリゲスはそのまま先頭で1級山岳を通過した。
この1級山岳で集団のペースを上げたのはスカイプロサイクリング。このハイペースによってメイン集団の人数は見る見るうちに減って行く。数日前から精彩を欠いていたディフェンディングチャンピオンのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)もここで脱落。この日20分以上遅れてゴールしたヘジダルは、完全にマリアローザ争いから脱落した。
先頭ロドリゲスはテクニカルなダウンヒルをこなして次なる難所、1級山岳アルトピアーノ・デル・モンタジオへ。メカトラでバイクを交換しながら走るロドリゲスには、後方からセルジュ・パウエルス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が合流。2人は2分のリードをもって最後の1級山岳アルトピアーノ・デル・モンタジオに突入した。
このジロ初登場ならびに今大会最初の本格的な頂上ゴールは、前半の勾配が8%前後で、後半にかけて勾配が13%近くまで跳ね上がる。登坂距離が21.9kmもあり、ゴールの4km手前で最大勾配が20%に達する。極めて破壊力の高い登りだ。
先頭ロドリゲスとパウエルスはペースを崩さずに登りを進んだが、再びスカイプロサイクリングの集団コントロールが始まるとタイム差は縮小。先頭2人はラスト9kmで吸収されてしまう。するとラスト8kmでリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)のアタックが決まった。
この日最も強いチーム力と選手層を誇示していたスカイプロサイクリングが攻撃を開始。総合で2分49秒遅れのウランを、ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)がメイン集団を牽引して追走する。
先頭ウランはゴール4km手前のスプリントポイントを通過して急勾配区間へ。アニョーリのサポートを受けてスプリントポイントを2番手通過したニーバリはボーナスタイム4秒獲得に成功する。
最大勾配20%の激坂でもウランのペースは落ちない。その30秒後方ではドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)がアタックを仕掛ける。するとブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)があまりの勾配に耐えきれず脱落。ここぞとばかりにカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)がペースを上げると、飛び出していたポッツォヴィーヴォは吸収された。
ラスト3kmを過ぎて勾配が緩むと今度はカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)がアタック。しかし先頭ウランを捕まえることは出来ず、8kmを独走したウランが勝利。20秒遅れでベタンクール、31秒遅れでニーバリとエヴァンス、マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)らが入った。
「朝のチームミーティングで、ライバルたちがどのような動きをするのか見るために僕がアタックすることになった」と話すウラン。「チームメイトも調子が良く、登りではスカイが一番強い」。
昨年ジロ・デ・イタリアで総合7位に入り、マリアビアンカを獲得したウランは26歳。テナックスやユニベット、ケースデパーニュを経て2011年からスカイプロサイクリングに所属している。激坂で失速してニーバリから37秒失ったウィギンズを抜き、ウランが総合3位に浮上した。
大会最初の本格頂上ゴールを終えて、ニーバリから41秒遅れでエヴァンス、2分04秒遅れでウランが続く。総合3位以下は混戦状態で、ヘーシンクやスカルポーニ、サンタンブロジオらが上位をキープしている。
ジロ・デ・イタリア2013第10ステージ結果
1位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) 4h37'42"
2位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) +20"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +31"
4位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
6位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)
8位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +47"
9位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +1'06"
10位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +1'08"
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 38h57'32"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +41"
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) +2'04"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +2'05"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング) +2'12"
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) +2'13"
7位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) +2'55"
8位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ) +3'35"
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル) +4'17"
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ) +4'21"
ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
山岳賞
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
新人賞
ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text&photo:Kei Tsuji in Altopiano del Montasio, Italy
第10ステージは隣国スロベニアやオーストリア国境に近い山岳地帯を走る。登場するカテゴリー山岳は2つで、標高1555mの1級山岳カゾン・ディ・ランツァ峠を越え、標高1519mの1級山岳アルトピアーノ・デル・モンタジオを駆け上がってゴール。今大会最初の本格的な頂上ゴールだ。
疲労蓄積を理由に挙げるジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)と、第9ステージで肋骨を骨折したアンヘル・ビシオソ(スペイン、カチューシャ)の2人がスタートせず。フリウリ=ヴェネツィアジュリア州のコルデノンスをスタート後、ヴィヴィアーニ、ベンナーティ、デハース、マシャド、ポポヴィッチ、ミラー、デッケル、チャリンギ、ロドリゲス、パウエルス、ガット、リヒハルト、ブラットという13名の逃げグループが形成された。
脚の揃った逃げグループは、アスタナがコントロールするメイン集団に対して最大9分のリードを得て1級山岳カゾン・ディ・ランツァ峠へ。中盤の下りを除いた平均勾配が10%を超えるこの細い山道が始まると、先頭ではジャクソン・ロドリゲス(ベネズエラ、アンドローニジョカトリ)がアタック。ロドリゲスはそのまま先頭で1級山岳を通過した。
この1級山岳で集団のペースを上げたのはスカイプロサイクリング。このハイペースによってメイン集団の人数は見る見るうちに減って行く。数日前から精彩を欠いていたディフェンディングチャンピオンのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)もここで脱落。この日20分以上遅れてゴールしたヘジダルは、完全にマリアローザ争いから脱落した。
先頭ロドリゲスはテクニカルなダウンヒルをこなして次なる難所、1級山岳アルトピアーノ・デル・モンタジオへ。メカトラでバイクを交換しながら走るロドリゲスには、後方からセルジュ・パウエルス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が合流。2人は2分のリードをもって最後の1級山岳アルトピアーノ・デル・モンタジオに突入した。
このジロ初登場ならびに今大会最初の本格的な頂上ゴールは、前半の勾配が8%前後で、後半にかけて勾配が13%近くまで跳ね上がる。登坂距離が21.9kmもあり、ゴールの4km手前で最大勾配が20%に達する。極めて破壊力の高い登りだ。
先頭ロドリゲスとパウエルスはペースを崩さずに登りを進んだが、再びスカイプロサイクリングの集団コントロールが始まるとタイム差は縮小。先頭2人はラスト9kmで吸収されてしまう。するとラスト8kmでリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)のアタックが決まった。
この日最も強いチーム力と選手層を誇示していたスカイプロサイクリングが攻撃を開始。総合で2分49秒遅れのウランを、ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)がメイン集団を牽引して追走する。
先頭ウランはゴール4km手前のスプリントポイントを通過して急勾配区間へ。アニョーリのサポートを受けてスプリントポイントを2番手通過したニーバリはボーナスタイム4秒獲得に成功する。
最大勾配20%の激坂でもウランのペースは落ちない。その30秒後方ではドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)がアタックを仕掛ける。するとブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)があまりの勾配に耐えきれず脱落。ここぞとばかりにカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)がペースを上げると、飛び出していたポッツォヴィーヴォは吸収された。
ラスト3kmを過ぎて勾配が緩むと今度はカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)がアタック。しかし先頭ウランを捕まえることは出来ず、8kmを独走したウランが勝利。20秒遅れでベタンクール、31秒遅れでニーバリとエヴァンス、マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)らが入った。
「朝のチームミーティングで、ライバルたちがどのような動きをするのか見るために僕がアタックすることになった」と話すウラン。「チームメイトも調子が良く、登りではスカイが一番強い」。
昨年ジロ・デ・イタリアで総合7位に入り、マリアビアンカを獲得したウランは26歳。テナックスやユニベット、ケースデパーニュを経て2011年からスカイプロサイクリングに所属している。激坂で失速してニーバリから37秒失ったウィギンズを抜き、ウランが総合3位に浮上した。
大会最初の本格頂上ゴールを終えて、ニーバリから41秒遅れでエヴァンス、2分04秒遅れでウランが続く。総合3位以下は混戦状態で、ヘーシンクやスカルポーニ、サンタンブロジオらが上位をキープしている。
ジロ・デ・イタリア2013第10ステージ結果
1位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) 4h37'42"
2位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) +20"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +31"
4位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
6位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)
8位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +47"
9位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +1'06"
10位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +1'08"
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 38h57'32"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +41"
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) +2'04"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +2'05"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング) +2'12"
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) +2'13"
7位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) +2'55"
8位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ) +3'35"
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル) +4'17"
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ) +4'21"
ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
山岳賞
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
新人賞
ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text&photo:Kei Tsuji in Altopiano del Montasio, Italy
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