2013/05/13(月) - 09:09
ジロ・デ・イタリア第9ステージは引き続き雨。逃げグループの中から飛び出したマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)が、フィレンツェを見下ろすミケランジェロ広場に先頭でゴールした。雨に濡れたコースでタイムを失う総合上位陣の姿も。
ジロはトスカーナ州に到着。アペニン山脈の山間の街サンセポルクロをスタート後、標高1000m前後の2級山岳と1級山岳を越える。距離が短いながらも勾配のある3級山岳と4級山岳がその後に控えている。
ゴール地点は、2013年ロード世界選手権の開催地フィレンツェ。9月の世界選で勝負どころとなるフィエーゾレをラスト11kmで通過し、アルノ川を渡り、レンガ色のフィレンツェを見下ろすミケランジェロ広場まで標高差50mほどを駆け上がってゴールを迎える。
この日もスタート後しばらくして雨が選手を濡らす。フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ブランコプロサイクリング)やエフゲニー・ペトロフ(ロシア、サクソ・ティンコフ)、ミカル・ゴラス(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)ら12名が飛び出すと、メイン集団はこれを見送った。
12名の大きな逃げグループの中には、マリアアッズーラを着るジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)や、山岳賞2位のステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)の姿も。
アスタナが率いるメイン集団から6分のリードを得た逃げグループの中から、急勾配の1級山岳ヴァロンブローザでピラッツィとロビンソン・シャラプゴメス(コロンビア、コロンビア)の2人が飛び出した。
本降りの山岳を先頭で登るピラッツィとシャラプゴメス。1級山岳ヴァロンブローザを先頭で通過したピラッツィは、この日だけで26ポイントを量産する。山岳ポイントを稼ぐことが出来なかったヴィスコンティから、狙い通りマリアアッズーラを奪うことに成功した。
この1級山岳ヴァロンブローザの下りでレースは動く。雨に濡れたダウンヒル区間で、ベルコフが単独で先頭の2人をキャッチ。ゴールまで50km以上を残してベルコフがそのまま単独逃げをスタートさせる。
一方のメイン集団ではブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)が脱落。雨の下りだけでウィギンズはライバルたちから1分近くタイムを失った。
ウランとエナオモントーヤを除くスカイプロサイクリングのアシストたちが、ウィギンズをメイン集団まで誘導。ウィギンズは終盤の2つのカテゴリー山岳を前に何とかメイン集団に復帰したのでタイムロスを免れたが、雨の下りが苦手だということを改めてライバルたちに知らしめる結果となった。
そんな中、先頭ベルコフは勢いを落とさずに独走。シャラプゴメスらがカウンターアタックを仕掛けたが、先頭ベルコフのリードは揺るぎない。ベルコフはそのまま44秒差でゴール。2年ぶり2度目のジロでキャリア最大の勝利を手にしてみせた。
イタリアのISDでプロデビューした28歳は「今日は逃げが決まりやすいコースだったので、TTスペシャリストでありながら、昨日のTTではそこまで追い込まなかった。そのおかげでエネルギーの分配を最適化することが出来たんだ」と語る。ジロ開幕直前のツアー・オブ・ターキーでもベルコフは何度もアタック。その積極性が今回の勝利に繋がった。
レース終盤に差し掛かると、アスタナの他、ガーミン・シャープやBMCレーシングチーム、ヴィーニファンティーニが集団コントロールに参加。3級山岳ヴェッタ・レ・クローチを越え、最後の4級山岳フィエーゾレに差し掛かった。
コンスタントに勾配が10%を刻むこの登りでカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)がメイン集団から飛び出して先頭を追走。ベタンクールは先行していたシャラプゴメスに追いついて先を目指したが、ベルコフには届かない。無線の故障によって、ベルコフが逃げていることに気付かず、ガッツポーズでゴールした。
集団の後方ではディフェンディングチャンピオンのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)が4級山岳フィエーゾレで失速。ヘジダルはチームメイトのトム・ダニエルソン(アメリカ)らにアシストされたが、総合のライバルたちから1分06秒も失ってしまった。
「長い登りは得意だけど、短くてパンチ力の必要な登りは苦手。3週目にかけて調子が上がることが多いので、ここから挽回したい」前日の個人タイムトライアルでもタイムを失ったヘジダルは。総合6位から総合11位にダウン。マリアローザを着るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)から3分11秒遅れだ。
ジロ・デ・イタリア2013第9ステージ結果
1位 マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ) 4h31'31"
2位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) +44"
3位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、コロンビア) +46"
4位 トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、アルゴス・シマノ) +54"
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'03"
6位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
7位 ダニーロ・ディルーカ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
8位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
9位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 34h19'31"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +29"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング) +1'15"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +1'16"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) +1'24"
6位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +2'11"
7位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) +2'43"
8位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ) +2'44"
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) +2'49"
10位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) +3'02"
ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
山岳賞
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
新人賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ブランコプロサイクリング)
チーム総合成績
ブランコプロサイクリング
text&photo:Kei Tsuji in Firenze, Italy
ジロはトスカーナ州に到着。アペニン山脈の山間の街サンセポルクロをスタート後、標高1000m前後の2級山岳と1級山岳を越える。距離が短いながらも勾配のある3級山岳と4級山岳がその後に控えている。
ゴール地点は、2013年ロード世界選手権の開催地フィレンツェ。9月の世界選で勝負どころとなるフィエーゾレをラスト11kmで通過し、アルノ川を渡り、レンガ色のフィレンツェを見下ろすミケランジェロ広場まで標高差50mほどを駆け上がってゴールを迎える。
この日もスタート後しばらくして雨が選手を濡らす。フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ブランコプロサイクリング)やエフゲニー・ペトロフ(ロシア、サクソ・ティンコフ)、ミカル・ゴラス(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)ら12名が飛び出すと、メイン集団はこれを見送った。
12名の大きな逃げグループの中には、マリアアッズーラを着るジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)や、山岳賞2位のステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)の姿も。
アスタナが率いるメイン集団から6分のリードを得た逃げグループの中から、急勾配の1級山岳ヴァロンブローザでピラッツィとロビンソン・シャラプゴメス(コロンビア、コロンビア)の2人が飛び出した。
本降りの山岳を先頭で登るピラッツィとシャラプゴメス。1級山岳ヴァロンブローザを先頭で通過したピラッツィは、この日だけで26ポイントを量産する。山岳ポイントを稼ぐことが出来なかったヴィスコンティから、狙い通りマリアアッズーラを奪うことに成功した。
この1級山岳ヴァロンブローザの下りでレースは動く。雨に濡れたダウンヒル区間で、ベルコフが単独で先頭の2人をキャッチ。ゴールまで50km以上を残してベルコフがそのまま単独逃げをスタートさせる。
一方のメイン集団ではブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)が脱落。雨の下りだけでウィギンズはライバルたちから1分近くタイムを失った。
ウランとエナオモントーヤを除くスカイプロサイクリングのアシストたちが、ウィギンズをメイン集団まで誘導。ウィギンズは終盤の2つのカテゴリー山岳を前に何とかメイン集団に復帰したのでタイムロスを免れたが、雨の下りが苦手だということを改めてライバルたちに知らしめる結果となった。
そんな中、先頭ベルコフは勢いを落とさずに独走。シャラプゴメスらがカウンターアタックを仕掛けたが、先頭ベルコフのリードは揺るぎない。ベルコフはそのまま44秒差でゴール。2年ぶり2度目のジロでキャリア最大の勝利を手にしてみせた。
イタリアのISDでプロデビューした28歳は「今日は逃げが決まりやすいコースだったので、TTスペシャリストでありながら、昨日のTTではそこまで追い込まなかった。そのおかげでエネルギーの分配を最適化することが出来たんだ」と語る。ジロ開幕直前のツアー・オブ・ターキーでもベルコフは何度もアタック。その積極性が今回の勝利に繋がった。
レース終盤に差し掛かると、アスタナの他、ガーミン・シャープやBMCレーシングチーム、ヴィーニファンティーニが集団コントロールに参加。3級山岳ヴェッタ・レ・クローチを越え、最後の4級山岳フィエーゾレに差し掛かった。
コンスタントに勾配が10%を刻むこの登りでカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)がメイン集団から飛び出して先頭を追走。ベタンクールは先行していたシャラプゴメスに追いついて先を目指したが、ベルコフには届かない。無線の故障によって、ベルコフが逃げていることに気付かず、ガッツポーズでゴールした。
集団の後方ではディフェンディングチャンピオンのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)が4級山岳フィエーゾレで失速。ヘジダルはチームメイトのトム・ダニエルソン(アメリカ)らにアシストされたが、総合のライバルたちから1分06秒も失ってしまった。
「長い登りは得意だけど、短くてパンチ力の必要な登りは苦手。3週目にかけて調子が上がることが多いので、ここから挽回したい」前日の個人タイムトライアルでもタイムを失ったヘジダルは。総合6位から総合11位にダウン。マリアローザを着るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)から3分11秒遅れだ。
ジロ・デ・イタリア2013第9ステージ結果
1位 マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ) 4h31'31"
2位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) +44"
3位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、コロンビア) +46"
4位 トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、アルゴス・シマノ) +54"
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'03"
6位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
7位 ダニーロ・ディルーカ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
8位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
9位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 34h19'31"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +29"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング) +1'15"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +1'16"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) +1'24"
6位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +2'11"
7位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) +2'43"
8位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ) +2'44"
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) +2'49"
10位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) +3'02"
ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
山岳賞
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
新人賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ブランコプロサイクリング)
チーム総合成績
ブランコプロサイクリング
text&photo:Kei Tsuji in Firenze, Italy
フォトギャラリー
Amazon.co.jp
ジロ・デ・イタリア 2008 スペシャルBOX [DVD]
ジェイ・スポーツ