ごく普通の高校生がプロチームの選手に至る道程には様々な苦労が待ち受けています。山あり谷あり、乗り越えなければならない壁も幾度と無く出現するでしょう。

そして選手は壁にぶち当たって岐路に立たされます。

チームマトリックスパワータグの山下選手は、岐路に立たされる度、チームとの素敵な出会いによって前へ進んできました。出会いは選手にとって大きな力なのです。

“人生のペダルを回し始めた高校生”

自転車を始めたのは高校2年生の春。中学から続けていたバスケットボールをやめ、親にお金の工面をしてもらい5万円台のロードレーサーを買ったところから自分の自転車人生が始まりました。

高校で自転車部を立ち上げようとしましたが「公道で練習をされては責任が持てない」と、顧問がつかずに断念。部が無いということは当然先輩もいないということで、機材もいちから準備しなければなりません。

市内にはサイクルショップが見当たらず、雑誌を読んで、隣町まで走って行って見つけたのが今でもお世話になっている「じてんしゃ屋 まつしま」さんでした。目的は一緒に走る仲間を見つけること。そしてサングラス購入。

ちょうど小さい虫が飛んでいる時期で、目に入らない様にサングラスを探していたのですが、「そんなんいらんで〜!」と店長の一言。「え!ここお店ですよね!?」と、高校生の山下は大混乱でした!(笑)

‘04シマノスズカで。当時はいつも自転車のことで頭がいっぱいでした‘04シマノスズカで。当時はいつも自転車のことで頭がいっぱいでした そんなこんなで色々と会話が進む中、「君、一人で走ってるんか? もしよかったら一緒に練習せーへんか?」と誘って頂き「はい!」と即答。晴れてまつしまさんのチーム「まつしま Rose citta’」のメンバーとして走ることとなります。結局は当分の間、サングラスなしで目が痛いと言いながら走ってました(笑)

本当のところ、憧れの元F1レーサー・佐藤琢磨選手が自転車をやっていたという経歴を知って始めたロードレースだったのですが、どっぷりとこの世界にはまってしまいました。そして同年代や社会人の先輩方など走る仲間がどんどん増えるにつれてレースへも参加するように。

当時、実業団レースを走るにはエリート選手2人以上の登録が最低条件でしたので、チームの皆さんに無理を承知で登録をお願いして実業団レースにも参戦。
周りは社会人の方々ばかりでしたので、松島店長はじめ色々な方にお世話になりました。
学生の自分にとって自転車だけでなく多くのことを教わり、学生という身分だけでは経験できない貴重な時間を過ごすことができたと思っています。

“TEAM MIYATAでの出会い”

そして当然、やるからには上を目指すと言うことで、BR-1(現在のJプロツアー)を目標に転戦します。
大学2年の時にBR-1での出場を認められましたが、集団内にいるだけで一杯一杯。完走がやっとの状態でした。

それでも「もっと上で走りたい!」という思いは強く、あるレースでミヤタ・スバルの栗村監督(当時)にお話をさせて頂いたところ「見ているから頑張りを見せて欲しい」というお言葉をいただいた。その一言をきっかけに、その年はとにかく今までよりもがむしゃらに走りました。

その頑張りを認めて頂いたのか、翌年にミヤタスバルに入団。初めてのプロ選手との対話、関東の方との絡みはかなり新鮮でした(笑)。栗村監督は自分をこの世界に引き入れて下さった恩師です。

Team Miyata Friendship Party 2007「自転車でつながった輪」一生の宝物ですTeam Miyata Friendship Party 2007「自転車でつながった輪」一生の宝物です
2007年、チームミヤタの休部が決まったこの年は、多くのサポーターの皆様に大変お世話になりました。
応援のためだけにレース会場へ来て頂いたり、レースの写真を撮影して頂いたり、ロードレースの普及活動でインタビューをネットラジオで流して頂いたり…。

当時は自分が走るための環境しか考えていませんでしたが、多くの方々に支えてもらって生きているんだということを実感しました。今でも皆さんとはお付き合いがあり、応援し続けてくださっています。

“そしてTEAM NIPPO〜マトリックスへ…”

チームNIPPOで走る山下。この時は成績が振るわず、2010年よりマトリックス・パワータグへチームNIPPOで走る山下。この時は成績が振るわず、2010年よりマトリックス・パワータグへ photo:Hideaki.TAKAGIマトリックス移籍後、ツール・ド・フクオカ2010のクリテリウムでポイント賞1位を獲得マトリックス移籍後、ツール・ド・フクオカ2010のクリテリウムでポイント賞1位を獲得 photo:Hideaki.TAKAGI

チームミヤタからチームNIPPOに移籍して、イタリア遠征など多くの経験をさせて頂いたのですが、成績が振るわずチームを離れることに。そして偉大な指導者であられます安原大監督に泣いてお願いし、マトリックス・パワータグに移籍することとなりました。

その中で出会ったのが、人生の大先生であられます真鍋師匠。数多くの経験をされていることから、とても色々な視点をお持ちの方です。
貴重な体験から繰り出されるお話は大変勉強になり、今でもあーんなことやこーんなことまで(笑)ご教示下さっています。振り返ってみれば、真鍋師匠との出会いで自分の人生の価値観や物事の視点が大きく変わったと思います。

ツール・ド・おきなわ2011で、師と仰ぐ真鍋和幸と共にアタックを決めた山下 ツール・ド・おきなわ2011で、師と仰ぐ真鍋和幸と共にアタックを決めた山下 (c)Makoto.AYANO特にマリウスさんとは仲良くさしてもらってますわ〜! い、痛いよ、マリウスさん…(泣)特にマリウスさんとは仲良くさしてもらってますわ〜! い、痛いよ、マリウスさん…(泣)

他にもマトリックスのチームメイトには、NIPPOを離れることでもう一緒に走ることはないと思っていた選手もいます。ご存知、マリウス・ウィジアック選手です。まさか一緒にマトリックスで走るとは夢にも思いませんでした。
しゃべり方はおとなしいのですが、冗談好きで負けず嫌い。周りをよく見ているし、スマートな考え方をする選手で大変勉強になっています。

“そしてこれから…”

ペダルを回し続けて早10年。この場で書きたくても書ききれないほど色々な方との出会いがありました。そしてこれからも新たな出会いが待っていると思います。

私は皆様に応援して頂き、選手として走れることを幸せに思います。選手として一番の恩返しは結果を出すことだと自分は考えています。

諦めずに前へ前へ。
これからも「やまぴ〜」こと山下貴宏をよろしくお願いいたします!

ツール・ド・北海道2011第2ステージで念願の勝利を手にした山下。レース後、「2年前は自転車そのものを続けるかどうか考えたときもあった。そのときにマトリックスに入れてもらったが、その後に勝ち星が無かった。ようやく勝つことができた。今までお世話になったたくさんの人に感謝したい」と語った ツール・ド・北海道2011第2ステージで念願の勝利を手にした山下。レース後、「2年前は自転車そのものを続けるかどうか考えたときもあった。そのときにマトリックスに入れてもらったが、その後に勝ち星が無かった。ようやく勝つことができた。今までお世話になったたくさんの人に感謝したい」と語った Photo:Hideaki.TAKAGI
プロフィール
山下 貴宏 やました たかひろ
1985年11月20日生(26歳)
マトリックスパワータグ所属。 今年で移籍3年目を迎え、マトリックスでのトレーニングにより、クライマーとしての資質に加えてスピードにも磨きがかかり、オールラウンダーとしての素質を開花させつつある。大阪産業大学サイクリング部出身と言う経歴も持つ。

主な成績:
2011年 ツール・ド・北海道 第2ステージ優勝
2011年 経済産業大臣旗全日本実業団ロードチャンピオンシップ 5位

Panaracer「クローザー プラス」

「軽い走りをもっと気軽に」をコンセプトに開発されたパナレーサーの人気ラインナップ「クローザー」がリニューアル。耐貫通パンク強度を高める「PRベルト」を採用することで、よりタフなコンディションでも対応できるように。

パナレーサー クローザープラスパナレーサー クローザープラス
サイズ(重量)700×20C(190g)
700×23C(210g)
700×25C(220g)
26×1.25(210g)
カラー黒/赤ライン/青ライン/黄ライン/白ライン
(700×20C/25Cは黒のみ)
参考価格3,550円(税込)

関連ニュース:パナレーサー クローザープラス 耐パンクベルトを装備しリニューアルしたオールラウンドタイヤ

ソール・ソジャサン ニュース
ツール・ド・リムザン(UCI.2.HC)
第1ステージ2位ジュリアン・シモン選手(ソール・ソジャサン)
第2ステージ3位ジュリアン・シモン選手(ソール・ソジャサン)
第3ステージ3位ジュリアン・シモン選手(ソール・ソジャサン)
第4ステージ4位ジェレミー・ギャラン選手(ソール・ソジャサン)
個人総合8位ジェレミー・ギャラン選手(ソール・ソジャサン)
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Panaracerサポート選手の注目リザルト
Jプロツアー第11戦 湾岸クリテリウム2012
2位廣瀬佳正選手(宇都宮ブリッツェン)
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Jプロツアー第12戦 みやだロードレース2012
3位初山翔選手(宇都宮ブリッツェン)
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シマノ鈴鹿国際ロードレース2012
2位増田成幸選手(宇都宮ブリッツェン)
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Jプロツアー第13戦 タイムトライアルチャンピオンシップ
3位増田成幸選手(宇都宮ブリッツェン)
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全日本大学対抗選手権自転車競技大会2012 個人ロードレース
男子3位山本元喜選手(鹿屋体育大)
女子優勝上野みなみ選手(鹿屋体育大)
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ツール・ド・北海道(UCI.2.2)
第1ステージ優勝黒枝士揮選手(鹿屋体育大)
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第2ステージ優勝マキシミリアーノ・リケーゼ選手(チームNIPPO)
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第3ステージ優勝マキシミリアーノ・リケーゼ選手(チームNIPPO)
個人総合時間賞1位マキシミリアーノ・リケーゼ選手(チームNIPPO)
 3位窪木一茂選手(マトリックスパワータグ)
個人総合ポイント賞1位マキシミリアーノ・リケーゼ選手(チームNIPPO)
 2位窪木一茂選手(マトリックスパワータグ)
個人総合山岳賞3位窪木一茂選手(マトリックスパワータグ)
チーム総合時間賞1位宇都宮ブリッツェン
関連ニュース:リケーゼが圧倒のスプリントで自身初のステージレース総合優勝
ロンドンオリンピック
トライアスロン43位細田雄一選手(グリーンタワー・フェリック・稲毛インター)
ロンドンパラリンピック
5000m6位土田和歌子選手(サノフィ・アベンティス)
マラソン5位土田和歌子選手(サノフィ・アベンティス)

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