2014/05/17(土) - 11:03
Jプロツアーも、はや5戦が終了し、いよいよ国内でもUCIレースの幕が開く時が来た。
特に5月は「ツアー・オブ・ジャパン」「ツール・ド・熊野」とハードなステージレースが続き、チームは力を思い存分発揮できる反面、レースの神は容赦なく敗者を退ける。日本で開催されるステージレースは数少ないが、それでも毎回、レースでは実に多くのドラマが展開されてきた。
宇都宮ブリッツェンの鈴木譲選手は、このTOJと言うレースを経験し、乗り越えることで今があると断言する。果たして今年のTOJではどんなドラマが待ち受けているのだろうか。
ツアー・オブ・ジャパン
2014年、私がロードレースの魅力にとりつかれてちょうど10年になります。10年前の2004年。学生レーサーとして走り始めた私は、この2年後にあるレースを走ることに。
「ツアー・オブ・ジャパン」
過去の優勝者を見ても、世界レベルの選手が多く出場している、国内でも屈指のステージレースです。初出場となった2006年はとても勝負に加わるといった話ではなく、修善寺のステージではレースを降ろされ優勝者のフィニッシュをコース外から見ているという屈辱的な気持ちを味わうことになりました。
チームミヤタという強豪チームに加入できた翌年も同じ気持ちを味わうことになり、自分の力の無さに自転車がつまらなくなってしまうこともありました。
そんな折、そのシーズン限りでのチーム解散を知らされることになります。
このまま自分の自転車人生を終えてもいいのか? 様々なことを考えました。
実績の全くなかった私がその後、愛三レーシングに加入できることになったのは、ひとえにたくさんの方々の支えがあったに違いないということは、想像に難くないと思います。選手層の厚い愛三でTOJを走ることはなかったですが、シーズンを通してアジアツアーを回れたことは、今でも貴重な財産となっています。
原点となる瞬間
そして翌年、シマノレーシングへ移籍します。この移籍によって、TOJというレースが私の中で、より特別なものになることとなります。シマノレーシングといえば当時は最強チームとして日本チャンピオンをはじめ、実績十分な一流選手を抱え、TOJのようなハイレベルなレースでも常に結果を求められるチームでした。特にメインスポンサーであるシマノの本社はTOJのスタート地点、堺市に拠点があります。
このことからもチームにとって重要なレースであること、私にとっても思い入れがあることで更にこのレースの格が上がっていきます。
そんなチームで揉まれ、2010シーズンのTOJではセカンドエースという立ち位置で走ることになるのです。
飯田ステージで先頭グループに残り、富士山ステージを無難にこなした私は総合10位につけていました。富士山でリーダージャージを着用していた当時、現在もチームメイトの鈴木真理選手が遅れ、アシストとして待った現シマノレーシング監督の野寺選手も総合がなくなったので、総合を狙えるのは私ひとりでした。
修善寺ステージ前夜は、異様な緊張感で寝られなかったのを覚えています。ですが結局、厳しい修善寺のコースで何もできず集団から遅れてしまいます。
今、自分がエースとしてレースを走るとき。その心構えの原点がこの瞬間にあります。
「あのとき、あと少しだけ我慢していれば」
「なぜ攻めなかったのか」
このときの気持ちを忘れない。そして、ときにアシストとして選手を使うことに躊躇していてはいけない。奇しくも、選手としての気持ちに火をつけるのは、このTOJというレースでした。
「攻めるレース」を信条に
この気持ちを胸に走り続け、迎えた2012シーズン。春先から勝利を重ね、エースとして臨んだTOJ。「攻めるレース」を信条に、どのステージもその時できる最善の走りをすることを心に秘め走っていました。「悔いは残さない」
それを体現できたのが、かつてリタイアしてコース外でフィニッシュを見届け、集団から後れ総合を失った、修善寺ステージでした。リーダーから6分差の総合6位で迎え、日本人選手の総合優勝は絶望的という状況でした。
取れる選択肢は、集団で静観し6位を守ること。そして、総合逆転を目指し逃げること。今までの私なら、集団にとどまり守ることを選んでいたでしょう。それは決して悪いことではなく、チームに何も残せないよりはそちらを選択する方が正しいと思います。TOJというレースはそれだけの価値があるということなのです。
しかし、レースの号砲からほどなくして、体は自然とアタックしていました。
国内トップ選手を中心に構成された逃げグループはメイン集団に3分の差をつけ、私はバーチャルで総合3位まで浮上。ここでメイン集団は総合3位と4位のチームも牽引に加わり、最終的に逃げグループは崩壊して吸収されてしまいました。
総合を逆転することも、ステージ優勝も獲ることができなかったレースでしたが、全力を尽くすことのできた、ある種の達成感。そして解放感を感じられるレースでした。
昨年、私はこの大事なレースに出走することすらできませんでした。ヨーロッパ遠征中のレースで落車し、腕を骨折したためです。
このレースは、走らずとも私に何かを投げかける。
今年、新たな環境で迎える、2014ツアーオブジャパン。いったいどんなレースになるのか。私をどんな気持ちにさせるのか。楽しみで仕方ありません。
プロフィール
鈴木 譲 すずき ゆずる
1985年11月6日生(28歳)
1985年11月6日生(28歳)
2007年にチームミヤタへ所属してプロデビュー。
以来、愛三工業レーシングチームやシマノレーシングへ移籍し、日本だけでなくアジアやヨーロッパでのレースを積み重ね、今シーズンは宇都宮ブリッツェンへ加入。
昨年はオランダのレースで骨折した影響もあり悔しいシーズンとなったが、今期にかける思いは強い。
以来、愛三工業レーシングチームやシマノレーシングへ移籍し、日本だけでなくアジアやヨーロッパでのレースを積み重ね、今シーズンは宇都宮ブリッツェンへ加入。
昨年はオランダのレースで骨折した影響もあり悔しいシーズンとなったが、今期にかける思いは強い。
主な戦績
2008年
ツアー・オブ・香港上海 総合7位
2009年
ツール・ド・熊野 総合9位
2010年
ツール・ド・熊野 山岳賞
ツアー・オブ・フィリピン 第4ステージ3位
2011年
全日本選手権ロードレース 6位
Jプロツアー 経済産業大臣旗 ロードチャンピオンシップ 2位
ツアー・オブ・香港上海 総合7位
2009年
ツール・ド・熊野 総合9位
2010年
ツール・ド・熊野 山岳賞
ツアー・オブ・フィリピン 第4ステージ3位
2011年
全日本選手権ロードレース 6位
Jプロツアー 経済産業大臣旗 ロードチャンピオンシップ 2位
2011年
Jプロツアー 東日本ロードクラシック 修善寺大会 優勝
ツール・ド・台湾 総合8位
ツール・ド・北海道 総合10位
2012年
Jプロツアー しもふさクリテリウム 優勝
ツアー・オブ・ジャパン 総合6位
ツール・ド・北海道 総合8位
Jプロツアー 東日本ロードクラシック 修善寺大会 優勝
ツール・ド・台湾 総合8位
ツール・ド・北海道 総合10位
2012年
Jプロツアー しもふさクリテリウム 優勝
ツアー・オブ・ジャパン 総合6位
ツール・ド・北海道 総合8位
Panaracer「R-AIR COMP」
「エアフレックス ライトブチル コンパウンド」を採用し、軽さと耐久性のベストバランスを実現させたレーシングチューブ「R'AIR」。
その「R'AIR」のコンセプトはそのままに、タイムトライアルなどで多く使用されているリムハイトの高いディープリムへの対応を考え、バルブコアの付け/外しが可能な2ピース仏式バルブを新たに採用。
付属の軽量アルミ製「バルブエクステンダー」(50mm)との組み合わせで、バルブ長が74mmでありながら、一体型バルブ(真鍮製レギュラーバルブ)の60mmと同等の重量を可能とした。
また「R'AIR COMP」の補修用として、R'AIRチューブ本体のみ(2ピース仏式(24mm)/コア付き)も商品化。「R'AIR COMP」に付属する「バルブエクステンダー」(50mm)およびバルブコアツールを必要としない方のために、コストを抑えて商品化されている(※単品での使用は出来ません)。
「R-AIR COMP」 | 700×20~23C用、平均重量67g(ave) バルブ長74mm(バルブエクステンダー50mm使用) バルブエクステンダー50mm/バルブコアツール付 | 税抜価格:2,086円 |
「R-AIR COMP 補修用」 | ※本商品単体では使用不可。 バルブエクステンダー/バルブコアツールは付属しておりません。 | 税抜価格:1,381円 |
Panaracer 2014年度サポートチーム&選手情報 | |||||||||
Jプロツアー第1戦 第1回 JBCF 宇都宮クリテリウム | |||||||||
| |||||||||
Jプロツアー2014プロバイク Vol.1 | |||||||||
| |||||||||
Jプロツアー2014プロバイク Vol.2 | |||||||||
| |||||||||
Jプロツアー第2戦 伊吹山ドライブウェイヒルクライム2014 | |||||||||
| |||||||||
Jプロツアー第3戦 タイムトライアル南紀白浜2014 | |||||||||
| |||||||||
Jプロツアー第4戦 JBCF白浜クリテリウム2014 | |||||||||
| |||||||||
Jプロツアー第5戦 群馬CSCロードレース2014 | |||||||||
| |||||||||
MTB J1 DHI第1戦 びわ湖高島大会 | |||||||||
| |||||||||
トライアスロン - 全日本トライアスロン宮古島大会 | |||||||||
| |||||||||
トライアスロン - スービックベイ・アジアカップ | |||||||||
| |||||||||
車いすマラソン - ロンドンマラソン(イギリス) | |||||||||
| |||||||||
車いすマラソン - ボストンマラソン(アメリカ) | |||||||||
|
提供:パナソニック ポリテクノロジー株式会社