2019/12/13(金) - 17:24
秋も深まる11月30日(土)に栃木県のツインリンクもてぎにて開催された、もてぎ7時間エンデューロ秋大会をレポート。約2200人の参加者がコースを駆けた、チームでもソロでも楽しめる関東近郊定番のサーキットレースの模様をお届け。
栃木県茂木町にある国内屈指の国際サーキット、ツインリンクもてぎを会場に毎年春秋の2回開催されている「もてぎ7時間エンデューロ」。秋大会は今回で第16回を数え、関東近郊では定番のエンデューロイベントとして定着している。今年は12月も目前という開催時期となり、山間深い茂木町では朝方は0度を下回る冷え込みに。それでもロードシーズンを締めくくるレースとして、約2200人の参加者がここツインリンクに集まった。
ピットを確保するため早い人は朝の5時過ぎから会場入り。キンと冷えた空気に秋から冬への季節の移り変わりを感じつつ、白い息を吐きながら支度をして7時前にはコース試走に繰り出す。この日は終日晴れの天気で路面は完全にドライ。路面コンディションを気にすることなく思い切り走ることができただろう。寒さ対策のアーム&レッグウォーマーがこの日の標準装備といった気温だが、中には半袖姿の参加者もちらほら。
ツインリンクもてぎと言えば、MotoGPやSUPER GTを始めとするモータースポーツの舞台となるサーキットで、もてぎ7時間エンデューロでは全長4.8kmのロードコースを反時計回りで使用。全部で14のコーナーと高低差30mのアップダウンがあり、コース幅も広くサーキット特有のダイナミックなレイアウトを楽しめる。東ピットには荷物を置いておける給水所も設けられ、長時間のソロ参加でも安心だ。
種目は2時間、4時間、7時間エンデューロの3つで、それぞれの時間内でどれだけ周回できたかを競うレース形式。出場できるカテゴリーも細かく分かれているため表彰対象が多く、たくさんの人が景品をゲットできるのも嬉しいポイントだ。最大6名までのチームでも参加できるため、会社の同僚や学校の友人、普段の練習仲間などと一緒にレースを楽しめる。
イベントは小学生のキッズレースと未就学児のひよこレースからスタート。コース脇には我が子の勇姿を写真に収めようと親御さんもズラリと並び応援の声を飛ばした。コース幅も広く密集度も低いため小さなお子さんでも安心、同学年の子たちと走れるとあってレースデビューにも最適だろう。
高学年の部では、黄色のジャージが目立つブリッツェン☆ステラの子どもたちが10人以上も数を揃える中、ゲストライダーの新城幸也を従え単独でゴールに帰ってきた都丸藍音くんが余裕の勝利。小学生とは思えないほどキレイに隊列を組んでいた低学年の部では、集団スプリントを制した山口虎太郎くんが優勝。二人はともに同じ群馬のチームに所属しており、2時間キッズの部でもワンツーフィニッシュを決めていた。
さて、9時からはメインとなる4時間と7時間エンデューロの幕開け。ホームストレートになだれ込んでくるように続々と参加者が並び始める。初めてのイベント参加という人もいたかと思うが、上級、中級、初級とそれぞれ自分で並ぶ場所を決めることができ、同じレベルの人たちと固まって走ることができるため安心だ。
長丁場の耐久レースとあってスタート前の雰囲気は和やか。顔馴染みの人同士で会話を弾ませながらリラックスした様子で号砲を待つ。最前列にはサポートライダーとしてJプロツアーを走る選手たちがズラリ。地元栃木の宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼン、Honda栃木を始め、マトリックスパワータグや作新学院大学自転車競技部、秋のもてぎではお馴染みの新城幸也も先導を務めた。
スタート直後は一塊となっている集団もサポートライダーのペーシングによって徐々にバラけていき、表彰台を狙うホビーレーサーたちが先頭グループとなって高速でラップを刻んでいく。対して、仲間と一緒にサーキット走行を楽しんだり、自身の周回記録更新を目標とする人たちは同じスピードの人たちと隊列を組み、無理のないペースで周回をこなしていく。
ロードバイクが大多数だが、中にはママチャリや小径車、MTBにクロスバイクとあらゆる車種が混走しており、親子で参加している人たちも笑顔を浮かべイベントを楽しむ。例年サーキットを彩っていた仮装ライダーは寒さもあって今回はいなかったようだが、会社の制服姿で揃えて参加したチームもいた模様。限界まで追い込んでみたり、サーキットの風景を堪能してみたり、楽しみ方は人それぞれで大丈夫。
筆者もコース脇を歩きながらぐるりと一周。スタート直後には下りのS字コーナーがあり、ホームストレートで長く縦に伸びた集団がうねるように駆け抜ける。左右の切り返しで隣の走者とぶつからないよう、自分のラインを保持して落ち着いてクリアしよう。
オーバルコース下を通るトンネルを抜けたら、もてぎエンデューロ名物の直登区間が参加者を苦しめる。序盤から踏みすぎると後半で登りがキツくなるため、ギアに余裕を持って回しながらこなしていくのが吉。登り切った後は、流れるような下り区間を楽しもう。スピードオーバーになりがちなのでコーナーでは十分に減速、右に左にコーナリングを決めていく様子はさながらサーキットドライバーのようである。
2本のストレート区間で追い風向かい風をそれぞれ感じつつ、ようやくホームストレートへと帰ってくる参加者たち。疲れ具合やチームの作戦に応じてピットインして仲間へバトンタッチだ。「おつかれー!」とピットで出迎えてくれるチーム員と談笑しつつ次の出番までしばしの休憩。
コンビニ等で補給食を買い込んできたチームもいるだろうが、会場には飲食ブースも立ち並び牛串やホットドッグなど各種軽食で小腹を満たす。グランツーリスモカフェも併設されているため昼食にも困らなかったはず。早めにレースを終えた人は、帰り際に関東有数の来場者数を誇る「道の駅もてぎ」に寄って人気のジェラートでもいかがだろう。
また、野外のテントブースでは火器の使用も許可されており、キャンプスタイルでバーベキューやコーヒーを楽しむチームもちらほら。お昼時には炭でお肉を焼くいい香りが会場内を包み込むほどで、自転車イベントながら優雅に昼食を楽しんでいたようだ。
13時でフィニッシュを迎えた4時間エンデューロは、単独にも関わらず先頭集団に1分もの差をつけた石原悠希選手が圧勝。続いて14時からは2時間エンデューロが開始され、朝から走り続ける7時間エンデューロの参加者と一緒になって、フレッシュなライダーたちが再びサーキットに熱気を呼び戻す。日が傾き始める中、集中力を切らさず黙々と周回を重ねる選手たちはどこか凄みのあるようにも見える。
2時間エンデューロにはリカンベントやハンドサイクルの部も設けられている点も特徴だ。これらのバイクが走れる大会は国内でも少なく、愛用者には嬉しい機会となったことだろう。ロードバイクの隊列に混じって車高の低い特徴的なバイクたちも颯爽とコースを駆ける。
さて、辺りが薄暗くなってきた16時で全カテゴリーが終了。ツインリンクもてぎエンジェルがチェッカーフラッグを振りフィニッシュを伝える。7時間エンデューロは58周回ものラップを刻んだ4人のスプリントとなり、わずかに先行した相原良一選手が総合優勝を決めた。ソロ参加で実に280km近い距離をノンストップで走ったというから驚きだ。
もてぎ7時間エンデューロ特有の企業対抗賞も毎年盛り上がりを見せており、今年は4時間クラスではJRでお馴染みの”東日本旅客鉄道”のチームが、7時間クラスでは東京のメッセンジャー会社である”T-serv”のチームがそれぞれ優勝。来年のパンフレットに会社紹介のページが載るとともに、ゼッケンに企業ロゴを入れられる権利を獲得した。
総合優勝者やクラウン賞にはチャンピオンシステム製の水玉チャンピオンジャージが贈呈されるのは例年通り。中には複数枚持っているという猛者もいるのではないだろうか。また、JTB旅行券やツインリンクもてぎで行われる花火の祭典の招待チケットなど、豪華景品も各カテゴリーの優勝者にプレゼントされた他、最後には抽選会も行われ皆笑顔でイベントを終えることができた。
なお次回の春大会は来年の4月29日(水・祝)に開催予定だ。今から予定を空けて、ぜひまたツインリンクもてぎに足を運んでほしい。
text&photo:Yuto.Murata
栃木県茂木町にある国内屈指の国際サーキット、ツインリンクもてぎを会場に毎年春秋の2回開催されている「もてぎ7時間エンデューロ」。秋大会は今回で第16回を数え、関東近郊では定番のエンデューロイベントとして定着している。今年は12月も目前という開催時期となり、山間深い茂木町では朝方は0度を下回る冷え込みに。それでもロードシーズンを締めくくるレースとして、約2200人の参加者がここツインリンクに集まった。
ピットを確保するため早い人は朝の5時過ぎから会場入り。キンと冷えた空気に秋から冬への季節の移り変わりを感じつつ、白い息を吐きながら支度をして7時前にはコース試走に繰り出す。この日は終日晴れの天気で路面は完全にドライ。路面コンディションを気にすることなく思い切り走ることができただろう。寒さ対策のアーム&レッグウォーマーがこの日の標準装備といった気温だが、中には半袖姿の参加者もちらほら。
ツインリンクもてぎと言えば、MotoGPやSUPER GTを始めとするモータースポーツの舞台となるサーキットで、もてぎ7時間エンデューロでは全長4.8kmのロードコースを反時計回りで使用。全部で14のコーナーと高低差30mのアップダウンがあり、コース幅も広くサーキット特有のダイナミックなレイアウトを楽しめる。東ピットには荷物を置いておける給水所も設けられ、長時間のソロ参加でも安心だ。
種目は2時間、4時間、7時間エンデューロの3つで、それぞれの時間内でどれだけ周回できたかを競うレース形式。出場できるカテゴリーも細かく分かれているため表彰対象が多く、たくさんの人が景品をゲットできるのも嬉しいポイントだ。最大6名までのチームでも参加できるため、会社の同僚や学校の友人、普段の練習仲間などと一緒にレースを楽しめる。
イベントは小学生のキッズレースと未就学児のひよこレースからスタート。コース脇には我が子の勇姿を写真に収めようと親御さんもズラリと並び応援の声を飛ばした。コース幅も広く密集度も低いため小さなお子さんでも安心、同学年の子たちと走れるとあってレースデビューにも最適だろう。
高学年の部では、黄色のジャージが目立つブリッツェン☆ステラの子どもたちが10人以上も数を揃える中、ゲストライダーの新城幸也を従え単独でゴールに帰ってきた都丸藍音くんが余裕の勝利。小学生とは思えないほどキレイに隊列を組んでいた低学年の部では、集団スプリントを制した山口虎太郎くんが優勝。二人はともに同じ群馬のチームに所属しており、2時間キッズの部でもワンツーフィニッシュを決めていた。
さて、9時からはメインとなる4時間と7時間エンデューロの幕開け。ホームストレートになだれ込んでくるように続々と参加者が並び始める。初めてのイベント参加という人もいたかと思うが、上級、中級、初級とそれぞれ自分で並ぶ場所を決めることができ、同じレベルの人たちと固まって走ることができるため安心だ。
長丁場の耐久レースとあってスタート前の雰囲気は和やか。顔馴染みの人同士で会話を弾ませながらリラックスした様子で号砲を待つ。最前列にはサポートライダーとしてJプロツアーを走る選手たちがズラリ。地元栃木の宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼン、Honda栃木を始め、マトリックスパワータグや作新学院大学自転車競技部、秋のもてぎではお馴染みの新城幸也も先導を務めた。
スタート直後は一塊となっている集団もサポートライダーのペーシングによって徐々にバラけていき、表彰台を狙うホビーレーサーたちが先頭グループとなって高速でラップを刻んでいく。対して、仲間と一緒にサーキット走行を楽しんだり、自身の周回記録更新を目標とする人たちは同じスピードの人たちと隊列を組み、無理のないペースで周回をこなしていく。
ロードバイクが大多数だが、中にはママチャリや小径車、MTBにクロスバイクとあらゆる車種が混走しており、親子で参加している人たちも笑顔を浮かべイベントを楽しむ。例年サーキットを彩っていた仮装ライダーは寒さもあって今回はいなかったようだが、会社の制服姿で揃えて参加したチームもいた模様。限界まで追い込んでみたり、サーキットの風景を堪能してみたり、楽しみ方は人それぞれで大丈夫。
筆者もコース脇を歩きながらぐるりと一周。スタート直後には下りのS字コーナーがあり、ホームストレートで長く縦に伸びた集団がうねるように駆け抜ける。左右の切り返しで隣の走者とぶつからないよう、自分のラインを保持して落ち着いてクリアしよう。
オーバルコース下を通るトンネルを抜けたら、もてぎエンデューロ名物の直登区間が参加者を苦しめる。序盤から踏みすぎると後半で登りがキツくなるため、ギアに余裕を持って回しながらこなしていくのが吉。登り切った後は、流れるような下り区間を楽しもう。スピードオーバーになりがちなのでコーナーでは十分に減速、右に左にコーナリングを決めていく様子はさながらサーキットドライバーのようである。
2本のストレート区間で追い風向かい風をそれぞれ感じつつ、ようやくホームストレートへと帰ってくる参加者たち。疲れ具合やチームの作戦に応じてピットインして仲間へバトンタッチだ。「おつかれー!」とピットで出迎えてくれるチーム員と談笑しつつ次の出番までしばしの休憩。
コンビニ等で補給食を買い込んできたチームもいるだろうが、会場には飲食ブースも立ち並び牛串やホットドッグなど各種軽食で小腹を満たす。グランツーリスモカフェも併設されているため昼食にも困らなかったはず。早めにレースを終えた人は、帰り際に関東有数の来場者数を誇る「道の駅もてぎ」に寄って人気のジェラートでもいかがだろう。
また、野外のテントブースでは火器の使用も許可されており、キャンプスタイルでバーベキューやコーヒーを楽しむチームもちらほら。お昼時には炭でお肉を焼くいい香りが会場内を包み込むほどで、自転車イベントながら優雅に昼食を楽しんでいたようだ。
13時でフィニッシュを迎えた4時間エンデューロは、単独にも関わらず先頭集団に1分もの差をつけた石原悠希選手が圧勝。続いて14時からは2時間エンデューロが開始され、朝から走り続ける7時間エンデューロの参加者と一緒になって、フレッシュなライダーたちが再びサーキットに熱気を呼び戻す。日が傾き始める中、集中力を切らさず黙々と周回を重ねる選手たちはどこか凄みのあるようにも見える。
2時間エンデューロにはリカンベントやハンドサイクルの部も設けられている点も特徴だ。これらのバイクが走れる大会は国内でも少なく、愛用者には嬉しい機会となったことだろう。ロードバイクの隊列に混じって車高の低い特徴的なバイクたちも颯爽とコースを駆ける。
さて、辺りが薄暗くなってきた16時で全カテゴリーが終了。ツインリンクもてぎエンジェルがチェッカーフラッグを振りフィニッシュを伝える。7時間エンデューロは58周回ものラップを刻んだ4人のスプリントとなり、わずかに先行した相原良一選手が総合優勝を決めた。ソロ参加で実に280km近い距離をノンストップで走ったというから驚きだ。
もてぎ7時間エンデューロ特有の企業対抗賞も毎年盛り上がりを見せており、今年は4時間クラスではJRでお馴染みの”東日本旅客鉄道”のチームが、7時間クラスでは東京のメッセンジャー会社である”T-serv”のチームがそれぞれ優勝。来年のパンフレットに会社紹介のページが載るとともに、ゼッケンに企業ロゴを入れられる権利を獲得した。
総合優勝者やクラウン賞にはチャンピオンシステム製の水玉チャンピオンジャージが贈呈されるのは例年通り。中には複数枚持っているという猛者もいるのではないだろうか。また、JTB旅行券やツインリンクもてぎで行われる花火の祭典の招待チケットなど、豪華景品も各カテゴリーの優勝者にプレゼントされた他、最後には抽選会も行われ皆笑顔でイベントを終えることができた。
なお次回の春大会は来年の4月29日(水・祝)に開催予定だ。今から予定を空けて、ぜひまたツインリンクもてぎに足を運んでほしい。
text&photo:Yuto.Murata
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