2019/03/27(水) - 11:54
東京の臨海部にある流通センターで毎年恒例のハンドメイドバイシクル展が開催された。ビルダー達のこだわりが詰められたユニークなバイクの数々を紹介していこう。
CHERUBIM(ケルビム)
日本を代表するフレームビルダーとして知られる今野真一さん。北米最大のハンドメイドバイクの祭典「NAHBS」における連続受賞など、海外でも高い評価を受けているビルダーである。そんな今野さんが率いるバイクブランドがCHERUBIM(ケルビム)だ。
今回はショーモデルの出展こそなかったものの、バリエーション豊かなケルビムのバイクラインアップを展示。ディスクロードやオールロード、レトロデザインのスポルティーフなどが展示された。
中でも印象的だったのが極細パイプを使用したSticky Stainless。実はこのバイクは同工房の広報である宮田さんがオーダーしたバイクだという。ダウンチューブに1インチという非常に細いステンレスのパイプを使用しており、踏んだときのバネ感が際立っているという。特に登りではこのバネ感とリズムを活かした軽快な走りが楽しめるという。
ジオメトリーも宮田さん好みにカスタマイズされており、一般的なバイクよりシートチューブを立たせているため、踏んでいくペダリングに合っているバイクとなっている。ボトムブラケット部分はフィレットではなく、ハンガーラグを使用しているため、剛性が上がり、かかりの良さに繋がっているという。
バイクだけではなく、オリジナルの傘も作り始めたというケルビム。柄の部分には美しい装飾が施され、雨の日に使うのが楽しみになってしまいそうなアイテムになっていた。こちらは1本15万円ということで、プレミアムな傘となっている。
EQUILIBRIUM CYCLE WORKS(エクイリブリウムサイクルワークス)
東京大田区の多摩川沿いに工房を構えるEQUILIBRIUM CYCLE WORKS(エクイリブリウムサイクルワークス)。日本を代表するNJSビルダーである大瀧製作所の大瀧氏にフレームビルディングを師事されたウラジミール・バラホブスキーさんによる高品質かつハイセンスなフレームが特徴のブランドである。
今回展示されていたのはステンレスチューブを使用したヒルクライムバイク。レースで使用することを前提に軽量かつ高剛性に仕上がるよう設計されたバイクとなっている。アッセンブルされているパーツも至極の軽量パーツを組み合わせており、ペダルを含めた完成車重量は6.2kgだ。金属フレームとしてはかなり軽量な部類に入ると言っていいだろう。
そして新作として展示されていたのがディスクロード。シンプルな造形ながらエンドやブリッジなどにオリジナルデザインの装飾を入れているのが特徴だ。乗り味はロングライドやブルベで使用することをイメージしたエンデュランスロードのような快適性を持つよう仕上げている。タイヤも32Cまで装着可能なため、ファストツーリングやブルベなどにピッタリのバイクとなっている。
その他にもアメリカンマッスルカーのようなマッシブなルックスのアドベンチャーバイクも展示。錆びたような汚し塗装がバイクの雰囲気をより一層際立たせている。
東洋フレーム
大阪の東洋フレームからはビーチクルーザータイプのE-BIKEが登場。シマノSTEPSを搭載した本格的なものとなっている。開発に当たって考えられたのは日本のスポーツバイクの楽しみ方や交通事情に合っているE-BIKEにしたいということ。E-BIKEは24km/hまでのアシストとなるため、その速度域で程よくダートもオンロードも楽しめるバイクとなっている。
そもそも元を辿ればマウンテンバイクはビーチクルーザーを山で乗り出したのが始まり。高速化に伴いレーシーなポジションを取るマウンテンバイクとなったが、ゆっくり走るのであればビーチクルーザーで問題ないとのこと。確かに言われてみればそうかもしれない。ゆっくり楽しくオートバイのハーレーのように優雅にサイクリングを楽しむE-BIKEとして設計したという。
特にこだわったのがパワーユニットのマウント部分だという。シマノSTEPSのユニットは上から吊るすタイプとなっているが、下にパイプを添わせることでバイクのエキゾーストパイプのようなルックスとなっている。ハンドルやライトなども専用設計しており、統一感あるデザインでお洒落に街を走れそうだ。
その他、チタンパイプを使用したシンプルなダイヤモンドスタイルのロードバイクも展示。鏡面のように磨き上げたハイポリッシュモデルとなっており、所有満足度も非常に高そうだ。
東京サイクルデザイン専門学校
東京渋谷にあるサイクルデザイン専門学校の学生も作品を出展。ブルベに最適化したクロモリバイクとして作ったRoad Knightはどこまでディテールにこだわれるかを追求したバイク。厚さ1mmの鉄板を加工して貼り付けるバイラミネートラグに装飾や、ダウンチューブ中に通した真鍮製のワイヤーサポートなどこだわり抜いた1台となっている。
アドベンチャーライドからシクロクロスレースまで対応出来るバーサタイルなバイクを目指したのはInskill。互換性重視でスルーアクスル、フラットマウントのディスクブレーキ対応はもちろんのこと、ギアありからシングルスピードにも対応する柔軟性を持つ。今回はシングルスピードでの展示だったが、T47BBにPF30用のエキセントリックBBを組み合わせることで、チェーンを引いているという。
クランカーというマウンテンバイクのベースとなったクルーザーを意識したというNo,004。「時速20kmのオヤジの世界」をコンセプトにゆっくりとクルージングを楽しもうというバイクとなっている。そのためなるべくシンプルな構成となっている。ワイヤーが張られているのはフロントブレーキのみで、リアはコースターブレーキとなっている。加えてペダルをバックに踏むと内装ギアが変速する仕掛けが付いているのだとか。
ドバッツ・ライノ・ハウス
愛知県尾張市に工房を構えるドバッツ・ライノ・ハウス。「美しい自転車とサイクリングの悦びを」をコンセプトに細部の仕上げまでこだわり抜いたバイクを制作してくれる。今回展示されていたのはラグレスクロモリバイク、サクシードのディスクブレーキ版だ。
ディスクロードとなってもバイク全体の雰囲気は変わらず、シンプル・イズ・ザ・ベストを貫く作り。スルーアクスルやテーパーヘッドチューブなどのディスクロードならではの規格に対応しながら、ドバッツの得意とするフィレットブレイジングや、溶接痕の仕上げなど、変わらない美しさを保っている。
もちろんハンドメイドバイクならではの良さであるジオメトリーオーダーも行うことができる。ブレーキの形式が変わってもバイクのアイデンティティは変わらないという。
three branch cycles(スリーブランチサイクルズ)
東京世田谷に店舗を構えるBIKE&HIKE内に工房を構えるthree branch cycles(スリーブランチサイクルズ)。代表の三枝さんはオーナーの要望になるべく答えたいということから、ロゴマークなどもオリジナルで作ってくれるという。
展示されていたM's ROAD HONESTYはオーナーさんがアメリカの歌手であるビリー・ジョエルのHONESTYという楽曲が好きだということで、そこから作り出した1台。ブランドのようなロゴを作ったという。塗装にもこだわっており、溶接した真鍮のロウ部分が薄く見えるようにクリアブルーを塗っているとのことだが、しっかりと輝きが出るよう、下地を鏡面のようになるまで磨いているという。
その他にも現代チックな太めのチューブを使用したディスクロードや、エアロチューブを使用したトライアスロンバイクなど、バリエーション豊かなバイクを制作しているスリーブランチサイクルズ。オーナーのあらゆる要望に答えてくれるブランドだ。
様々なハンドメイドバイクが集結した今回の展示会。それぞれのブランドやビルダーに個性や良さがあり、語り尽くせないほどのこだわりが詰まったバイクが勢揃いしていた。大量生産の既成品ではないオンリーワンのバイク。あなたも是非、足を踏み入れてみて欲しい。
text&photo:Kosuke.Kamata
CHERUBIM(ケルビム)
日本を代表するフレームビルダーとして知られる今野真一さん。北米最大のハンドメイドバイクの祭典「NAHBS」における連続受賞など、海外でも高い評価を受けているビルダーである。そんな今野さんが率いるバイクブランドがCHERUBIM(ケルビム)だ。
今回はショーモデルの出展こそなかったものの、バリエーション豊かなケルビムのバイクラインアップを展示。ディスクロードやオールロード、レトロデザインのスポルティーフなどが展示された。
中でも印象的だったのが極細パイプを使用したSticky Stainless。実はこのバイクは同工房の広報である宮田さんがオーダーしたバイクだという。ダウンチューブに1インチという非常に細いステンレスのパイプを使用しており、踏んだときのバネ感が際立っているという。特に登りではこのバネ感とリズムを活かした軽快な走りが楽しめるという。
ジオメトリーも宮田さん好みにカスタマイズされており、一般的なバイクよりシートチューブを立たせているため、踏んでいくペダリングに合っているバイクとなっている。ボトムブラケット部分はフィレットではなく、ハンガーラグを使用しているため、剛性が上がり、かかりの良さに繋がっているという。
バイクだけではなく、オリジナルの傘も作り始めたというケルビム。柄の部分には美しい装飾が施され、雨の日に使うのが楽しみになってしまいそうなアイテムになっていた。こちらは1本15万円ということで、プレミアムな傘となっている。
EQUILIBRIUM CYCLE WORKS(エクイリブリウムサイクルワークス)
東京大田区の多摩川沿いに工房を構えるEQUILIBRIUM CYCLE WORKS(エクイリブリウムサイクルワークス)。日本を代表するNJSビルダーである大瀧製作所の大瀧氏にフレームビルディングを師事されたウラジミール・バラホブスキーさんによる高品質かつハイセンスなフレームが特徴のブランドである。
今回展示されていたのはステンレスチューブを使用したヒルクライムバイク。レースで使用することを前提に軽量かつ高剛性に仕上がるよう設計されたバイクとなっている。アッセンブルされているパーツも至極の軽量パーツを組み合わせており、ペダルを含めた完成車重量は6.2kgだ。金属フレームとしてはかなり軽量な部類に入ると言っていいだろう。
そして新作として展示されていたのがディスクロード。シンプルな造形ながらエンドやブリッジなどにオリジナルデザインの装飾を入れているのが特徴だ。乗り味はロングライドやブルベで使用することをイメージしたエンデュランスロードのような快適性を持つよう仕上げている。タイヤも32Cまで装着可能なため、ファストツーリングやブルベなどにピッタリのバイクとなっている。
その他にもアメリカンマッスルカーのようなマッシブなルックスのアドベンチャーバイクも展示。錆びたような汚し塗装がバイクの雰囲気をより一層際立たせている。
東洋フレーム
大阪の東洋フレームからはビーチクルーザータイプのE-BIKEが登場。シマノSTEPSを搭載した本格的なものとなっている。開発に当たって考えられたのは日本のスポーツバイクの楽しみ方や交通事情に合っているE-BIKEにしたいということ。E-BIKEは24km/hまでのアシストとなるため、その速度域で程よくダートもオンロードも楽しめるバイクとなっている。
そもそも元を辿ればマウンテンバイクはビーチクルーザーを山で乗り出したのが始まり。高速化に伴いレーシーなポジションを取るマウンテンバイクとなったが、ゆっくり走るのであればビーチクルーザーで問題ないとのこと。確かに言われてみればそうかもしれない。ゆっくり楽しくオートバイのハーレーのように優雅にサイクリングを楽しむE-BIKEとして設計したという。
特にこだわったのがパワーユニットのマウント部分だという。シマノSTEPSのユニットは上から吊るすタイプとなっているが、下にパイプを添わせることでバイクのエキゾーストパイプのようなルックスとなっている。ハンドルやライトなども専用設計しており、統一感あるデザインでお洒落に街を走れそうだ。
その他、チタンパイプを使用したシンプルなダイヤモンドスタイルのロードバイクも展示。鏡面のように磨き上げたハイポリッシュモデルとなっており、所有満足度も非常に高そうだ。
東京サイクルデザイン専門学校
東京渋谷にあるサイクルデザイン専門学校の学生も作品を出展。ブルベに最適化したクロモリバイクとして作ったRoad Knightはどこまでディテールにこだわれるかを追求したバイク。厚さ1mmの鉄板を加工して貼り付けるバイラミネートラグに装飾や、ダウンチューブ中に通した真鍮製のワイヤーサポートなどこだわり抜いた1台となっている。
アドベンチャーライドからシクロクロスレースまで対応出来るバーサタイルなバイクを目指したのはInskill。互換性重視でスルーアクスル、フラットマウントのディスクブレーキ対応はもちろんのこと、ギアありからシングルスピードにも対応する柔軟性を持つ。今回はシングルスピードでの展示だったが、T47BBにPF30用のエキセントリックBBを組み合わせることで、チェーンを引いているという。
クランカーというマウンテンバイクのベースとなったクルーザーを意識したというNo,004。「時速20kmのオヤジの世界」をコンセプトにゆっくりとクルージングを楽しもうというバイクとなっている。そのためなるべくシンプルな構成となっている。ワイヤーが張られているのはフロントブレーキのみで、リアはコースターブレーキとなっている。加えてペダルをバックに踏むと内装ギアが変速する仕掛けが付いているのだとか。
ドバッツ・ライノ・ハウス
愛知県尾張市に工房を構えるドバッツ・ライノ・ハウス。「美しい自転車とサイクリングの悦びを」をコンセプトに細部の仕上げまでこだわり抜いたバイクを制作してくれる。今回展示されていたのはラグレスクロモリバイク、サクシードのディスクブレーキ版だ。
ディスクロードとなってもバイク全体の雰囲気は変わらず、シンプル・イズ・ザ・ベストを貫く作り。スルーアクスルやテーパーヘッドチューブなどのディスクロードならではの規格に対応しながら、ドバッツの得意とするフィレットブレイジングや、溶接痕の仕上げなど、変わらない美しさを保っている。
もちろんハンドメイドバイクならではの良さであるジオメトリーオーダーも行うことができる。ブレーキの形式が変わってもバイクのアイデンティティは変わらないという。
three branch cycles(スリーブランチサイクルズ)
東京世田谷に店舗を構えるBIKE&HIKE内に工房を構えるthree branch cycles(スリーブランチサイクルズ)。代表の三枝さんはオーナーの要望になるべく答えたいということから、ロゴマークなどもオリジナルで作ってくれるという。
展示されていたM's ROAD HONESTYはオーナーさんがアメリカの歌手であるビリー・ジョエルのHONESTYという楽曲が好きだということで、そこから作り出した1台。ブランドのようなロゴを作ったという。塗装にもこだわっており、溶接した真鍮のロウ部分が薄く見えるようにクリアブルーを塗っているとのことだが、しっかりと輝きが出るよう、下地を鏡面のようになるまで磨いているという。
その他にも現代チックな太めのチューブを使用したディスクロードや、エアロチューブを使用したトライアスロンバイクなど、バリエーション豊かなバイクを制作しているスリーブランチサイクルズ。オーナーのあらゆる要望に答えてくれるブランドだ。
様々なハンドメイドバイクが集結した今回の展示会。それぞれのブランドやビルダーに個性や良さがあり、語り尽くせないほどのこだわりが詰まったバイクが勢揃いしていた。大量生産の既成品ではないオンリーワンのバイク。あなたも是非、足を踏み入れてみて欲しい。
text&photo:Kosuke.Kamata
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