2018/03/06(火) - 09:08
スポーツ用インカムとして注目を集めつつあるBONX。ネットに繋がりさえすれば通信距離に制限がないことやノイズキャンセリングシステムといった様々な機能を搭載し、ライド中もクリアな音声でコミュニケーションを楽しめるツールだ。
BONX Grip
2018年シーズン、UCIワールドチームであるロットNLユンボをサポートするブランド「BONX(ボンクス)」。プロレースにおける現場スタッフ間のやり取りなど様々なシチュエーションで、インカムや無線機の替わりとしてハンズフリー通話を行うために採用されたコミュニケーションツールだ。
従来の無線交信デバイスとBONXの最大の違いは通信方法にあり、BONXはスカイプやLINEと同じようにインターネット回線を使用している。メリットは通信距離に制限がないこと。極端に言えば違う国にいる人ともコミュニケーション可能であり、サイクリングをはじめとするアクティビティのみならず、ありとあらゆるシーンで通話手段として利用することができる。
先述したスカイプやLINEのようなアプリと決定的に異なるのは、声を認識している時のみ通信を行うように調整がされていることだ。 ⼀般的なコミュニケーションアプリは通話状態になると接続を切るまで通信し続けるため、風切り音や騒音がそのまま相手に伝わってしまうが、BONXの場合はそれがない。声を認識していないときは無音になるため快適なコミュニケーションが可能だ。その結果、パケット通信量とバッテリー消費量を抑えることにも成功した。
マイクは前方に1つ。イヤーループによって隠れるため風切音が入りにくい
後方にもマイクが備えられている。2つのマイクを使用することで環境音を小さくすることに成功している
ボディ内側には充電ポートとボタンが備えられている
イヤーキャップは環境音が聞こえるように設計されたオリジナルデザイン
BONXによると二人で1時間使用した時の通信量は約10~15Mバイトになるという。同様な環境で他の通話アプリを使用した場合の4~5分の1程度だという。この数字はBONXがスノースポーツ、フィッシング、サバイバルゲームなど様々なアクティビティで行った調査により算出された、二人での一般的な会話量の平均が「自分の発話"2":相手の発話"2":無言"6"」という割合に基づき計算されたもの。もちろん通信量は会話するメンバーの人数や関係性によって変化するが、週末のサイクリング程度であればパケット通信量が大幅に増加するということはないだろう。
言葉を発すると通信が行われるというのが基本的な仕組みだが、イヤホンに備えられたボタンもしくはスマホのボタンを押した時のみ通信(発信)が行われる、一般的な無線機のような「プッシュトーク」モードも備えられている。必要な時に、必要なだけ発信を行うことで、通信量を抑えることができるはずだ。
加えて一般的なコミュニケーションアプリに対しての優位点は、ユーザーが携帯電波の圏外に出た後、圏内に戻ってきた時の処理方法にもある。一般的なアプリの場合では、一度通信が途切れてしまうと再び通話状態に戻すため、アプリを開き電話をかけ直す必要がある。さらに、相手も着信に気が付き、通話を許可しなければならないケースが多い。
イヤーループは3種類、イヤーキャップは2種類、充電ケーブルと本体がセットとなっている
イヤーループM、イヤーキャップSサイズで17g
しかし、BONXの場合では圏外に出てしまった後、圏内に戻ると自動的に通話状態に復帰してくれるのだ。通話状態に戻す際、わざわざスマホを取り出さなくても良いため、冬場のサイクリングでも寒い思いをせずに済むのは嬉しい。
トーク中に電話の着信があり、電話に出た場合は、自動で一時的にトークルームから退出してくれる。BONXのイヤホンとマイクがそのまま電話に使用でき、かつ会話内容をBONXトークグループに聞かれてしまう心配はない。電話はイヤホンのボタンを押すことで出ることができるため、そのままハンズフリーで話すことも可能だ。
また、BONXはソフト(スマホアプリ)とハード(イヤホン)のどちらも開発していることが強み。それが最も活かされているのがノイズキャンセリング機能だろう。BONXのイヤホンには2つのマイクが備えられており、1つは人の声と環境音を、もう片方は環境音のみを拾うように設計。また、マイクはグリップに隠れており、風切り音が直接マイクに入りにくくなっている。
1個入りの場合、各サイズのイヤーループや持ち運びに便利なケースが付属する (c)BONX
BONXのソフトは各マイクから入った2つの音声データを相殺し、さらに人の声に近い周波数を判断。それ以外の環境音や人の吐息をカットし、声のみを発信してくれるという。風切り音や自動車のノイズを排除してくれるため、快適にコミュニケーションを楽しめる。
ソフトは機械学習によりユーザーの音声環境に自動で最適化してくれるため、シチュエーションにあわせたノイズキャンセリングが働くようになっている。マニュアルでノイズフィルターを調節することも可能だ。
イヤホンはイヤーキャップを耳に入れる方を採用する。耳を密閉するカナル型と異なるのは、イヤーキャップに溝が設けられ、環境音が耳に入ってくる開放型となっている点だ。コミュニケーション性を高めるだけではなく、あえてノイズが耳に届くようにすることで安全性も確保しようという狙いだ。
インカムデバイスBONXを使用してライドに臨んだ
体を激しく動かすアクティビティ中でも耳からイヤホンが脱落しないように、イヤホンには耳の外側にかけるイヤーループと耳の溝に収まるイヤーキャップウィングによってホールドするよう設計される。イヤーループなどはS、M、Lという3サイズが標準で付属する。
防水性能はIPX5グレードであり、水没しない程度の雨天時でも使用することができる。連続通話時間は約7時間で、充電はマイクロUSBによって行う。カラーはグリーン、ピンク、ホワイト、ブラックという4色。
販売は2個入りパッケージ(29,800円、税込)、1個入りパッケージ(15,800円、税込)、右耳交換用キット(2,680円、税込)となっている。取り扱いはインターマックス。
今回はインプレッションもお届けしよう。まずはセッティングから。普段よりスマートフォンとBluetooth機器のペアリングを行っている方であれば、それらと同様にペアリングできる。ペアリング作業に慣れていない方でも、BONXアプリを起動した際にチュートリアルが出現するため、安心してセッティングを完了させられるはずだ。
実際にBONXを装着してライドしてみると、最初は右耳のみに相手の声が届くことへの違和感があった。耳に届く声と、環境音どちらに集中すれば良いのか少し戸惑ってしまいそうに。それはイヤホンを装着しているのにも関わらず、周囲の音と見えない相手の声が同じ耳に届いていたから感じていたものだろう。
しかし、数分も経つとその違和感はどこへやら。いつの間にか環境音と通話の声が自然と混ざりあう。接近する自動車に気を配りつつ、普段通りに会話を楽しめるほどだ。いや、自転車に乗りながら走行風にかき消されがちな声を拾おうと何度も聞き返したりしていた今までよりも、ずっとスムーズにコミュニケーションできる。
普段ライド中は声を相手に通すために大声を上げることも少なくないし、どうしても横に並びたくなる。BONX GRIPを装着していれば、そういった必要は全く無かった。会話したい相手が近くにいるか確認する必要もない。自転車に乗りながらにして普通に会話できるのは、ストレスフリーで楽しいものだとと気付かされた。
人が声を発していない時に自動車が通過する音が届くこともなかった。通信中にトラックのクラクションやカラスの鳴き声といった大きな音や肉声の周波数に近い音が聞こえることはあったが、声が聞き取りにくくなることは無い。
BONXは、ツーリングはもちろん、サーキットエンデューロやMTBパークでのライドなど様々なサイクリングシーンにマッチするデバイスだ。グループの先頭と最後尾のライダーが着用していれば、ペーシングなども行いやすいはず。大人数でのサイクリングを楽しむことが多いチームなどはワンセット用意する価値はありそうだ。
BONX Grip
マイク方式:デュアルマイク
重さ:約15g
本体サイズ(イヤーループを除く):縦×横×厚み = 約32 × 約44 × 約18mm
バッテリー方式:リチウムポリマー電池
充電方式:マイクロUSB
連続通話時間(BONXアプリ使用時):約7時間
待機時間:約400時間
防水性能:IPX5
Bluetooth:Dualmode Bluetooth 4.1 (Classic Bluetooth and Bluetooth Low Energy)
ペアリング済みスマホとの通信距離:最大約10m(Class 2)
対応端末:iPhone 5以降のApple製端末、iOS 9以降。Android 4.3以降の各社端末。(*2)
同梱物:イヤーループ(S/M/L 3サイズ)、イヤーキャップ(S/M 2サイズ)、ステッカー、microUSBケーブル、製品マニュアル
*1: 本体に、イヤーループ及びイヤーキャップを装着した実際の使用時の環境でのサイズです
*2: iPad wi-fiモデルやiPod TouchなどのGPS非搭載の端末ではアプリをインストールすることが出来ません
販売パッケージ
2個入りパッケージ(29,800円、税込)
1個入りパッケージ(15,800円、税込)
右耳交換用キット(2,680円、税込)
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2018年シーズン、UCIワールドチームであるロットNLユンボをサポートするブランド「BONX(ボンクス)」。プロレースにおける現場スタッフ間のやり取りなど様々なシチュエーションで、インカムや無線機の替わりとしてハンズフリー通話を行うために採用されたコミュニケーションツールだ。
従来の無線交信デバイスとBONXの最大の違いは通信方法にあり、BONXはスカイプやLINEと同じようにインターネット回線を使用している。メリットは通信距離に制限がないこと。極端に言えば違う国にいる人ともコミュニケーション可能であり、サイクリングをはじめとするアクティビティのみならず、ありとあらゆるシーンで通話手段として利用することができる。
先述したスカイプやLINEのようなアプリと決定的に異なるのは、声を認識している時のみ通信を行うように調整がされていることだ。 ⼀般的なコミュニケーションアプリは通話状態になると接続を切るまで通信し続けるため、風切り音や騒音がそのまま相手に伝わってしまうが、BONXの場合はそれがない。声を認識していないときは無音になるため快適なコミュニケーションが可能だ。その結果、パケット通信量とバッテリー消費量を抑えることにも成功した。
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BONXによると二人で1時間使用した時の通信量は約10~15Mバイトになるという。同様な環境で他の通話アプリを使用した場合の4~5分の1程度だという。この数字はBONXがスノースポーツ、フィッシング、サバイバルゲームなど様々なアクティビティで行った調査により算出された、二人での一般的な会話量の平均が「自分の発話"2":相手の発話"2":無言"6"」という割合に基づき計算されたもの。もちろん通信量は会話するメンバーの人数や関係性によって変化するが、週末のサイクリング程度であればパケット通信量が大幅に増加するということはないだろう。
言葉を発すると通信が行われるというのが基本的な仕組みだが、イヤホンに備えられたボタンもしくはスマホのボタンを押した時のみ通信(発信)が行われる、一般的な無線機のような「プッシュトーク」モードも備えられている。必要な時に、必要なだけ発信を行うことで、通信量を抑えることができるはずだ。
加えて一般的なコミュニケーションアプリに対しての優位点は、ユーザーが携帯電波の圏外に出た後、圏内に戻ってきた時の処理方法にもある。一般的なアプリの場合では、一度通信が途切れてしまうと再び通話状態に戻すため、アプリを開き電話をかけ直す必要がある。さらに、相手も着信に気が付き、通話を許可しなければならないケースが多い。
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しかし、BONXの場合では圏外に出てしまった後、圏内に戻ると自動的に通話状態に復帰してくれるのだ。通話状態に戻す際、わざわざスマホを取り出さなくても良いため、冬場のサイクリングでも寒い思いをせずに済むのは嬉しい。
トーク中に電話の着信があり、電話に出た場合は、自動で一時的にトークルームから退出してくれる。BONXのイヤホンとマイクがそのまま電話に使用でき、かつ会話内容をBONXトークグループに聞かれてしまう心配はない。電話はイヤホンのボタンを押すことで出ることができるため、そのままハンズフリーで話すことも可能だ。
また、BONXはソフト(スマホアプリ)とハード(イヤホン)のどちらも開発していることが強み。それが最も活かされているのがノイズキャンセリング機能だろう。BONXのイヤホンには2つのマイクが備えられており、1つは人の声と環境音を、もう片方は環境音のみを拾うように設計。また、マイクはグリップに隠れており、風切り音が直接マイクに入りにくくなっている。
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ソフトは機械学習によりユーザーの音声環境に自動で最適化してくれるため、シチュエーションにあわせたノイズキャンセリングが働くようになっている。マニュアルでノイズフィルターを調節することも可能だ。
イヤホンはイヤーキャップを耳に入れる方を採用する。耳を密閉するカナル型と異なるのは、イヤーキャップに溝が設けられ、環境音が耳に入ってくる開放型となっている点だ。コミュニケーション性を高めるだけではなく、あえてノイズが耳に届くようにすることで安全性も確保しようという狙いだ。
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体を激しく動かすアクティビティ中でも耳からイヤホンが脱落しないように、イヤホンには耳の外側にかけるイヤーループと耳の溝に収まるイヤーキャップウィングによってホールドするよう設計される。イヤーループなどはS、M、Lという3サイズが標準で付属する。
防水性能はIPX5グレードであり、水没しない程度の雨天時でも使用することができる。連続通話時間は約7時間で、充電はマイクロUSBによって行う。カラーはグリーン、ピンク、ホワイト、ブラックという4色。
販売は2個入りパッケージ(29,800円、税込)、1個入りパッケージ(15,800円、税込)、右耳交換用キット(2,680円、税込)となっている。取り扱いはインターマックス。
今回はインプレッションもお届けしよう。まずはセッティングから。普段よりスマートフォンとBluetooth機器のペアリングを行っている方であれば、それらと同様にペアリングできる。ペアリング作業に慣れていない方でも、BONXアプリを起動した際にチュートリアルが出現するため、安心してセッティングを完了させられるはずだ。
実際にBONXを装着してライドしてみると、最初は右耳のみに相手の声が届くことへの違和感があった。耳に届く声と、環境音どちらに集中すれば良いのか少し戸惑ってしまいそうに。それはイヤホンを装着しているのにも関わらず、周囲の音と見えない相手の声が同じ耳に届いていたから感じていたものだろう。
しかし、数分も経つとその違和感はどこへやら。いつの間にか環境音と通話の声が自然と混ざりあう。接近する自動車に気を配りつつ、普段通りに会話を楽しめるほどだ。いや、自転車に乗りながら走行風にかき消されがちな声を拾おうと何度も聞き返したりしていた今までよりも、ずっとスムーズにコミュニケーションできる。
普段ライド中は声を相手に通すために大声を上げることも少なくないし、どうしても横に並びたくなる。BONX GRIPを装着していれば、そういった必要は全く無かった。会話したい相手が近くにいるか確認する必要もない。自転車に乗りながらにして普通に会話できるのは、ストレスフリーで楽しいものだとと気付かされた。
人が声を発していない時に自動車が通過する音が届くこともなかった。通信中にトラックのクラクションやカラスの鳴き声といった大きな音や肉声の周波数に近い音が聞こえることはあったが、声が聞き取りにくくなることは無い。
BONXは、ツーリングはもちろん、サーキットエンデューロやMTBパークでのライドなど様々なサイクリングシーンにマッチするデバイスだ。グループの先頭と最後尾のライダーが着用していれば、ペーシングなども行いやすいはず。大人数でのサイクリングを楽しむことが多いチームなどはワンセット用意する価値はありそうだ。
BONX Grip
マイク方式:デュアルマイク
重さ:約15g
本体サイズ(イヤーループを除く):縦×横×厚み = 約32 × 約44 × 約18mm
バッテリー方式:リチウムポリマー電池
充電方式:マイクロUSB
連続通話時間(BONXアプリ使用時):約7時間
待機時間:約400時間
防水性能:IPX5
Bluetooth:Dualmode Bluetooth 4.1 (Classic Bluetooth and Bluetooth Low Energy)
ペアリング済みスマホとの通信距離:最大約10m(Class 2)
対応端末:iPhone 5以降のApple製端末、iOS 9以降。Android 4.3以降の各社端末。(*2)
同梱物:イヤーループ(S/M/L 3サイズ)、イヤーキャップ(S/M 2サイズ)、ステッカー、microUSBケーブル、製品マニュアル
*1: 本体に、イヤーループ及びイヤーキャップを装着した実際の使用時の環境でのサイズです
*2: iPad wi-fiモデルやiPod TouchなどのGPS非搭載の端末ではアプリをインストールすることが出来ません
販売パッケージ
2個入りパッケージ(29,800円、税込)
1個入りパッケージ(15,800円、税込)
右耳交換用キット(2,680円、税込)
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