2017/06/03(土) - 09:08
5月にイタリアで開催されたグランフォンド「Granfondo Felice Gimondi Bianchi」に日本人グループのツアーで参加したレポートを連載でお届け。ビアンキ本社工場訪問見学や古都ベルガモやミラノの観光も楽しんだ盛りだくさんの参加ツアーだ。
チェレステグリーンが特徴的なイタリアの人気バイクブランド、ビアンキ。同社が主催し、5月7日に開催された「Granfondo Felice Gimondi Bianchi(グランフォンド・フェリーチェジモンディ・ビアンキ)。同社の日本総代理店サイクルヨーロッパジャパンが企画した参戦ツアーに帯同取材した。
「グランフォンド・フェリーチェ・ジモンディ・ビアンキ」は、今年で開催21回目を迎えるイタリア本国でも人気の高い伝統あるグランフォンド。ビアンキがメインスポンサーを務め、ビアンキのバイクに乗って活躍したレジェンド、フェリーチェ・ジモンディ氏の名前を冠した大会で、同社が拠点とする北イタリアの古都ベルガモをスタート/ゴール地点とし、美しい北部の山岳を走る大会となっているのだ。
今回日本からの参加ツアーには10人が参加。一般の方に加えてサイクルショップチェーンのワイズロード大阪・名古屋・横浜のスタッフに、ビアンキ表参道ストアのスタッフも加えたグループで参加した。
まずは拠点となる古都ベルガモでの大会前日の様子からレポートを始めよう。
前日はレジストレーション(受付け)だ。ホテルでバイクを組み立て、向かうはメイン会場となるベルガモ市内のサッカースタジアム。
実は今回はビアンキ経由での申込みで、「Team Bianchi Japan」として参加する。ビアンキ社がメインスポンサーなので、日本代理店のサイクルヨーロッパジャパンが企画するツアーならではの特典だ。
受付会場のスタジアムに着くと、様々なブランドのブースが立ち並ぶエキスポが開催されていた。約4,100人以上が参加するイベントということで、さすがの充実ぶりだ。「あなたは日本人? この大会を走るの?」と、ここで色々な人から声をかけられる。イタリア人は陽気で、なかなか楽しい出会いがある。
「特別待遇」は、さっそくここでおおいに発揮される。4千人で混雑する受付だが、ビアンキ専用窓口でゼッケンの受け渡し完了。ビアンキブースには新型モデル含む新車のロードバイクがずらりと並んでいる。訊けば世界各国の招待選手が乗るレンタルぶんとのことだ。我々もどうやらその対象だったのだが、日本人はサイズが小さくフィットが難しいため、日本からバイクを持ち込んだのだ。やはり本格的に距離を走るイベントなのでそのほうが安心だ。
このビアンキテントではいろいろなビアンキグッズが販売されていて、マニアにはたまらない。ここでしか手に入らないものも多く、チェレステ好きな人はさっそくお買い物だ。
案内してくれた同社広報のクラウディオ・マスナタさんは元イタリア代表にもなったワールドクラスのトラック選手。そしてブースにはビアンキのスウェットを着た、どこかで見た顔の人。声をかければツール・ド・フランスのラルプデュエズの覇者ジュゼッペ・グエリーニさんだ。グエリーニさんはTモバイルで走った1999年、ゴール前でカメラを持った観客とぶつかって落車しながらもこの難関山岳で優勝したシーンを覚えている人もいるだろう(私はそのステージを現地で取材しているので感激してしまった)。
クラウディオさんによればビアンキは引退した元プロ選手の雇用に超積極的で、たくさんの名選手が働いているという。そしてこの大会の顔、フェリーチェ・ジモンディさんも、「ビアンキの仕事しかしない」と公言しているんだそうだ。ちなみにジモンディさんはこの場にも来たそうだが、タイミング悪くすれ違ったらしい。
ベルガモのビアンキストアでショッピング
ベルガモはビアンキ社のお膝元ということで、市街中心部にはビアンキストアがある。さっそく皆で訪問することに。
旧市街「チッタアルタ」と新市街「チッタバッサ」をつなぐポルタヌオーバにほど近い、高級ブランドショップが並ぶ一等地にビアンキのフラッグシップストアはあった。
シンボルカラーであるチェレステを所々にあしらいながら、センス良くまとめられたインテリアの店内。グランフォンド参加者たちが次々と訪れ、お土産を買うのに賑わっていた。皆もさっそくイタリアでしか買えないグッズを探し始める。
店内の踊り場にピンクのオルトレXR4フレームが置いてあるのに目が留まる。マリアローザカラーのフレームにはロットNLユンボのロゴマークもあしらわれている。そう、ステフェン・クライスヴァイクがジロ優勝目前にステルヴィオ峠で側道の雪に突っ込んで落車し、マリアローザを逃したのは昨年のこと。それはつまり、クライスヴァイクのミラノ凱旋のために用意された「使われなかったジロ優勝祝福フレーム」だったのだ。
そのストーリーを知る皆で、しみじみとそのフレームを眺めた。ビアンキにとって今年のジロはマリアローザ獲得を悲願とする特別なものだったようだ。ちなみにグランツールでビアンキのバイクを駆った選手が優勝したのは1998年のマルコ・パンターニのダブルツール(ツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアを同年に制する)に遡るのだ。
買い物を終えてピッツアを食べたら、午後は「ロンバルディアの貴婦人」の異名を持つベルガモの旧市街「チッタ・アルタ」の散策だ。フニクラ(ケーブルカー)で登った城塞都市はあいにくの雨だったが、雰囲気のある街並みを楽しんだ。イタリアでももっとも美しい街のひとつと言われている。
夜は大会が主催するパスタパーティへ。前日のカーボローディングにばっちりなパスタをたっぷりと振る舞ってくれるパーティだが、地元ボランティアのマンマたちが茹でてくれるパスタを、ポモドーロ(トマトソース)、パルミジャーノ・レッジャーノ(チーズ)などで食べる。これがシンプルながらなんともいえず美味しい。日本なら手打ちうどんに相当するような茹でたてアツアツをほおばれば、「ブオーノ(おいしい)」連発である。料理がなんでも美味しいイタリアの、基本中の基本の味だ。
雨の降るなか、おおいに迷いながら歩いて新市街のホテルに帰り、明日のグランフォンドの用意をする。特別扱いということでお揃いのBianchi Granfondo Teamのジャージも頂き、ゼッケンを付けて準備完了。美味しいワインを寝酒に、明日へむけてボナノッテ(おやすみなさい)するのだった。
続く
photo&text:Makoto.AYANO
チェレステグリーンが特徴的なイタリアの人気バイクブランド、ビアンキ。同社が主催し、5月7日に開催された「Granfondo Felice Gimondi Bianchi(グランフォンド・フェリーチェジモンディ・ビアンキ)。同社の日本総代理店サイクルヨーロッパジャパンが企画した参戦ツアーに帯同取材した。
「グランフォンド・フェリーチェ・ジモンディ・ビアンキ」は、今年で開催21回目を迎えるイタリア本国でも人気の高い伝統あるグランフォンド。ビアンキがメインスポンサーを務め、ビアンキのバイクに乗って活躍したレジェンド、フェリーチェ・ジモンディ氏の名前を冠した大会で、同社が拠点とする北イタリアの古都ベルガモをスタート/ゴール地点とし、美しい北部の山岳を走る大会となっているのだ。
今回日本からの参加ツアーには10人が参加。一般の方に加えてサイクルショップチェーンのワイズロード大阪・名古屋・横浜のスタッフに、ビアンキ表参道ストアのスタッフも加えたグループで参加した。
まずは拠点となる古都ベルガモでの大会前日の様子からレポートを始めよう。
前日はレジストレーション(受付け)だ。ホテルでバイクを組み立て、向かうはメイン会場となるベルガモ市内のサッカースタジアム。
実は今回はビアンキ経由での申込みで、「Team Bianchi Japan」として参加する。ビアンキ社がメインスポンサーなので、日本代理店のサイクルヨーロッパジャパンが企画するツアーならではの特典だ。
受付会場のスタジアムに着くと、様々なブランドのブースが立ち並ぶエキスポが開催されていた。約4,100人以上が参加するイベントということで、さすがの充実ぶりだ。「あなたは日本人? この大会を走るの?」と、ここで色々な人から声をかけられる。イタリア人は陽気で、なかなか楽しい出会いがある。
「特別待遇」は、さっそくここでおおいに発揮される。4千人で混雑する受付だが、ビアンキ専用窓口でゼッケンの受け渡し完了。ビアンキブースには新型モデル含む新車のロードバイクがずらりと並んでいる。訊けば世界各国の招待選手が乗るレンタルぶんとのことだ。我々もどうやらその対象だったのだが、日本人はサイズが小さくフィットが難しいため、日本からバイクを持ち込んだのだ。やはり本格的に距離を走るイベントなのでそのほうが安心だ。
このビアンキテントではいろいろなビアンキグッズが販売されていて、マニアにはたまらない。ここでしか手に入らないものも多く、チェレステ好きな人はさっそくお買い物だ。
案内してくれた同社広報のクラウディオ・マスナタさんは元イタリア代表にもなったワールドクラスのトラック選手。そしてブースにはビアンキのスウェットを着た、どこかで見た顔の人。声をかければツール・ド・フランスのラルプデュエズの覇者ジュゼッペ・グエリーニさんだ。グエリーニさんはTモバイルで走った1999年、ゴール前でカメラを持った観客とぶつかって落車しながらもこの難関山岳で優勝したシーンを覚えている人もいるだろう(私はそのステージを現地で取材しているので感激してしまった)。
クラウディオさんによればビアンキは引退した元プロ選手の雇用に超積極的で、たくさんの名選手が働いているという。そしてこの大会の顔、フェリーチェ・ジモンディさんも、「ビアンキの仕事しかしない」と公言しているんだそうだ。ちなみにジモンディさんはこの場にも来たそうだが、タイミング悪くすれ違ったらしい。
ベルガモのビアンキストアでショッピング
ベルガモはビアンキ社のお膝元ということで、市街中心部にはビアンキストアがある。さっそく皆で訪問することに。
旧市街「チッタアルタ」と新市街「チッタバッサ」をつなぐポルタヌオーバにほど近い、高級ブランドショップが並ぶ一等地にビアンキのフラッグシップストアはあった。
シンボルカラーであるチェレステを所々にあしらいながら、センス良くまとめられたインテリアの店内。グランフォンド参加者たちが次々と訪れ、お土産を買うのに賑わっていた。皆もさっそくイタリアでしか買えないグッズを探し始める。
店内の踊り場にピンクのオルトレXR4フレームが置いてあるのに目が留まる。マリアローザカラーのフレームにはロットNLユンボのロゴマークもあしらわれている。そう、ステフェン・クライスヴァイクがジロ優勝目前にステルヴィオ峠で側道の雪に突っ込んで落車し、マリアローザを逃したのは昨年のこと。それはつまり、クライスヴァイクのミラノ凱旋のために用意された「使われなかったジロ優勝祝福フレーム」だったのだ。
そのストーリーを知る皆で、しみじみとそのフレームを眺めた。ビアンキにとって今年のジロはマリアローザ獲得を悲願とする特別なものだったようだ。ちなみにグランツールでビアンキのバイクを駆った選手が優勝したのは1998年のマルコ・パンターニのダブルツール(ツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアを同年に制する)に遡るのだ。
買い物を終えてピッツアを食べたら、午後は「ロンバルディアの貴婦人」の異名を持つベルガモの旧市街「チッタ・アルタ」の散策だ。フニクラ(ケーブルカー)で登った城塞都市はあいにくの雨だったが、雰囲気のある街並みを楽しんだ。イタリアでももっとも美しい街のひとつと言われている。
夜は大会が主催するパスタパーティへ。前日のカーボローディングにばっちりなパスタをたっぷりと振る舞ってくれるパーティだが、地元ボランティアのマンマたちが茹でてくれるパスタを、ポモドーロ(トマトソース)、パルミジャーノ・レッジャーノ(チーズ)などで食べる。これがシンプルながらなんともいえず美味しい。日本なら手打ちうどんに相当するような茹でたてアツアツをほおばれば、「ブオーノ(おいしい)」連発である。料理がなんでも美味しいイタリアの、基本中の基本の味だ。
雨の降るなか、おおいに迷いながら歩いて新市街のホテルに帰り、明日のグランフォンドの用意をする。特別扱いということでお揃いのBianchi Granfondo Teamのジャージも頂き、ゼッケンを付けて準備完了。美味しいワインを寝酒に、明日へむけてボナノッテ(おやすみなさい)するのだった。
続く
photo&text:Makoto.AYANO
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