2015/12/19(土) - 07:31
市民レースが人気のツール・ド・おきなわだが、土・日曜にわたって楽しめるサイクリングの部も人気が高い。やんばる地方をぐるりと巡るロングライドの様子を実走レポートでお伝えしよう。
台湾から来た許夏美さん率いるグループ
チームORIONは、15年ほど前にオリオンビール工場見学中に知り合った人たちによって結成されたというチーム
南国デザインのツール・ド・おきなわオリジナルウェアで走る
在沖縄アメリカ人も多く参加しています
沖縄北部「やんばる地方」は、レースの舞台でもある。アップダウンの厳しいコースだが、コースの素晴らしさからツーリング部門も人気が高い。ここでは土曜日の本島一周サイクリング346kmの一日目と、やんばるセンチュリーライド176kmの模様を紹介しよう。
このふたつは基本的に土曜は同じコースを走り、沖縄本島の北半分をぐるりと廻る。本島一周サイクリングは日曜にもう半分の南を走ることができる2日間のフルコースだ。
和太鼓の応援演奏に見送られてスタートしていく
スタートは早朝7時。市民会館前のアーチを、太鼓の音に見送られながら出発していく。今年は朝から快晴。期間中素晴らしい天気に恵まれた。走りだしてすぐに海からの日の出が参加者たちを照らす。
集まった参加者は本島一周が380人、やんばるセンチュリーが220人。もともと国際色豊かなツール・ド・おきなわだが、最近目立つのが台湾からの参加者の皆さん。じつに本島一周の半数以上の約200人が台湾人というから驚きだ。
朝日を浴びながら走り出していく。今年は天気が最高!
市街を抜け、一路やんばる地方へ
屋我地島を通過する新ルートを走る参加者たち
この傾向は近年ずっと続いていて、大半がいくつかのグループツアーでやってくるのだ。聞けば沖縄の風土も気候も食事も台湾と似通っているので、違和感なく走れるのだそうだ。皆さん高級バイクに乗って、着たウェアのお洒落さも日本を超えている感がある。可処分所得の多い裕福層のようです。
本部半島をぐるり走ると、屋我地島のワルミ大橋を通った。3年ぶりの参加の私には新コースで新鮮だった。眼下の海は澄んで美しい。アーチ橋として日本で5番目の長さを誇る橋梁からは、美ら島センチュリーライドでも通る古宇利大橋を眺められた。このダイナミックな景観をしばし堪能する。
遠くに見えるは美ら島センチュリーランでもお馴染みの古宇利大橋
前半の約85kmは海沿いの沖縄らしい景観をいく平坦路だ。海を左手に見ながら、淡々と、快調に距離を稼ぐ。参加者たちはチェックポイントになっているエイドステーションでストップしながらも、脚の揃った仲間や集団をみつけて足早に走っていく。
エイドステーションで供されるのは、沖縄名産のサーターアンダーギー(揚げドーナツ)や、シークワーサージュース(レモンの一種)、黒糖など、南国ならではの味が嬉しい。汗を大量にかくので、ミネラル補給の「まーす」(塩)もしっかり用意されている。
沖縄のレモン「シークワーサー」は爽やかな酸っぱさ
大宜味エイドステーションのオバァ いい笑顔です
補給食に沖縄の揚げドーナツ「サーターアンダギー」はいかが?
足つり予防に「まーす(塩)」が用意されているのはありがたい
海を見ながら淡々と走り続ける80kmだ
海の風景を楽しみながら快調に走る。初参加の人なら楽々ロングライドと思いたいところだが、その先は厳しいアップダウンへと入るのだ。レース部門が通る普久川ダムへの登りは通らないが、国頭から奥の最北部をぐるりと周るのだ。
奥ではランチタイムだ。ここでしっかりと食事を摂るのがツール・ド・おきなわ流。地元のおばちゃんたちがつくってくれた味噌汁にカレーライスがたっぷり。これからの厳しい山道を乗り切るためにも、ここでたくさん食べておく必要がある。
奥の昼食ポイントではオバァが味噌汁を振る舞ってくれる
台湾からの参加グループも沖縄料理は口にあうそうです
昼食は難路に備えて味噌汁とカレーでがっつり行きましょう!
沖縄限定のシークワーサー味のファンタ!
後半の110km以上が、世界遺産になっているやんばるの熱帯林のジャングルをいくアップダウンの激しい道のりだ。「ヤンバルクイナの飛び出し注意」の看板は観光客へのウケ狙いではない。運が良ければ道端で本当にその絶滅危惧種の飛べない鳥に出遭うこともあるのだ。
やんばる路のアップダウンは思わず歩いてしまうほど厳しい
海も時々しか見えず、鬱蒼としたジャングルを行く道。時折森の展望が開けるスポットからは、太古の息吹が聞こえてきそうな原始の風景が広がっている。
高江のヒロコーヒーファーム 南国調の店舗が楽しい
美味しいアイスコーヒーを淹れてくれたオーナーの足立朋子さん
高江の共同売店手前には、手作りでコーヒー豆を育てている「ヒロコーヒーファーム」がある。2012年の台風の影響で農園がダメージを受け、店舗が倒壊。現在はコーヒー豆の木を再生中で、園で手作りしたコーヒーは提供できていない。以前のお店を知る身にはちょっと残念だが、それでも美味しいコーヒーを淹れてくれる。ライド中、ちょうど眠気に襲われる時間帯だけにぜひ立ち寄って見て欲しい。庭で放し飼いされる鶏の卵でつくったプリンなどと一緒に飲むアイスコーヒーは格別だ。
レースの勝負どころとなるアップダウンが続きます
4人揃ってAvedio(エヴァディオ)のバイクで走るチームまるいちの皆さん
東京西部の多摩湖から来たスクーデリアLEONIの皆さん
関門となる高江から先も海側に景色が開けるが、延々と続くアップダウン。クルマもほとんど通らない。通るのは翌日のレースに備えてコースを下見するサイクリストたちだけ。
パイナップルで有名な東江(あがりえ)のエイドでは、手作りのパイナップルゼリーにそうめんをいただく。おなかがすく後半にこうした美味しい補給ものを用意してくれるのは嬉しい。
冷えたパイナップルゼリーは透明感たっぷりの味でした
このタイミングでそうめんはたまらない美味しさだ
台湾のグループ「アルコール・チーム」とは?
背中のポッケにビールが入っています(笑)
日が傾いたことを感じながら、足切り時間の16時までに最後のエイド「道の駅・大浦わんさかパーク」にたどり着く。だが、ここから名護まで戻るのにも山越えの坂道を登らなければいけない。レース部門が通る最後の登りを「番越トンネル」から直進してしばらく上る。そこから下ればようやく名護市街だ。ダイナミックに下った先にいきなり夕暮れの市街を見渡すパノラマポイントが登場するので、感動的だ。
夕陽に輝く名護市街へとダイブ!するようなダウンヒル
もし、名護の到着時間が15時台以前なら、ゴール前に通過するオリオンビール工場の見学に立ち寄るというのもアイデア。見学に小一時間。試飲もできるが、飲酒運転になるのでそれ以降に自転車に乗らないことが条件になりますが。
コースの最後のほうには、カミハギサイクルとRomanの、チームジャージが異なる女性ふたり組とペースが合って一緒に走らせてもらった。翌日レースに出るという白川ふみこさん(愛知県)と、女子国際ロードに出る友人を応援するという高田みづきさん(富山県)。以前サイクルイベント中に知り合って、今日はスタートで再会してからずっと一緒に走って楽しんだという。
完走証を手にニッコリのチームまるいちの皆さん
翌日レースに出るという白川ふみこさん(カミハギ)と、女子国際ロードに出る友人を応援するという高田みづきさん(Roman)と
そう、やんばるのコースはちょっとコースが走りごたえたっぷり過ぎるから筋肉痛が残ってしまうかもしれないが、土曜にサイクリング、日曜にレースのダブルエントリーをする人も何人かいるようです。本部半島の50kmレースクラスの人なら、むしろ良いウォームアップになるでしょう!
本島一周コースはもちろん2日目へと続きます。私はレース部門の取材があるのでこの一日目のやんばるサイクリングにて終了、名護へと戻りました。このレポートもここでおしまいです。
ちなみに2日目のコースは、1日目よりアップダウンが無くずっと楽。海中道路を通過し、沖縄の街やリゾート地の海岸沿いなどを走り抜けるバラエティに富んだコースです。
text&photo:Makoto.AYANO
CW facebook フォトアルバム
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沖縄北部「やんばる地方」は、レースの舞台でもある。アップダウンの厳しいコースだが、コースの素晴らしさからツーリング部門も人気が高い。ここでは土曜日の本島一周サイクリング346kmの一日目と、やんばるセンチュリーライド176kmの模様を紹介しよう。
このふたつは基本的に土曜は同じコースを走り、沖縄本島の北半分をぐるりと廻る。本島一周サイクリングは日曜にもう半分の南を走ることができる2日間のフルコースだ。
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スタートは早朝7時。市民会館前のアーチを、太鼓の音に見送られながら出発していく。今年は朝から快晴。期間中素晴らしい天気に恵まれた。走りだしてすぐに海からの日の出が参加者たちを照らす。
集まった参加者は本島一周が380人、やんばるセンチュリーが220人。もともと国際色豊かなツール・ド・おきなわだが、最近目立つのが台湾からの参加者の皆さん。じつに本島一周の半数以上の約200人が台湾人というから驚きだ。
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本部半島をぐるり走ると、屋我地島のワルミ大橋を通った。3年ぶりの参加の私には新コースで新鮮だった。眼下の海は澄んで美しい。アーチ橋として日本で5番目の長さを誇る橋梁からは、美ら島センチュリーライドでも通る古宇利大橋を眺められた。このダイナミックな景観をしばし堪能する。
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前半の約85kmは海沿いの沖縄らしい景観をいく平坦路だ。海を左手に見ながら、淡々と、快調に距離を稼ぐ。参加者たちはチェックポイントになっているエイドステーションでストップしながらも、脚の揃った仲間や集団をみつけて足早に走っていく。
エイドステーションで供されるのは、沖縄名産のサーターアンダーギー(揚げドーナツ)や、シークワーサージュース(レモンの一種)、黒糖など、南国ならではの味が嬉しい。汗を大量にかくので、ミネラル補給の「まーす」(塩)もしっかり用意されている。
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奥ではランチタイムだ。ここでしっかりと食事を摂るのがツール・ド・おきなわ流。地元のおばちゃんたちがつくってくれた味噌汁にカレーライスがたっぷり。これからの厳しい山道を乗り切るためにも、ここでたくさん食べておく必要がある。
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高江の共同売店手前には、手作りでコーヒー豆を育てている「ヒロコーヒーファーム」がある。2012年の台風の影響で農園がダメージを受け、店舗が倒壊。現在はコーヒー豆の木を再生中で、園で手作りしたコーヒーは提供できていない。以前のお店を知る身にはちょっと残念だが、それでも美味しいコーヒーを淹れてくれる。ライド中、ちょうど眠気に襲われる時間帯だけにぜひ立ち寄って見て欲しい。庭で放し飼いされる鶏の卵でつくったプリンなどと一緒に飲むアイスコーヒーは格別だ。
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関門となる高江から先も海側に景色が開けるが、延々と続くアップダウン。クルマもほとんど通らない。通るのは翌日のレースに備えてコースを下見するサイクリストたちだけ。
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日が傾いたことを感じながら、足切り時間の16時までに最後のエイド「道の駅・大浦わんさかパーク」にたどり着く。だが、ここから名護まで戻るのにも山越えの坂道を登らなければいけない。レース部門が通る最後の登りを「番越トンネル」から直進してしばらく上る。そこから下ればようやく名護市街だ。ダイナミックに下った先にいきなり夕暮れの市街を見渡すパノラマポイントが登場するので、感動的だ。
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コースの最後のほうには、カミハギサイクルとRomanの、チームジャージが異なる女性ふたり組とペースが合って一緒に走らせてもらった。翌日レースに出るという白川ふみこさん(愛知県)と、女子国際ロードに出る友人を応援するという高田みづきさん(富山県)。以前サイクルイベント中に知り合って、今日はスタートで再会してからずっと一緒に走って楽しんだという。
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そう、やんばるのコースはちょっとコースが走りごたえたっぷり過ぎるから筋肉痛が残ってしまうかもしれないが、土曜にサイクリング、日曜にレースのダブルエントリーをする人も何人かいるようです。本部半島の50kmレースクラスの人なら、むしろ良いウォームアップになるでしょう!
本島一周コースはもちろん2日目へと続きます。私はレース部門の取材があるのでこの一日目のやんばるサイクリングにて終了、名護へと戻りました。このレポートもここでおしまいです。
ちなみに2日目のコースは、1日目よりアップダウンが無くずっと楽。海中道路を通過し、沖縄の街やリゾート地の海岸沿いなどを走り抜けるバラエティに富んだコースです。
text&photo:Makoto.AYANO
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たるグラス5個セット(オレンジ・青・水・緑・紫)
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