秋も深まった11月1日。神奈川県開成町にて、第1回目となる「足柄ロングライド」が開催された。心地よい秋晴れの中、350人が足柄エリアを自転車で満喫した様子を紹介しましょう。
快晴に恵まれた開成水辺公園をスタートする足柄ロングライド
天高く、馬肥ゆる秋。豊かで実りある秋という季節を表すことわざがこんなにもしっくりくる大会はない。もっとも、肥ゆるのは馬(自転車)ではなくその上に乗っている私達、サイクリスト自身なのであるが。ともあれ、足柄ロングライドは景色良し、グルメよしと初回大会にして、非常に満足度の高いイベントであった。
さて、いきなり結論から書き始めてしまったが、さる11月1日(日)に開催された足柄ロングライドにお邪魔してきたシクロワイアード編集部。もてぎ7耐の取材から取って返し、朝8時には会場となる開成水辺スポーツ公園に到着。これからのシクロクロスシーズンでは湘南クロスの会場としてもなじみ深いロケーションには、すでに多くの人が集まり始めていた。
5人程度のグループで出発していく
「あじさいちゃん」と一緒にスタート前の記念撮影
河川敷を通る人達も見ていました
開成町の町制60周年を記念して開催される運びとなった、この足柄ロングライド。初回大会ながらも、受付では事前に車検証の提出を義務づけるなど、安全面への配慮も怠っていないことが感じられるのは、運営に湘南ベルマーレが関わっていることが大きいだろう。
9時のスタートの前には、開成町のゆるキャラである「あじさいちゃん」が登場し、スタート前のみなさんを盛り上げてくれる中、5人程度のグループごとに分かれて出発していくことに。スタート会場を出て、酒匂川を左手に見ながら西へと進む。交通量の多い国道246号線を避けつつ、丹沢湖へと向かうルートを走っていると、昔からこのあたりを走りなれたローカルライダーになったような気分に。
序盤は平坦路で気持ちいい!
裏道をつないで走っていきます
10%を越える登りを走っていく
東名高速の下をくぐっていく
丹沢湖へと向かう私達の前に現れるのは、斜度10%を越える激坂。ビギナーライダーにとってはかなり厳しい斜度ではあるけれど、2kmほどのヒルクライムなので無理せずに軽いギアで登っていくといいだろう。押してしまっても、ピークまではすぐだ。
ピークを越えると、丹沢湖が目の前に現れる。丹沢湖をセオリー通りに反時計回りに回っていくと、第1エイドの丹沢森林館薬草園が現れる。木彫り細工が沢山並べられた広場に設置されたエイドでは、2種類のおにぎりが振る舞われる。ひとつは足柄牛の佃煮、もうひとつが足柄茶で炊いたおにぎりと、地元の特産品を活かしたもの。朝ごはんが早めだったこともあり、早速の御馳走にかぶりつく。甘く煮られた足柄牛も絶品だが、ほんのりとお茶の風味がする足柄茶のおにぎりの滋味あふれる味わいもまた、甲乙つけがたい。
犬を乗せて丹沢湖の周りを走っていく!
丹沢牛時雨おにぎりとお茶おにぎり
チェックシールを貼ってもらう
おむすびを頬張る参加者たち
バードウォチャーのみなさん
色づき始めた湖を見ながら走る
早速のグルメを堪能しつつエイドを出発すると、超望遠レンズを空に向けるカメラマンの集団が。何を撮っているのか尋ねると、なんと鷹が撮れるのだという。一日待っていても、出てこないこともあるんだけどねーなんて話していると、「出たぞ!」といって一斉にレンズを向けるみなさん。その先を見ると、豆粒ほどの大きさで空に浮かぶ影が!ラッキーなことにオオタカに遭遇することが出来たけれど、あまりにも小さすぎてあまり実感が湧かない笑
そんなハッピーな偶然もありつつ、丹沢湖を一周していく。山はすでに色づき始めており、綺麗な紅葉を眺めながらサイクリングを楽しめるのだ。丹沢湖の次は、来た道を引き返して南足柄市にあるアサヒビールの神奈川工場へと向かう。途中、少しミスコースをするハプニングを挟みながらも、一緒に走っていた参加者さんたちと助け合いながら第2エイドへ。
丹沢牛のやきそばを作る匂いがもうたまらない第2エイド
丹沢牛黄金焼そば
ビールが欲しい!
普段は出来たて生ビールの試飲ができるのが目玉のアサヒビール園であるが、残念ながら私達は飲酒運転になってしまうので、それは後ほどのお楽しみ。こちらのエイドでは足柄牛をたっぷりと使った塩焼そばが私達を待っていた。うーん、よりビールが欲しくなりそうなチョイスであるが、ここは焼きそばに集中。芝生でゆったりとした時間を過ごしながら、英気を養うことに。
そう、この後は大会最難所となる足柄峠が現れるのだ。7km、平均5%の峠は神奈川と静岡をつなぐ要所の一つ。押さないと登れないような激坂はあまり現れないものの、かなり本格的な登りセクションである。息を荒げながら登っていると、家族連れの参加者さんも一家で頑張りながらピークを目指しているのに遭遇。きっと登り切った暁には家族の絆は一層深まっているだろう。
斜度10%の坂を親子で登る。
足柄峠へと続く道
この大会の最難所、足柄峠登り切りました
足柄峠のチェックポイントを過ぎると、アップダウンの続く下り基調の農道へ。途中、景色が開けるポイントでは眼下に南足柄の街並みを望むこともできる。その後は市街地をしばらく走ることになるが、一部交通量が多い箇所もあるので注意して走りたい。酒匂川を渡り、御殿場線を越えると次のエイドはもうすぐだ。
3つ目のエイドとなるのは、コーヒーのドリップバッグで全国ナンバー1のブルックスコーヒーの大井事業所。小高い丘を登った先にそびえる18階建てのビルは「かながわの建築物100選」にも選ばれている、由緒ある建物。その敷地に用意されたエイドでは、地元開成町のベーカリー「コネルテ」のスコーンとラスクが用意されるほか、ブルックスのコーヒーやココアといった暖かい飲み物が飲み放題なのだ!
富士フィルム社屋の前を通るシーンも
登りと下りをくり返しながら平地へと降りていきます
スコーンとラスクが配られた第4エイド
ブルックスのドリンクが飲み放題でした!
甘いものに目が無い私としては、ずっとこのエイドにいても良かったのであるが、なんとか未練を断ち切って最後のエイドである中井エイドへと向かっていく。東名大井松田ICの横をかすめて、東名高速沿いの丘を越えて進んでいく。少しづつ日が傾いていく中を心持ち急ぎつつ、中井中央公園へと辿りつく。最後の腹ごしらえにと、最初のエイドで出たおにぎりがこのエイドでも提供された。
さあ、残るはフィニッシュ地点までの約15kmほど。来た道を引き返す形となるが、それはつまりもう一度丘を越える必要があるということ。5km、平均斜度3%程度の緩やかな勾配をえっちらおっちら登っていけば、あとは下りと平坦だけだ。松田駅前を左に曲がり、再び酒匂川にかかった橋を渡れば、フィニッシュ会場へと到着だ。
東名沿いに走るアップダウンを抜ければもう少しでゴールです
完走サコッシュがゴールしたみなさんに配られました
初回大会でしたが、みなさん大満足の足柄ロングライドでした
無事完走したお父さんに花束を贈ったお子さんたち。素晴らしい家族愛です!
フィニッシュのトン汁はボリュームたっぷり
フィニッシュラインを越えると、スタッフさんたちが駆け寄ってきて、完走証のサコッシュを首にかけてくれる。他にも豚汁が用意され、夕方の寒さが沁みて来た私達を温めてくれる。100kmとロングライドとしては短めとはいえ、獲得標高1,600mと中身の濃いコースを走り切った達成感は他の大会に劣るものではない。
大会をまとめる湘南ベルマーレの内山さん 今回の大会について、運営をつとめたベルマーレの内山さんは「足柄の魅力を感じてもらうために、丹沢湖や足柄峠といった名所をこれでもか!というくらい詰め込んでみました。その分少しハードなコースになったようですが笑。あと、エイドでのグルメにはこだわりましたね。コースとエイドでこの地域の魅力を味わってもらえればと思います。実は神奈川県ってロングライドイベントが無いんですね。このイベントも、いろいろな改善点があるとは思いますが次回があればより良い大会にできると思います。」と語ってくれた。
最高の天気と、紅く色づいた山々の風景、そして足柄のうま味が詰まったエイドでのグルメと三拍子そろった足柄ロングライド。ぜひ、来年も続けて開催してほしいと強く思わされるだけの魅力に満ちたイベントだった。
text&photo:Naoki.YASUOKA

天高く、馬肥ゆる秋。豊かで実りある秋という季節を表すことわざがこんなにもしっくりくる大会はない。もっとも、肥ゆるのは馬(自転車)ではなくその上に乗っている私達、サイクリスト自身なのであるが。ともあれ、足柄ロングライドは景色良し、グルメよしと初回大会にして、非常に満足度の高いイベントであった。
さて、いきなり結論から書き始めてしまったが、さる11月1日(日)に開催された足柄ロングライドにお邪魔してきたシクロワイアード編集部。もてぎ7耐の取材から取って返し、朝8時には会場となる開成水辺スポーツ公園に到着。これからのシクロクロスシーズンでは湘南クロスの会場としてもなじみ深いロケーションには、すでに多くの人が集まり始めていた。



開成町の町制60周年を記念して開催される運びとなった、この足柄ロングライド。初回大会ながらも、受付では事前に車検証の提出を義務づけるなど、安全面への配慮も怠っていないことが感じられるのは、運営に湘南ベルマーレが関わっていることが大きいだろう。
9時のスタートの前には、開成町のゆるキャラである「あじさいちゃん」が登場し、スタート前のみなさんを盛り上げてくれる中、5人程度のグループごとに分かれて出発していくことに。スタート会場を出て、酒匂川を左手に見ながら西へと進む。交通量の多い国道246号線を避けつつ、丹沢湖へと向かうルートを走っていると、昔からこのあたりを走りなれたローカルライダーになったような気分に。




丹沢湖へと向かう私達の前に現れるのは、斜度10%を越える激坂。ビギナーライダーにとってはかなり厳しい斜度ではあるけれど、2kmほどのヒルクライムなので無理せずに軽いギアで登っていくといいだろう。押してしまっても、ピークまではすぐだ。
ピークを越えると、丹沢湖が目の前に現れる。丹沢湖をセオリー通りに反時計回りに回っていくと、第1エイドの丹沢森林館薬草園が現れる。木彫り細工が沢山並べられた広場に設置されたエイドでは、2種類のおにぎりが振る舞われる。ひとつは足柄牛の佃煮、もうひとつが足柄茶で炊いたおにぎりと、地元の特産品を活かしたもの。朝ごはんが早めだったこともあり、早速の御馳走にかぶりつく。甘く煮られた足柄牛も絶品だが、ほんのりとお茶の風味がする足柄茶のおにぎりの滋味あふれる味わいもまた、甲乙つけがたい。






早速のグルメを堪能しつつエイドを出発すると、超望遠レンズを空に向けるカメラマンの集団が。何を撮っているのか尋ねると、なんと鷹が撮れるのだという。一日待っていても、出てこないこともあるんだけどねーなんて話していると、「出たぞ!」といって一斉にレンズを向けるみなさん。その先を見ると、豆粒ほどの大きさで空に浮かぶ影が!ラッキーなことにオオタカに遭遇することが出来たけれど、あまりにも小さすぎてあまり実感が湧かない笑
そんなハッピーな偶然もありつつ、丹沢湖を一周していく。山はすでに色づき始めており、綺麗な紅葉を眺めながらサイクリングを楽しめるのだ。丹沢湖の次は、来た道を引き返して南足柄市にあるアサヒビールの神奈川工場へと向かう。途中、少しミスコースをするハプニングを挟みながらも、一緒に走っていた参加者さんたちと助け合いながら第2エイドへ。



普段は出来たて生ビールの試飲ができるのが目玉のアサヒビール園であるが、残念ながら私達は飲酒運転になってしまうので、それは後ほどのお楽しみ。こちらのエイドでは足柄牛をたっぷりと使った塩焼そばが私達を待っていた。うーん、よりビールが欲しくなりそうなチョイスであるが、ここは焼きそばに集中。芝生でゆったりとした時間を過ごしながら、英気を養うことに。
そう、この後は大会最難所となる足柄峠が現れるのだ。7km、平均5%の峠は神奈川と静岡をつなぐ要所の一つ。押さないと登れないような激坂はあまり現れないものの、かなり本格的な登りセクションである。息を荒げながら登っていると、家族連れの参加者さんも一家で頑張りながらピークを目指しているのに遭遇。きっと登り切った暁には家族の絆は一層深まっているだろう。



足柄峠のチェックポイントを過ぎると、アップダウンの続く下り基調の農道へ。途中、景色が開けるポイントでは眼下に南足柄の街並みを望むこともできる。その後は市街地をしばらく走ることになるが、一部交通量が多い箇所もあるので注意して走りたい。酒匂川を渡り、御殿場線を越えると次のエイドはもうすぐだ。
3つ目のエイドとなるのは、コーヒーのドリップバッグで全国ナンバー1のブルックスコーヒーの大井事業所。小高い丘を登った先にそびえる18階建てのビルは「かながわの建築物100選」にも選ばれている、由緒ある建物。その敷地に用意されたエイドでは、地元開成町のベーカリー「コネルテ」のスコーンとラスクが用意されるほか、ブルックスのコーヒーやココアといった暖かい飲み物が飲み放題なのだ!




甘いものに目が無い私としては、ずっとこのエイドにいても良かったのであるが、なんとか未練を断ち切って最後のエイドである中井エイドへと向かっていく。東名大井松田ICの横をかすめて、東名高速沿いの丘を越えて進んでいく。少しづつ日が傾いていく中を心持ち急ぎつつ、中井中央公園へと辿りつく。最後の腹ごしらえにと、最初のエイドで出たおにぎりがこのエイドでも提供された。
さあ、残るはフィニッシュ地点までの約15kmほど。来た道を引き返す形となるが、それはつまりもう一度丘を越える必要があるということ。5km、平均斜度3%程度の緩やかな勾配をえっちらおっちら登っていけば、あとは下りと平坦だけだ。松田駅前を左に曲がり、再び酒匂川にかかった橋を渡れば、フィニッシュ会場へと到着だ。





フィニッシュラインを越えると、スタッフさんたちが駆け寄ってきて、完走証のサコッシュを首にかけてくれる。他にも豚汁が用意され、夕方の寒さが沁みて来た私達を温めてくれる。100kmとロングライドとしては短めとはいえ、獲得標高1,600mと中身の濃いコースを走り切った達成感は他の大会に劣るものではない。

最高の天気と、紅く色づいた山々の風景、そして足柄のうま味が詰まったエイドでのグルメと三拍子そろった足柄ロングライド。ぜひ、来年も続けて開催してほしいと強く思わされるだけの魅力に満ちたイベントだった。
text&photo:Naoki.YASUOKA
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