2014/08/20(水) - 10:24
7月19、20日に長野県富士見パノラマスキー場にて行われた「MTBの夏の祭典」ことシマノバイカーズフェスティバル。イベントレポートに続いては、今大会で見事勝利を収めた7人のウィナーのバイクをピックアップして紹介します。(大会の様子はこちらのインデックスからご覧下さい)
60分XCマラソン MEN-2優勝 羽鳥和重さん(サイクルクラブ3UP)のトレック Superfly SL
今大会のオープニングレースとなった60分XCマラソン。そのMEN-2クラス(40歳以上)を制したのは、シクロクロスではマスターズのトップカテゴリーを走り、MTBオリエンテーリングでは日本代表として活躍する羽鳥和重さん(サイクルクラブ3UP)。「バイカーズのコースはとにかくハイスピードなので軽さにこだわりました」というバイクはトレックの軽量XCバイク「Superfly SL」で、車重はロードバイク並の8kg程度に仕上がっている。
組み合わせるフォークは、ナイナーのリジッド。その理由は「軽量化に加え、下りを犠牲にしてでも登りでグイグイとダンシングできるから」とのこと。実際に最後までスピードを落とさず登り切きれたことが勝因となったようだ。
ドライブトレインも軽さを重視して、フロントシングルのスラムXX1をアッセンブル。ギア比はF28T×R11-42T。ブレーキは対照的に信頼性の高いシマノXTRとしている。ホイール及びタイヤはマヴィックCROSSMAX SLRに、29インチながら1本360gというシュワルベの超軽量モデル FURIOUS FREDを組み合わせている。その他ハンドル周りやサドルなどはボントレガーで統一している。
DHエンデューロ優勝 西田岳さん(Seven Arrows)のセブンアロウズ 26
下り基調ながら、途中に2カ所の上り、4Xのバンク、バームが組み込まれたテクニカルなコースで争われた新種目、DHエンデューロ。リアリジッドのXCモデル、DHマシン、ファットバイクなど多種多様なバイクが走った中で、見事初代王者に輝いたのは、これまでもDHリジッドクラスで多数の優勝経験を持つ西田岳さん。もちろん今回もリジッドバイクを駆り、2位に20秒近い大差をつける圧巻の走りを披露した。
バイクは西田さんがサポートを受ける群馬県のMTB系プロショップ「重力技研」がプロデュースするオリジナルフレームブランド、Seven Arrows(セブンアロウズ)のクロモリ製26インチモデル。特に下りのコントロール性を重視した1台で、ジオメトリーは西田さん専用のフルオーダーとなっている。
今回のコースとバイクとの相性については「登り返しではハードテールの軽さがメリットとなった」と言う。また、このレースに向けてはバイカーズのDHの約2倍の走行時間となることを見越して、体力の過度な消耗に防ぐためにドロッパーシートポストを装備し、実際に最後までしっかり踏むことができたそうだ。来年、DHエンデューロへの参戦を考えている方には大いに参考になるだろう。
2時間エンデューロ・A優勝 鈴木敦夫さん(松本エキノコックス)のジャイアント XTC ADVANCED 27.5
シマノバイカーズの競技種目の中でも特に参加人数が多い2時間エンデューロ。そのソロクラスを制した鈴木敦夫さんの愛車はピュアXCマシン、ジャイアント XTC ADVANCED 27.5だ。プロユースモデルと共通のフルカーボンフレームを採用するリアリジッドのクロカンバイクで、パーツは購入時からほとんど変更されていない。鈴木さん曰く「このままでも充分に走りを楽しめる」とのこと。
それでも身体が触れる部分は好みに合わせたパーツに変更されている。ハンドルバーはXCバイクとしては珍しくTranz−Xのアルミ製ライザーバーに換装し、下りをより攻められる様にしているとのこと。そして、通常のフラットバーとくらべてグリップの位置が上がってしまうことから、ネガティブライズのグランジ66ステムを用いて最適なポジションを実現。そしてステムの上には「←前を見る」のメッセージが入っている。サドルにはお気に入りだというフィジークの旧型アリオネをアッセンブルした。
そして、今回のレースへ向けては長時間の走行に備えてボトルゲージを増設したとのこと。専用パーツではなく2本のタイラップのみを用いてシートポストの後方に取り付けることで、重量増を伴うことなく、かつ確実にマウントできている様だ。
2時間エンデューロ2人組・A優勝 阿部健大くん(サイクルクラブ3UP)のWORKSHOP MONKEY Mt-SON
2時間エンデューロ・ペアで優勝した阿部健大くん(サイクルクラブ3UP)の愛車は、東京・高田馬場にある老舗MTBショップ、ワークショップ・モンキーのオリジナルバイク”Mt-SON(ヤマサン)”だ。現在16歳で高校2年生の阿部くんだが、このバイクはお父さんが20年以上前にオーダーしたものを譲り受けたものだそうで、コンディションはかなり良好だ。
オールドスクールなフレームの一方で、コンポーネントには最新鋭のパーツをアッセンブルしている。駆動系はシマノの最高峰であるXTR。ブレーキはCWのインプレッションでもおなじみサイクルハウスミカミの三上和志店長のおすすめで、マグラの油圧リムブレーキとしている。
その他はオールドスクールな構成で、ホイールは32本スポークの手組みホイールをこのバイクのために新たに組んだとのこと。ステムは日東製のクイルタイプ、シートポストはシマノDEORE XT、サドルは現行モデルとは大きくフォルムの異なるスペシャライズドと、古くからのMTBerには涙モノ(?)の仕様だ。最後に阿部くんは「できれば自分の子供にも乗ってもらいたい」と頼もしいコメントを残してくれた。
チームDH優勝 ポール・ギルズネンさん(RUN the HAZARD)のヌークプルーフ PULSE
レース開始直前に降りだした雨に多くのライダーが手を焼いたチームDH。そんな中で2人揃って好タイムを叩き出し、2位に20秒以上の差をつけて優勝したRUN the HAZARDのメンバーで、全体でも2位のタイムを記録したポール・ギルズネンさんの愛車はヌークプルーフPULSEだ。
日本では馴染みの薄いヌークプルーフ(NUKEPROOF)は、イギリスを拠点とする下り系バイク&パーツブランド。放射能標識をロゴマークとし、「核弾頭を打ち込まれても壊れない」ほど頑丈なパーツづくりを信条としている。PULSEは同社がサポートし、世界選手権を3度制した経験を持つ伝説的ダウンヒラー、サム・ヒルが使用するプロユースモデルで、シングルピボットながら高い路面追従性を実現したことが特徴だ。
今回紹介するバイクはドライコンディション用のセッティングとのこと。「最後の試走から大幅に路面コンディションが変わって、おまけにバイクも雨用に調整できなかったのでとてもスリッピーでした」と語るギルズネンさん。しかしながら、「母国のアイルランドは雨が多いから、ウェットコンディションは得意ですし、むしろ好きなんです」とその勝因について語ってくれた。
4時間エンデューロ5人組優勝 渡辺晃 さん(松本CC×ダークG104)のキューブ Elite 29 Super HCP
4時間エンデューロ5人組クラスを制したチーム「松本CC×ダークG104」のメンバーである渡辺晃さんのバイクはジャーマンブランド、キューブのXCモデル「Elite 29 Super HCP」。パッと見、ホイール径は26インチにも思えるこのバイクだが、モデル名のとおり29er。多くの日本人が29erのポジショニングに苦しむ中で、身長190cmの渡辺さんは大柄な人が多いドイツ本国ラインナップの中でも最大の23インチサイズをチョイスしている。
フロントフォークはFOX FLOAT32で、ドライブトレインはスラムX.O.。レース以外にもトレイルライドを楽しんだりすることからフロントはあえてトリプルのままとしているそうだ。ブレーキにはフレームカラーに合わせたブルーのアルマイトが綺麗なフォーミュラのベーシックモデル「R1」を組み合わせた。
ホイールには「王滝に出場する際には太いタイヤに交換するため」にオールマウンテンモデルのイーストンHEAVENをアッセンブル。タイヤは2.0インチ幅の国産モデル、パナレーサーDriver 29er Proとしている。
4時間エンデューロWOMEN優勝 田崎綾さん(Yumm RC Rosso)のProject-Kオリジナル650B
気迫の走りを見せて4時間エンデューロWOMENを制したYumm RC Rossoからは、かつてアジア大会でメダルを獲得するなどトップカテゴリーでの活躍した経験を持つ田崎 綾さんのバイクをピックアップ。愛車は千葉県市原市のプロショップ、Project-Kがプロデュースする650Bのフルカーボン製オリジナルフレームだ。
フロントフォークにはワールドカッパー御用達のSRサンツアーの軽量モデル「AXON」をアッセンブル。ドライブトレイン及びブレーキは980系シマノXTRで統一。ホイールは「踏み出しや踏み直す時がとても軽い」というマヴィックのハイエンドレーシングモデル「Crossmax SLR」を選択している。タイヤにはシュワルベのベーシックモデル「RACING RALPH」を組み合わせている。全体的にはベーシックなアッセンブリーながら、1.1kgというフレーム単体重量が利いて、完成車状態で9.6kgをマークする軽量ぶり。
ルックス面でも非常にシンプルながら、タイオガのグリップやフィジークのサドル「GOBI」、クランクブラザーズのペダル「Egg Beater」を差し色として赤で揃えた。そして、「ライド仲間と一緒に作った」というライド拠点の房総の低山をモチーフにした洒落たデカールがトップチューブに貼られるのがポイントだ。
text&photo:Yuya.Yamamoto
60分XCマラソン MEN-2優勝 羽鳥和重さん(サイクルクラブ3UP)のトレック Superfly SL
今大会のオープニングレースとなった60分XCマラソン。そのMEN-2クラス(40歳以上)を制したのは、シクロクロスではマスターズのトップカテゴリーを走り、MTBオリエンテーリングでは日本代表として活躍する羽鳥和重さん(サイクルクラブ3UP)。「バイカーズのコースはとにかくハイスピードなので軽さにこだわりました」というバイクはトレックの軽量XCバイク「Superfly SL」で、車重はロードバイク並の8kg程度に仕上がっている。
組み合わせるフォークは、ナイナーのリジッド。その理由は「軽量化に加え、下りを犠牲にしてでも登りでグイグイとダンシングできるから」とのこと。実際に最後までスピードを落とさず登り切きれたことが勝因となったようだ。
ドライブトレインも軽さを重視して、フロントシングルのスラムXX1をアッセンブル。ギア比はF28T×R11-42T。ブレーキは対照的に信頼性の高いシマノXTRとしている。ホイール及びタイヤはマヴィックCROSSMAX SLRに、29インチながら1本360gというシュワルベの超軽量モデル FURIOUS FREDを組み合わせている。その他ハンドル周りやサドルなどはボントレガーで統一している。
DHエンデューロ優勝 西田岳さん(Seven Arrows)のセブンアロウズ 26
下り基調ながら、途中に2カ所の上り、4Xのバンク、バームが組み込まれたテクニカルなコースで争われた新種目、DHエンデューロ。リアリジッドのXCモデル、DHマシン、ファットバイクなど多種多様なバイクが走った中で、見事初代王者に輝いたのは、これまでもDHリジッドクラスで多数の優勝経験を持つ西田岳さん。もちろん今回もリジッドバイクを駆り、2位に20秒近い大差をつける圧巻の走りを披露した。
バイクは西田さんがサポートを受ける群馬県のMTB系プロショップ「重力技研」がプロデュースするオリジナルフレームブランド、Seven Arrows(セブンアロウズ)のクロモリ製26インチモデル。特に下りのコントロール性を重視した1台で、ジオメトリーは西田さん専用のフルオーダーとなっている。
今回のコースとバイクとの相性については「登り返しではハードテールの軽さがメリットとなった」と言う。また、このレースに向けてはバイカーズのDHの約2倍の走行時間となることを見越して、体力の過度な消耗に防ぐためにドロッパーシートポストを装備し、実際に最後までしっかり踏むことができたそうだ。来年、DHエンデューロへの参戦を考えている方には大いに参考になるだろう。
2時間エンデューロ・A優勝 鈴木敦夫さん(松本エキノコックス)のジャイアント XTC ADVANCED 27.5
シマノバイカーズの競技種目の中でも特に参加人数が多い2時間エンデューロ。そのソロクラスを制した鈴木敦夫さんの愛車はピュアXCマシン、ジャイアント XTC ADVANCED 27.5だ。プロユースモデルと共通のフルカーボンフレームを採用するリアリジッドのクロカンバイクで、パーツは購入時からほとんど変更されていない。鈴木さん曰く「このままでも充分に走りを楽しめる」とのこと。
それでも身体が触れる部分は好みに合わせたパーツに変更されている。ハンドルバーはXCバイクとしては珍しくTranz−Xのアルミ製ライザーバーに換装し、下りをより攻められる様にしているとのこと。そして、通常のフラットバーとくらべてグリップの位置が上がってしまうことから、ネガティブライズのグランジ66ステムを用いて最適なポジションを実現。そしてステムの上には「←前を見る」のメッセージが入っている。サドルにはお気に入りだというフィジークの旧型アリオネをアッセンブルした。
そして、今回のレースへ向けては長時間の走行に備えてボトルゲージを増設したとのこと。専用パーツではなく2本のタイラップのみを用いてシートポストの後方に取り付けることで、重量増を伴うことなく、かつ確実にマウントできている様だ。
2時間エンデューロ2人組・A優勝 阿部健大くん(サイクルクラブ3UP)のWORKSHOP MONKEY Mt-SON
2時間エンデューロ・ペアで優勝した阿部健大くん(サイクルクラブ3UP)の愛車は、東京・高田馬場にある老舗MTBショップ、ワークショップ・モンキーのオリジナルバイク”Mt-SON(ヤマサン)”だ。現在16歳で高校2年生の阿部くんだが、このバイクはお父さんが20年以上前にオーダーしたものを譲り受けたものだそうで、コンディションはかなり良好だ。
オールドスクールなフレームの一方で、コンポーネントには最新鋭のパーツをアッセンブルしている。駆動系はシマノの最高峰であるXTR。ブレーキはCWのインプレッションでもおなじみサイクルハウスミカミの三上和志店長のおすすめで、マグラの油圧リムブレーキとしている。
その他はオールドスクールな構成で、ホイールは32本スポークの手組みホイールをこのバイクのために新たに組んだとのこと。ステムは日東製のクイルタイプ、シートポストはシマノDEORE XT、サドルは現行モデルとは大きくフォルムの異なるスペシャライズドと、古くからのMTBerには涙モノ(?)の仕様だ。最後に阿部くんは「できれば自分の子供にも乗ってもらいたい」と頼もしいコメントを残してくれた。
チームDH優勝 ポール・ギルズネンさん(RUN the HAZARD)のヌークプルーフ PULSE
レース開始直前に降りだした雨に多くのライダーが手を焼いたチームDH。そんな中で2人揃って好タイムを叩き出し、2位に20秒以上の差をつけて優勝したRUN the HAZARDのメンバーで、全体でも2位のタイムを記録したポール・ギルズネンさんの愛車はヌークプルーフPULSEだ。
日本では馴染みの薄いヌークプルーフ(NUKEPROOF)は、イギリスを拠点とする下り系バイク&パーツブランド。放射能標識をロゴマークとし、「核弾頭を打ち込まれても壊れない」ほど頑丈なパーツづくりを信条としている。PULSEは同社がサポートし、世界選手権を3度制した経験を持つ伝説的ダウンヒラー、サム・ヒルが使用するプロユースモデルで、シングルピボットながら高い路面追従性を実現したことが特徴だ。
今回紹介するバイクはドライコンディション用のセッティングとのこと。「最後の試走から大幅に路面コンディションが変わって、おまけにバイクも雨用に調整できなかったのでとてもスリッピーでした」と語るギルズネンさん。しかしながら、「母国のアイルランドは雨が多いから、ウェットコンディションは得意ですし、むしろ好きなんです」とその勝因について語ってくれた。
4時間エンデューロ5人組優勝 渡辺晃 さん(松本CC×ダークG104)のキューブ Elite 29 Super HCP
4時間エンデューロ5人組クラスを制したチーム「松本CC×ダークG104」のメンバーである渡辺晃さんのバイクはジャーマンブランド、キューブのXCモデル「Elite 29 Super HCP」。パッと見、ホイール径は26インチにも思えるこのバイクだが、モデル名のとおり29er。多くの日本人が29erのポジショニングに苦しむ中で、身長190cmの渡辺さんは大柄な人が多いドイツ本国ラインナップの中でも最大の23インチサイズをチョイスしている。
フロントフォークはFOX FLOAT32で、ドライブトレインはスラムX.O.。レース以外にもトレイルライドを楽しんだりすることからフロントはあえてトリプルのままとしているそうだ。ブレーキにはフレームカラーに合わせたブルーのアルマイトが綺麗なフォーミュラのベーシックモデル「R1」を組み合わせた。
ホイールには「王滝に出場する際には太いタイヤに交換するため」にオールマウンテンモデルのイーストンHEAVENをアッセンブル。タイヤは2.0インチ幅の国産モデル、パナレーサーDriver 29er Proとしている。
4時間エンデューロWOMEN優勝 田崎綾さん(Yumm RC Rosso)のProject-Kオリジナル650B
気迫の走りを見せて4時間エンデューロWOMENを制したYumm RC Rossoからは、かつてアジア大会でメダルを獲得するなどトップカテゴリーでの活躍した経験を持つ田崎 綾さんのバイクをピックアップ。愛車は千葉県市原市のプロショップ、Project-Kがプロデュースする650Bのフルカーボン製オリジナルフレームだ。
フロントフォークにはワールドカッパー御用達のSRサンツアーの軽量モデル「AXON」をアッセンブル。ドライブトレイン及びブレーキは980系シマノXTRで統一。ホイールは「踏み出しや踏み直す時がとても軽い」というマヴィックのハイエンドレーシングモデル「Crossmax SLR」を選択している。タイヤにはシュワルベのベーシックモデル「RACING RALPH」を組み合わせている。全体的にはベーシックなアッセンブリーながら、1.1kgというフレーム単体重量が利いて、完成車状態で9.6kgをマークする軽量ぶり。
ルックス面でも非常にシンプルながら、タイオガのグリップやフィジークのサドル「GOBI」、クランクブラザーズのペダル「Egg Beater」を差し色として赤で揃えた。そして、「ライド仲間と一緒に作った」というライド拠点の房総の低山をモチーフにした洒落たデカールがトップチューブに貼られるのがポイントだ。
text&photo:Yuya.Yamamoto
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