2009/06/18(木) - 11:38
大会最初の頂上ゴールが設定されたツール・ド・スイス(UCIプロツアー)第5ステージは、この地元スイスのビッグレースを大きな目標に掲げていたミハエル・アルバジーニ(スイス、チームコロンビア)がスプリント勝利。タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)が首位を守った。
隣国オーストリアに入国する第5ステージは、ラスト61kmで1級山岳アールベルク峠(標高1793m)を越え、最後は1級山岳ラディスと3級山岳フィッセル・ホーフを駆け上がってゴール。大会最初の頂上ゴールだ。
レースは序盤にパスカル・フンガービューラー(スイス、フォアアールベルク・コラテック)のアタックが決まり、最大10分のリードを得て逃げた。150kmに渡って単独で逃げ続けたフンガービューラーだったが、難所アールベルク峠の上りで失速。集団から飛び出したトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)ら5名に下りで吸収されてしまう。
そのヴォクレールらもメイン集団に吸収され、ラスト37km地点でレースは一旦リセット。そこからカウンターアタックでマークス・ブルグハート(ドイツ、チームコロンビア)とビョルン・シュレーダー(ドイツ、ミルラム)が飛び出したが、最後の1級山岳ラディスの上りが始まるとすぐに吸収される。平均勾配8.9%、最大勾配16%のこの上りでメイン集団は活性化した。
上りで積極的にアタックを仕掛けたのは、ツール・ド・ロマンディ総合3位のレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)。山岳賞&総合成績狙いのトニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)もアタックを仕掛けたが、集団を引き離すことはできなかった。
アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)らのペースアップによって縮小した集団は、リーダージャージを着るタディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)らのアタックを飲み込みながら上りを進み、人数を揃えたサクソバンクがペースを上げてラスト2km。しかしそこに総合2位のアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)の姿は無かった。
Aシュレクの脱落に怯んだサクソバンクの隙を突いて、ラスト1kmでマルティンが再びアタック。マルティンが吸収されるとターラマエが飛び出し、これに反応したカンチェラーラとアルバジーニが先頭へ。最後は上りスプリントで伸び続けたアルバジーニがカンチェラーラを破ってゴール。片手を突き上げた。
2005年に続くツール・ド・スイス通算2勝目を飾ったアルバジーニは「最後は全力でステージ優勝を狙って走った。難関ステージでの価値ある勝利だ」とコメント。
「ラスト1kmを切ってから選手(ターラマエ)がアタックしたとき、反応したカンチェラーラの後ろについた。そこから100%フルスロットルでスプリントしたんだ。長い山岳コースを越えてからのスプリントはタフだったけど、何とか先頭を勝ち取った」。
「このツール・ド・スイスは5月上旬からずっと狙っていたレース。何しろスイスは地元だから、自分にとって非常に意味のあるレースだ。スイスで勝つことはスイス人選手にとって特別なことだよ。でも今日の上りはスイスの自宅から遠く離れていたので、事前の知識が全く無かった」。アルバジーニはリクイガス時代の2005年大会でスプリント賞、2006年には山岳賞とスプリント賞をダブル受賞している。
現在トップから1分05秒遅れの総合12位につけるアルバジーニは「出来れば総合の表彰台を狙いたい。でも序盤のステージでは思わぬ苦戦を強いられたんだ。脚がついてこなくて、有力選手たちから遅れてしまった。だから今は総合トップ10を狙う。ステージ優勝と総合トップ10は満足のいく結果だよ」。アルバジーニと総合トップ10のタイム差は僅かに3秒だ。
チームコロンビアは5ステージ中、3勝を飾る怒濤の活躍。この日も積極的に動いたマルティンは山岳賞争いのリードを広げることに成功し、総合でもチーム最高の6位につけている。
しかしこの日最大のサプライズは、総合2位Aシュレクの脱落だろう。突如ブレーキがかかったAシュレクは先頭集団からラスト3km付近で脱落。トップから1分05秒遅れでゴールし、総合13位にダウンした。前日の逃げの疲労から回復していなかったのか?ツールに向けてAシュレクは不安要素を露呈する結果となった。
最大のライバルAシュレクの脱落により、ヴァリャベッチがリーダージャージをキープ。総合争いはまだまだ1分以内に8名がひしめく混戦状態だ。
しかも総合下位にはカンチェラーラやクレーデン、マルティン、ラーション、カルペツといったタイムトライアルに強い選手が揃っている。最終日には距離39kmの個人タイムトライアルが設定されており、山岳を得意とする選手は後半の山岳ステージで更なる攻撃を仕掛ける必要がある。総合争いは最後まで混戦必至だ。
選手コメントは各チームウェブサイトより。
ツール・ド・スイス2009第5ステージ結果
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、チームコロンビア)5h24'04"
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)
3位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)
4位 オリバー・ザウグ(スイス、リクイガス)
5位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)
6位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
7位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
8位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)
9位 タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)
10位 マキシム・モンフォール(ベルギー、コフィディス)
個人総合成績
1位 タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)18h52'01"
2位 オリバー・ザウグ(スイス、リクイガス)+14"
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)+14"
4位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+42"
5位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+45"
6位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)+54"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、チームコロンビア)+55"
8位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)+56"
9位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)+1'01"
10位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)+1'02"
ポイント賞
ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)
山岳賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)
中間スプリント賞
エンリーコ・ガスパロット(イタリア、ランプレ)
チーム総合成績
サクソバンク
隣国オーストリアに入国する第5ステージは、ラスト61kmで1級山岳アールベルク峠(標高1793m)を越え、最後は1級山岳ラディスと3級山岳フィッセル・ホーフを駆け上がってゴール。大会最初の頂上ゴールだ。
レースは序盤にパスカル・フンガービューラー(スイス、フォアアールベルク・コラテック)のアタックが決まり、最大10分のリードを得て逃げた。150kmに渡って単独で逃げ続けたフンガービューラーだったが、難所アールベルク峠の上りで失速。集団から飛び出したトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)ら5名に下りで吸収されてしまう。
そのヴォクレールらもメイン集団に吸収され、ラスト37km地点でレースは一旦リセット。そこからカウンターアタックでマークス・ブルグハート(ドイツ、チームコロンビア)とビョルン・シュレーダー(ドイツ、ミルラム)が飛び出したが、最後の1級山岳ラディスの上りが始まるとすぐに吸収される。平均勾配8.9%、最大勾配16%のこの上りでメイン集団は活性化した。
上りで積極的にアタックを仕掛けたのは、ツール・ド・ロマンディ総合3位のレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)。山岳賞&総合成績狙いのトニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)もアタックを仕掛けたが、集団を引き離すことはできなかった。
アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)らのペースアップによって縮小した集団は、リーダージャージを着るタディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)らのアタックを飲み込みながら上りを進み、人数を揃えたサクソバンクがペースを上げてラスト2km。しかしそこに総合2位のアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)の姿は無かった。
Aシュレクの脱落に怯んだサクソバンクの隙を突いて、ラスト1kmでマルティンが再びアタック。マルティンが吸収されるとターラマエが飛び出し、これに反応したカンチェラーラとアルバジーニが先頭へ。最後は上りスプリントで伸び続けたアルバジーニがカンチェラーラを破ってゴール。片手を突き上げた。
2005年に続くツール・ド・スイス通算2勝目を飾ったアルバジーニは「最後は全力でステージ優勝を狙って走った。難関ステージでの価値ある勝利だ」とコメント。
「ラスト1kmを切ってから選手(ターラマエ)がアタックしたとき、反応したカンチェラーラの後ろについた。そこから100%フルスロットルでスプリントしたんだ。長い山岳コースを越えてからのスプリントはタフだったけど、何とか先頭を勝ち取った」。
「このツール・ド・スイスは5月上旬からずっと狙っていたレース。何しろスイスは地元だから、自分にとって非常に意味のあるレースだ。スイスで勝つことはスイス人選手にとって特別なことだよ。でも今日の上りはスイスの自宅から遠く離れていたので、事前の知識が全く無かった」。アルバジーニはリクイガス時代の2005年大会でスプリント賞、2006年には山岳賞とスプリント賞をダブル受賞している。
現在トップから1分05秒遅れの総合12位につけるアルバジーニは「出来れば総合の表彰台を狙いたい。でも序盤のステージでは思わぬ苦戦を強いられたんだ。脚がついてこなくて、有力選手たちから遅れてしまった。だから今は総合トップ10を狙う。ステージ優勝と総合トップ10は満足のいく結果だよ」。アルバジーニと総合トップ10のタイム差は僅かに3秒だ。
チームコロンビアは5ステージ中、3勝を飾る怒濤の活躍。この日も積極的に動いたマルティンは山岳賞争いのリードを広げることに成功し、総合でもチーム最高の6位につけている。
しかしこの日最大のサプライズは、総合2位Aシュレクの脱落だろう。突如ブレーキがかかったAシュレクは先頭集団からラスト3km付近で脱落。トップから1分05秒遅れでゴールし、総合13位にダウンした。前日の逃げの疲労から回復していなかったのか?ツールに向けてAシュレクは不安要素を露呈する結果となった。
最大のライバルAシュレクの脱落により、ヴァリャベッチがリーダージャージをキープ。総合争いはまだまだ1分以内に8名がひしめく混戦状態だ。
しかも総合下位にはカンチェラーラやクレーデン、マルティン、ラーション、カルペツといったタイムトライアルに強い選手が揃っている。最終日には距離39kmの個人タイムトライアルが設定されており、山岳を得意とする選手は後半の山岳ステージで更なる攻撃を仕掛ける必要がある。総合争いは最後まで混戦必至だ。
選手コメントは各チームウェブサイトより。
ツール・ド・スイス2009第5ステージ結果
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、チームコロンビア)5h24'04"
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)
3位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)
4位 オリバー・ザウグ(スイス、リクイガス)
5位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)
6位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
7位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
8位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)
9位 タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)
10位 マキシム・モンフォール(ベルギー、コフィディス)
個人総合成績
1位 タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)18h52'01"
2位 オリバー・ザウグ(スイス、リクイガス)+14"
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)+14"
4位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+42"
5位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+45"
6位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)+54"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、チームコロンビア)+55"
8位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)+56"
9位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)+1'01"
10位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)+1'02"
ポイント賞
ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)
山岳賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)
中間スプリント賞
エンリーコ・ガスパロット(イタリア、ランプレ)
チーム総合成績
サクソバンク
フォトギャラリー