逃げ切りスプリントを制したアントニー・テュルジス(フランス、トタルエネルジー)は「信じられない」とツール初勝利に涙した。2位ピドコックや積極的な走りが光ったポガチャルなど、ツール第1週目を終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝 アントニー・テュルジス(フランス、トタルエネルジー)

優勝バイクを掲げたアントニー・テュルジス(フランス、トタルエネルジー) photo:CorVos

凄いことが起こった。自分の力を信じており、レースを走れば勝利を掴みに行くのは当然のこと。様々なレベルのレースで勝ってきたが、ワールドツアーだけでは勝利できずにいた。だけどまさかツール・ド・フランスで叶うなんて思ってもいなかった。それにグラベルというレースでステージ優勝なんて信じられない。本当に信じれないよ。

逃げのメンバーを見て「これなら長時間逃げられる」と思った。偉大なチャンピオンズばかりだったからね。ストゥイヴェンが飛び出した瞬間、反応はしても深追いはしなかった。それは頭の中で「脚を使わず冷静でいろ。もし集団が一つになったら勝つのは僕なのだから」と思っていたからだ。

ステージ2位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

ジーも背後から飛び出し、先頭に立ったアントニー・テュルジス(フランス、トタルエネルジー) photo:CorVos

とても落ち込んでいるが(レース後しばらく経って)嬉しさも感じている。個人的にとても厳しい第1週目となった。ようやく(MTBから)ロードレースに戻ってこれた気持ちがするよ。

最初の逃げ集団が形成し、プロトンとの差が縮まらなかったのでベン(ヒーリー)と逃げを目指した。ニールソン(パウレス)のおかげで逃げ集団に合流しすることができた。だが、最後に勝利を逃してしまった。ツール・ド・フランスにおけるグラベルレースは多くの選手が待ち望んでいたもの。皆の期待通り素晴らしいレースになったんじゃないかな。

ステージ3位&総合9位 デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)

フィニッシュラインが見え、誰も僕の前に現れなかったので皆の脚に限界がきたのだと思った。だがテュルジスとピドコックに追い抜かれた。とても残念だ。スリルのある展開に観客も大勢いて、またコースも素晴らしかった。

残り11kmから仕掛けたヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、リドル・トレック)

残り11kmで逃げ集団を飛び出したヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、リドル・トレック) photo:CorVos

できる限りは尽くした。だがもしラスト数kmで向かい風が吹かなければとは思ってしまう。もっと強く踏めたら良かったが、こればかりはどうしようもない。今日の走りをポジティブに捉えるのはまだ難しい。今大会はほとんどがスプリントか(総合勢の動く)山岳ステージのため、今日こそがチャンスだと思っていた。そのステージで勝利に迫ったのだが…。明日の休息日を楽しみたい。後でコースプロフィールを見返して、良いステージがないか調べてみるよ。

マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

アタックは不発に終わったものの、マイヨジョーヌを保持したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

とても楽しいレースだったが、ここまで”グラベル”だとは思っていなかった。小石や砂が路面を覆い、バイクを前に進ませることが難しかった。もちろん楽しかったけど、僕がレース主催者ならスタートとフィニッシュ地点を逆にして追い風にするかな。向かい風のせいで今日はアタックに向かなかった。

僕はレムコ(エヴェネプール)を、レムコは僕の動きをマークしていた。とても楽しいレースだったし、明日はようやくたどり着いた休息日だ。今日は今大会でも厳しいステージのなかでも脚の状態は良かった。シンプルな山岳ステージが待ち遠しいよ。

来週末はピレネー山脈での厳しい山岳ステージが待っており、最終日まで個人タイムトライアルもない。だからいまの順位とタイム差にはとても満足しているよ。またチームと自分の調子には自信を持っている。

総合2位&マイヨブラン レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

セクター10でアタックしたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

今日はそこまで厳しいレースではなく、調子も良かった。未舗装路でも上手く走ることができ、レース全体を楽しむことができた。セクター4ではチームメイトが僕を集団先頭で位置を取る積極性に少し欠けていたため、アタックに遅れる瞬間があった。だがその差を自分自身で埋め、最後のセクターではタデイ(ポガチャル)のアタックに反応し、僕からも仕掛けた。

残り80km地点でレースは決まるかと思う(ポガチャルとヴィンゲゴーと3名で逃げ集団に追いついた)場面もあったが、タデイがそのまま行くことを嫌った。その考えに理解できるところもあれば、できないところもある。だが全体的に良いステージとなったよ。

総合3位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)

エヴェネプールを追うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

ライバルとタイム差なくフィニッシュできて本当に嬉しい。(パンク直後に)ヤン(トラトニク)が自らのバイクを手渡してくれ、彼は僕のように小さなサイズのバイクを使っていたので何の問題もなくレースを続けることができた。彼にはもちろん、チーム全員に感謝している。

グラベル区間では理想的な位置で走り、プロトンの全員にとってストレスの多いレースだった。だが問題なく切り抜けることができた。個人としてはタデイが最も強かったが、僕らのチームも負けないぐらい強さを見せた。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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