「エリトリアやアフリカの人たちが誇りに思ってくれるはず」と涙ながらに語ったのは、黒人アフリカ人初の勝利を手に入れたビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)。マイヨジョーヌを得たカラパスや落車で足止めされたカヴェンディッシュなど、ツール第3ステージを終えた選手たちの言葉を紹介します。



ステージ優勝 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)

エリトリア人として初勝利を飾ったビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ) photo:CorVos

レース直後インタビュー

この力を与え、サポートしてくれた神様に感謝したい。自転車競技を初めて以来の夢であったツールに出場できるとは思わなかった。ましてやその舞台で勝てたなんて信じられない。これが僕にとって2度目のツール出場で、大集団によるスプリントを制した。これを実現させてくれた家族や妻、エリトリア、またアフリカの人たちに感謝を伝えたい。きっと誇りに思ってくれるはずだ。

当初はヘルベン・テイッセンで勝負する予定で、状況によっては僕が行くプランだった。チームは良い走りを披露したものの、僕がラスト1kmで仲間を見失ってしまったんだ。だから自ら番手を上げなければならなかった。

世界トップのスプリンターを相手に勝てたなんて信じられない。これは今後に向けた大きなモチベーションに繋がる勝利だ。

念願の勝利を手に入れたビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) photo:CorVos

表彰式後インタビュー

今日の勝利で、全てのアフリカ人自転車選手が「不可能なことなんてない」と信じてくれるだろう。僕個人としてはもちろん、これはアフリカ大陸全体にとって価値あること。エリトリアにおける自転車競技の歴史は長く、僕らには自転車選手の血が流れている。だからこそ皆ツール・ド・フランスをよく知っており、この勝利が特別なんだ。

僕がジロ・デ・イタリアで勝利した2年前、歓喜で(母国の)バーではお酒の瓶やテーブルが宙を舞ったそうだ。だから今回は…クレイジーなことになっているだろうね。

ステージ4位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)

先んじてスプリントを開始したものの、惜しくも敗れたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:A.S.O.

ここ最近トレック・バイクで走った最長距離のレース。あまりに退屈で観ている人たちに申し訳なく思うほどだ(笑)。次のチャンスこそ掴みたい。サポートしてくれたチームメイトに感謝する。

終盤の落車で足止めされたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン)

区間優勝記録の更新を目指すマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン) photo:CorVos

落車によって勝利のチャンスが台無しになってしまった。だが巻き込まれたのは僕だけではなく、落車しなかったことは不幸中の幸いだ。背が低すぎて状況は見えなかったが、落車の音は聞こえてきた。

(ギルマイの勝利について)エリトリアで自転車競技はとても盛んで、彼の勝利は国としてとても良い出来事だ。これで彼は国の伝説となるだろう。

マイヨジョーヌ リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)

マイヨジョーヌ獲得を喜ぶリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:A.S.O.

これは僕たちにとってのサプライズ。今日の(マイヨジョーヌ獲得は)難しいと思っていたが、調子が良かったのでリスク覚悟で攻めた。チームはフィニッシュまで素晴らしい走りを見せてくれた。本当に嬉しいよ。

今朝チームバスでのミーティングで、マイヨジョーヌの獲得を目標に設定した。今大会における最初の集団スプリントのため、ナーバスかつトリッキーな終盤になることは承知の上だった。特に残り3kmから牽引してくれたアルベルト・ベッティオルの走りは素晴らしく、最後はマライン・ファンデンベルフが僕と共にスプリントしてくれた。これは僕個人ではなく、チーム一丸となり掴んだ結果だ。

明日は(山岳ステージの)ビッグデイとなり、難しいレースが予想される。だけど僕は全力を尽くし、このマイヨジョーヌを楽しみたい。

総合3位&マイヨブラン レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

マイヨブランを守ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:Soudal Quick-Step Pro Cycling Team

マイヨジョーヌを狙いに行くつもりはなかった。今日はツール最初のスプリントステージのため、混沌となることは予想されていた。第一目標は安全にフィニッシュすることで、それを完遂することができた。

今日は誰も逃げに興味を示すことはなく、長いリカバリーライドには最適なステージとなった。明日の山岳ステージではタデイ(ポガチャル)やヨナス(ヴィンゲゴー)、リチャル(カラパス)からタイムを失うことのないよう走りたい。小集団でのスプリントになれば勝利を目指すが、逃げとの兼ね合いもある。明日は逃げ切りの可能性もあるからね。

前日に落車したマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)

今日は距離が進むにつれ調子が良くなっていった。また脚の状態も良く、クリテリウム・デュ・ドーフィネの時と比べても上がってきているような感覚がある。明日は大会最初の本格的な山岳ステージ。僕自身はもちろん、チームとしても楽しみにしていると言ってもいいだろう。

重要なことはヨナスをトラブルから守ること。またここ数日間、彼は僕たちを感心させる走りを見せている。彼は自信を持って走っており、明日はまた違うテストの時となるだろう。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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