和歌山県太地町で行われたツール・ド・熊野第3ステージは集団でのスプリント勝負となり、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が優勝。リーダージャージの岡篤志(JCLチーム右京)が2位となり、個人総合2連覇を達成した。



最終日の漢字は「海」 photo:Satoru Kato
スタート前、チーム広報用の動画にコメントする岡篤志(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato


最終日のスタートラインに揃った4賞ジャージ photo:Satoru Kato

ツール・ド・熊野最終日の第3ステージは、和歌山県太地町でのレース。太地湾に面したアップダウンに富む1周10.5kmの周回コースを10周する104.3kmで行われた。

第2ステージまでを終えて、個人総合首位は岡篤志(JCLチーム右京)。10秒以内の差に16名がひしめく僅差で最終ステージを迎えた。2回設定される中間スプリントを1位通過し、フィニッシュで3位に入れば10秒のタイムボーナスを得て逆転優勝することも可能。岡の順位次第ではあるが、ステージ優勝だけでも逆転可能なタイム差だ。

曇り空の太地湾沿いを登る集団 photo:Satoru Kato

鯨のモニュメントが迎える太地町のコース photo:Satoru Kato

前日までの晴天から一転して朝から雲が広がり、雨予報もある中レースがスタート。アタックと吸収が繰り返される中、リーダージャージの岡を擁するJCLチーム右京がコントロールを試みる。2周回完了時に設定された中間スプリント1回目は岡が1位通過し、逆転を狙うライバルの動きを自ら封じていく。

レース序盤からJCLチーム右京が集団コントロール photo:Satoru Kato

5周目に抜け出した3名 photo:Satoru Kato

4周回終了時に設定された中間スプリントは山本元喜(キナンレーシングチーム)が先頭通過。この動きをきっかけに山本、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、フィンレー・ウォルシュ(キャッシュ・パー・クップ)の3名が先行し、メイン集団に1分差をつける。この時点で、22秒差で個人総合18位のトリビオがバーチャルリーダーとなる。

終盤、増田成幸(JCLチーム右京)が先頭固定で牽引を続ける photo:Satoru Kato

最終周回 逃げ続ける4名の後方に集団が迫る photo:Satoru Kato

メイン集団は増田成幸を先頭にJCLチーム右京がコントロールし、タイム差を徐々に縮める。30秒前後まで縮まった7周目、カーター・ベトルス(ルージャイ・インシュランス)と寺田吉騎(シマノレーシング)の2名が先頭集団にブリッヂ。遅れたウォルシュと入れ替わり、新たに4名の先頭集団となる。

最終周回に入ると、先行する4名とメイン集団との差は一気に10秒前後まで縮まる。先頭集団では吸収を嫌ってベトルスがアタックするも、残り1kmを前にメイン集団が吸収。最後は集団でのスプリント勝負となり、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が優勝した。残り400mでチェーンを落としながらも岡が2位に入り、ツール・ド・熊野2連覇。ポイント賞とあわせ今大会2冠を達成した。

岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が第3ステージ優勝 photo:Satoru Kato

岡篤志(JCLチーム右京)自ら2位に入って個人総合優勝を決めた photo:Satoru Kato

個人総合優勝 岡篤志コメント
「残り400mでチェーンが落ちてしまい、手で直して踏み直したら思ったより伸びて2位になった。あれが無ければステージ優勝出来たかもと思うと悔しいけれど、個人総合優勝することが出来て良かった。終盤はホセ(ビセンテ・トリビオ)選手が逃げて危ない展開になってしまったけれど、増田(成幸)さんがずっと先頭を引いてくれて、総合上位につけていた小石(祐馬)さんや(山本)大喜がコントロールしてくれたおかげで捕まえてスプリントに持ち込めた。チームのみんなに感謝したい。

ツール・ド・熊野 個人総合2連覇を決めた岡篤志(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato

今回チームのプランは、登りが厳しいコースなので小石さんと大喜を総合エースとして、僕はスプリントのエースとして臨んだ。結果として第2ステージで総合首位になって連覇となったが、なかなか出来るとこではないし、過去に何人も達成していることでもないので、本当に嬉しい。

次は全日本選手権。チームとして連覇できるようしっかり準備して臨みたい」

山岳賞 小林海(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
新人賞 ウィリアム・ヘファナン(キャッシュ・パー・クップ) photo:Satoru Kato


チーム総合優勝 JCLチーム右京 photo:Satoru Kato


ツール・ド・熊野 第3ステージ結果(104.3km)
1位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) 2時間31分43秒
2位 岡 篤志(JCLチーム右京) +0秒
3位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア)
4位 アレクサンドロス・アグロティス(マトリックスパワータグ、キプロス)
5位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン、コロンビア)
6位 床井亮太(レバンテフジ静岡)
7位 テグシュバヤール・バッサイカン(ルージャイ・インシュランス、モンゴル)
8位 ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム、オーストラリア)
9位 石上優大(愛三工業レーシングチーム)
10位 フランシスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ、スペイン)
個人総合順位 第3ステージ終了時
1位 岡 篤志(JCLチーム右京) 8時間11分9秒
2位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア) +11秒
3位 山本大喜(JCLチーム右京) +14秒
4位 小石祐馬(JCLチーム右京) +15秒
5位 アレクサンドロス・アグロティス(マトリックスパワータグ、キプロス) +16秒
6位 ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム、オーストラリア)
ポイント賞 第3ステージ終了時
1位 岡 篤志(JCLチーム右京) 50p
2位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア) 35p
3位 ジョン・カーター(キャッシュ・パー・クップ) 26p
山岳賞 第3ステージ終了時
1位 小林 海(マトリックスパワータグ) 39p
2位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア) 9p
3位 小石祐馬(JCLチーム右京) 8p
チーム総合順位 第3ステージ終了時
1位 JCLチーム右京 24時間34分21秒
2位 マトリックスパワータグ +0秒
3位 宇都宮ブリッツェン +7秒

text&photo:Satoru Kato

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