2023/05/19(金) - 08:00
レース序盤から大集団の逃げが形成され、最後は三つ巴スプリントに持ち込まれたジロ・デ・イタリア第12ステージ。アシストとして数多の勝利に貢献してきたニコ・デンツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がグランツール初優勝を飾った。
アルプス山脈での山岳決戦を前に、選手たちはブラからその麓にあるリーヴォリを目指す。このステージが逃げ切り濃厚と見られている理由はスタート直後にカテゴリーなき急勾配の登りと、3級山岳が連続して登場するため。また一度フィニッシュラインを通過していから臨む2級山岳コッレ・ブライダ(残り37.7km地点)は、全長9.8kmに加え平均勾配7.1%(最大12%)と総合勢によるアタックすら考えられる急坂だ。
前日の落車で仙骨骨折の可能性があるアレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が未出走だったこの日は、スタート前にイタリア北部の大規模な洪水による死者への黙祷が捧げられた。そしてマリアローザを着るゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を先頭に、139名となった選手たちがブラの街を出発した。
完全な逃げ向きのステージでは予想通りスタート直後からアタックが勃発したため、僅か5kmでフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)やシモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)などスプリンターが遅れていく。その直後にダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)とマルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)の2人が飛び出し、プロトンから同じく逃げを目指す大人数が合流を果たした。
区間優勝はもちろん、最終的なマリアチクラミーノ(ポイント賞)獲得のため中間ポイントを上位で通過したいマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)やマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)も入った先頭集団は26名。そして3級山岳でステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク)ら4名が追いついたため、その人数は30となった。
イネオス・グレナディアーズが牽引するメイン集団は、翌日の厳しい山岳ステージに向けて力を蓄えるべくリラックスムードが包んだ。しかし前日からの体調不良を引きずるカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が遅れ、ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)がドクターカーと並走して治療を受けるシーンも。グローブスはリタイアを選んだ一方で、ミランは新城幸也と共にグルペットで無事フィニッシュしている。
最大12ポイントが得られる中間スプリント(79.8km地点)では、マシューズを退けたピーダスンがトップで通過。直後に今大会ではお馴染みとなった雨が降り始めるなか、プロトンに3分差をつけた逃げ集団からラウンドアバウトを利用してトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)ら5名が抜け出す。しかしその中のサムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)が走りながら嘔吐するほどの体調不良に見舞われ、プロトンに戻っていったため先頭は4名となった。
先頭集団を形成した4名
ニコ・デンツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)
セバスチャン・バーウィック(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)
トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)
一方、追走の意思のないメイン集団ではジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)と総合4位につけるアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)が残り85km地点の補給ゾーンで落車。しかし2人に大きな怪我はなく、事実上逃げ切りを容認して落ち着いたペースで進むプロトンへの復帰を果たしている。
順調にローテーションを回す先頭の4名に対し、アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)とクリスティアン・スカローニ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)、アレックス・ボーダン(フランス、AG2Rシトロエン)の3名が第1追走集団を形成する。しかし最終2級山岳コッレ・ブライダ(残り37.7km地点)に突入した時点でその差は2分31秒まで拡大していたため、その追走が届くことはなかった。
そして登坂でトネッリが早々と遅れ、バーウィックとスクインシュのペースアップにスプリントに長けるデンツが苦悶の表情を浮かべながらも食らいつく。そして3名が頂上を通過。残り12km地点の緩斜面でデンツによる虚を突くアタックも決まらず、勝負はジロ未勝利の3名によるスプリント勝負へとなだれ込んだ。
フィニッシュ手前250mで3名が同時に腰を上げ、デンツのスピードにスクインシュが背後につく一方で、バーウィックが先んじて踏みを止める。そしてスクインシュも諦めてスピードを緩めた結果、デンツがジロ12日目の勝者に輝いた。
フィニッシュ後に雄叫びを上げなら頭を抱え、キャリア最大の勝利の喜びを全身で表現したデンツ。「言葉がないほど嬉しく、この勝利を誇りに思う。当初は僕が逃げに乗る予定ではなかった。しかしチーム事情により逃げに入り、周りを見渡して”モンスター”のような強い選手ばかりで驚いたよ。最終山岳では限界ギリギリで食らいつき、最後はスピードのある脚のおかげで勝つことができた。嬉しくて天にも昇る心地だよ」と喜びを語った。
トーマスやログリッチなど総合上位陣を含んだメイン集団はトップから8分19秒遅れでフィニッシュ。最後は前日に落車し、状態が心配されたパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)がライバルのアタックを封じる強力な集団牽引を見せながら、無事にジロ12日目を終えている。
翌日の第13ステージはコース中盤にチーマ・コッピ(大会最標高地点)、グラン・サンベルナール峠を越える山岳ステージ。しかし、レース主催者は悪天候の場合は山道を上がりきらずトンネルを通過するプランを検討しており、当日の判断に注目が集まる。
アルプス山脈での山岳決戦を前に、選手たちはブラからその麓にあるリーヴォリを目指す。このステージが逃げ切り濃厚と見られている理由はスタート直後にカテゴリーなき急勾配の登りと、3級山岳が連続して登場するため。また一度フィニッシュラインを通過していから臨む2級山岳コッレ・ブライダ(残り37.7km地点)は、全長9.8kmに加え平均勾配7.1%(最大12%)と総合勢によるアタックすら考えられる急坂だ。
前日の落車で仙骨骨折の可能性があるアレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が未出走だったこの日は、スタート前にイタリア北部の大規模な洪水による死者への黙祷が捧げられた。そしてマリアローザを着るゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を先頭に、139名となった選手たちがブラの街を出発した。
完全な逃げ向きのステージでは予想通りスタート直後からアタックが勃発したため、僅か5kmでフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)やシモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)などスプリンターが遅れていく。その直後にダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)とマルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)の2人が飛び出し、プロトンから同じく逃げを目指す大人数が合流を果たした。
区間優勝はもちろん、最終的なマリアチクラミーノ(ポイント賞)獲得のため中間ポイントを上位で通過したいマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)やマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)も入った先頭集団は26名。そして3級山岳でステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク)ら4名が追いついたため、その人数は30となった。
イネオス・グレナディアーズが牽引するメイン集団は、翌日の厳しい山岳ステージに向けて力を蓄えるべくリラックスムードが包んだ。しかし前日からの体調不良を引きずるカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が遅れ、ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)がドクターカーと並走して治療を受けるシーンも。グローブスはリタイアを選んだ一方で、ミランは新城幸也と共にグルペットで無事フィニッシュしている。
最大12ポイントが得られる中間スプリント(79.8km地点)では、マシューズを退けたピーダスンがトップで通過。直後に今大会ではお馴染みとなった雨が降り始めるなか、プロトンに3分差をつけた逃げ集団からラウンドアバウトを利用してトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)ら5名が抜け出す。しかしその中のサムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)が走りながら嘔吐するほどの体調不良に見舞われ、プロトンに戻っていったため先頭は4名となった。
先頭集団を形成した4名
ニコ・デンツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)
セバスチャン・バーウィック(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)
トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)
一方、追走の意思のないメイン集団ではジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)と総合4位につけるアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)が残り85km地点の補給ゾーンで落車。しかし2人に大きな怪我はなく、事実上逃げ切りを容認して落ち着いたペースで進むプロトンへの復帰を果たしている。
順調にローテーションを回す先頭の4名に対し、アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)とクリスティアン・スカローニ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)、アレックス・ボーダン(フランス、AG2Rシトロエン)の3名が第1追走集団を形成する。しかし最終2級山岳コッレ・ブライダ(残り37.7km地点)に突入した時点でその差は2分31秒まで拡大していたため、その追走が届くことはなかった。
そして登坂でトネッリが早々と遅れ、バーウィックとスクインシュのペースアップにスプリントに長けるデンツが苦悶の表情を浮かべながらも食らいつく。そして3名が頂上を通過。残り12km地点の緩斜面でデンツによる虚を突くアタックも決まらず、勝負はジロ未勝利の3名によるスプリント勝負へとなだれ込んだ。
フィニッシュ手前250mで3名が同時に腰を上げ、デンツのスピードにスクインシュが背後につく一方で、バーウィックが先んじて踏みを止める。そしてスクインシュも諦めてスピードを緩めた結果、デンツがジロ12日目の勝者に輝いた。
フィニッシュ後に雄叫びを上げなら頭を抱え、キャリア最大の勝利の喜びを全身で表現したデンツ。「言葉がないほど嬉しく、この勝利を誇りに思う。当初は僕が逃げに乗る予定ではなかった。しかしチーム事情により逃げに入り、周りを見渡して”モンスター”のような強い選手ばかりで驚いたよ。最終山岳では限界ギリギリで食らいつき、最後はスピードのある脚のおかげで勝つことができた。嬉しくて天にも昇る心地だよ」と喜びを語った。
トーマスやログリッチなど総合上位陣を含んだメイン集団はトップから8分19秒遅れでフィニッシュ。最後は前日に落車し、状態が心配されたパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)がライバルのアタックを封じる強力な集団牽引を見せながら、無事にジロ12日目を終えている。
翌日の第13ステージはコース中盤にチーマ・コッピ(大会最標高地点)、グラン・サンベルナール峠を越える山岳ステージ。しかし、レース主催者は悪天候の場合は山道を上がりきらずトンネルを通過するプランを検討しており、当日の判断に注目が集まる。
ジロ・デ・イタリア2023第12ステージ結果
1位 | ニコ・デンツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:18:11 |
2位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | |
3位 | セバスチャン・バーウィック(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック) | +0:03 |
4位 | アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ) | +0:58 |
5位 | マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック) | +2:07 |
6位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +2:20 |
7位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
8位 | クリスティアン・スカローニ(イタリア、アスタナ・カザフスタン) | |
9位 | ミヒェル・ヘスマン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ) | |
10位 | アレックス・ボーダン(フランス、AG2Rシトロエン) | |
28位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +8:19 |
31位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
126位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | +20:44 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 49:02:05 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +0:02 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:22 |
4位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +0:35 |
5位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:28 |
6位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:52 |
7位 | エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) | +2:32 |
8位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | |
9位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ) | +2:36 |
10位 | オレリアン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン) | +2:48 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 164pts |
2位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | 140pts |
3位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ) | 88pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ) | 104pts |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 50pts |
3位 | カレル・ヴァチェク(チェコ、チーム・コラテック) | 36pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 49:02:27 |
2位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +0:13 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +2:10 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 147:02:35 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +3:49 |
3位 | EFエデュケーション・イージーポスト | +4:07 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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