2020/01/31(金) - 16:50
UCIワールドツアー初戦、アデレード現地では市民の誰もが知る一大イベントとなったサントス・ツアー・ダウンアンダー。自転車競技が盛んなオーストラリアでは全国的に知名度は抜群。TDUをアデレードで観戦したスポーツライター池野茜さんが現地の雰囲気をレポートします。
アデレードの中心部に出現した巨大自転車バルーン。自転車の事故防止を呼びかけている
シュワルベクラシックはこの人だかり
脚のストレッチをするフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、CCCチーム)
オーストラリアではスポーツが好きな人なら普段ロードレースを見ない人でも「ツアー・ダウンアンダー」で通じます。今回は、サントス・ツアー・ダウンアンダーをアデレードで初めて現地観戦して感じたことをレポートします。
選手との距離がいい意味で近い
UCIワールドツアー開幕戦のサントス・ツアー・ダウンアンダーは、いい意味で選手と観客の距離が近く、レース開始前の選手も非常にリラックスした様子が印象的です。話しかければ気軽にサインや写真撮影に応じてくれる選手も多くいます。
大会3連覇に王手をかけた第6ステージ開始前でもファン対応をしてくれたダリル・インピー
観戦ファンも努力次第でこれだけのサインを集められる!
「TEAM JAY」とジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
ポーズも取ってくれるジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)
ダウンアンダーに限ったことではありませんが、子供のファンにはどの選手もとても優しいです。レース前の選手が待機するハイエースの近くにいる子供に気づけば手を振ってくれるし、沿道で応援してくれている子供を見つければボトルを投げてくれます。カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)がファンの男の子と談笑していたのはスタートわずか6分ほど前(カメラの撮影記録より)。きっと彼の声援が、この3時間半後にステージ2勝目を飾ったユアンの原動力になったことでしょう。
スタート直前にカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)がファンの男の子と談笑
子供の方へボトルを投げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)
いい意味で日常の延長線上にある
お祭りムードの強いツール・ド・フランスに比べると、ツアー・ダウンアンダーは日常にポンとロードレースが登場する印象を受けました。スタート地点に面したネイルサロンではいつも通りにネイルアートを受けている客がいるなど、日常生活とロードレースが共存しています。この理由には、アデレードのコンパクトさが関係しているのではないかと感じました。
第4ステージスタート地点のノーウッドにて
ノーウッドにある本屋
ここから先は個人的な推測ですが、ツール・ド・フランスの場合、スタート地点やフィニッシュ地点に関係者や観客が大勢詰めかけ、その地で食事や宿泊をします。そのためホストタウンでは当日と前日(または翌日)の2日間にわたって観客を含むツール関係者をもてなすので規模が大きいのではないかと思います。街の中心部を起点にしたコンパクトなツアー・ダウンアンダーの場合、レースは14~15時ごろに終わり、どんなに遅くても陽が明るいうちに中心部に帰れます。そのため、ホストタウンで食事を摂る人がいても、宿泊する人はそう多くありません。少なくとも選手やスタッフなどは中心部に戻ってしまいます。ホストタウンが大会に接する時間が短いため、非日常の手前で留まっているのかなと思いました。
選手を一目見ようと沿道に駆け付けるサイクリストたち
ジャージなどが沿道で販売されていた
日焼け止めを配り歩く。声をかけると数プッシュ分の日焼け止めがもらえる
レースを観にやってきた市民やサイクリスト(マクラーレンヴェールにて)
とはいえ、ツアー・ダウンアンダーのホストタウンが決して盛り上がっていないわけではありません。日本に詳しい現地の人曰く、「アデレードはオーストラリアの埼玉」とか。そんなアデレードで「こんなにいたんだ!」と驚くくらい多くのサイクリストが連日コースを訪れています。ロードバイクに乗って親とレースを見に来る小学生くらいの子供も多く、オーストラリアでのロードレース人気の高さを感じました。
マクラーレンヴェールのデコレーション
ウィランガヒルの麓にて。羽ばたく自転車のデコレーション
ウィランガヒルの麓にて。各チームのジャージのイラストを印刷し、旗に見立ててデコレーション
ウィランガ小学校の生徒が作ったデコレーション
日常の延長線上にツアー・ダウンアンダーがあるので、自転車などのデコレーションを施しているお店は少数派といえるでしょう。ただし第6ステージは例外です。毎年ほとんど変わらないコースを採用しているため、スタート地点のマクラーレンヴェールもウィランガヒルの麓の飲食店も、デコレーションの多さはツール・ド・フランスさながら。ウィランガの麓にある小学校の前には生徒が作った横断幕が飾ってあり、この地域の子供たちにとっては、小さい頃からロードレースが身近な存在であることを感じました。
スペイン・ポンフェラーダで開催された2014世界選手権の代表選手サイン入りジャージ
今大会のコースマップをツール・ド・フランス風に。地名なども全部フランス語に翻訳するなど、非常に凝っていた
数は多くないものの、デコレーションされたお店のなかにはかなり凝ったデコレーションのお店もあります。普通に歩いているとスルーしてしまうようなところに凝ったデコレーションが飾られていると、隠れミッキーを見つけたような気持になって嬉しくなります。スタート地点とフィニッシュ地点のデコレーションは映像にもあまり映らないので、現地観戦をする際はぜひ探してみてください。
アデレード住民の憩いの場に設置した特設ヴィレッジ
アデレード中心部のヴィクトリア広場では、連日ツアー・ダウンアンダーのパブリックビューイングを実施していました。ヴィクトリア広場はスポンサーやメーカーのブースが建ち並ぶヴィレッジとなっていて、無料で入場できます。大会開幕前の選手たちがコアラを抱っこしている場所もチームプレゼンテーションの会場もこのヴィレッジ内で、自由に立ち入りできます。
夕暮れの中開催されたチームプレゼンテーションのいい雰囲気といったら!
マルコ・パンターニモデルのバイクも展示されたビアンキブース
ヴィレッジ南側のカフェゾーンで観戦するサイクリストたち
大型スクリーンがあるヴィレッジ北側の開場時刻は13時。しかし、11時からレースは始まっているので、朝6時から入場可能なヴィレッジ南側のカフェゾーンにサイクリストたちが集まってレースを観戦します。
巨大ビジョンのあるヴィレッジ南側のカフェゾーンで観戦するサイクリストたち
ヴィレッジ北側の開場に伴い、南側でレースを見ていた人たちの多くが北側へ移動。フードエリアで販売されている食べ物や飲み物を購入し、ゆったりとレース観戦します。ヴィレッジ北側にはアルコールを扱うバーもあるので、昼間からお酒を飲みながらレース観戦を楽しんでいる方も少なくありません(※南オーストラリア州では飲酒後の自転車運転は法律で禁止されています)。
固唾をのんでフィニッシュ地点手前の集団スプリントの行方を見守る
テント内に設けられたチームゾーン
アデレードに暮らす人々の憩いの場でもあるヴィクトリア広場
ヴィレッジを歩いていると、いたるところで選手についての話をする声が聞こえます。個人的な感覚としては、地元オーストラリアのリッチー・ポート(トレック・セガフレード)とカレブ・ユアンが人気を二分。各ステージのスタート地点では、彼らを擁するチームの車の前にはいつも大勢のファンが待機していました。
シーズン開幕戦ならではのことや大会名物も楽しめる!
各チームの新しいジャージや機材など、見慣れないものでいっぱいなのもシーズン開幕戦の特徴です。新城幸也選手が所属するバーレーン・マクラーレンのジャージは遠くからでも目立っていました。また、移籍した選手を思わず前所属チームで探してしまうのも「ダウンアンダーあるある」です。
イネオスのジャージに着替えたローハン・デニス。SNSで新チームのジャージを見ていても、実物を目の前にすると見入ってしまいます
エリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス)は昨年までのチームメイトと談笑しながらスタート
スタートしていくプロトン。バーレーン・マクラーレンのジャージは遠くからでもすぐに判別できる
現地観戦組ならきっと一度はトライするのが、ツアー・ダウンアンダー名物となりつつある(?)マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)のヘルメットに着いたコアラの撮影。レース中にピントが合った写真を撮れるのが理想ですが、なかなかうまくいかず…。今回私がまともに撮れたのはレース前の後ろ姿1枚のみでした。
マヌエーレ・ボアーロは今年はブルーのコアラをヘルメットに着けていた
ちなみに、ボアーロは2018年から3年連続で出場していますが、ホワイト、イエロー、ブルーとコアラの服の色が毎年違うのはご存知でしょうか? 早くも来年は何色かな?…と考えてしまいます。今シーズンの活躍はもちろん、来年は何色の服を着たのコアラがアデレードに登場するのか、今からとても楽しみです。
photo&text:Akane.Ikeno in Adelaide, Australia
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オーストラリアではスポーツが好きな人なら普段ロードレースを見ない人でも「ツアー・ダウンアンダー」で通じます。今回は、サントス・ツアー・ダウンアンダーをアデレードで初めて現地観戦して感じたことをレポートします。
選手との距離がいい意味で近い
UCIワールドツアー開幕戦のサントス・ツアー・ダウンアンダーは、いい意味で選手と観客の距離が近く、レース開始前の選手も非常にリラックスした様子が印象的です。話しかければ気軽にサインや写真撮影に応じてくれる選手も多くいます。
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ダウンアンダーに限ったことではありませんが、子供のファンにはどの選手もとても優しいです。レース前の選手が待機するハイエースの近くにいる子供に気づけば手を振ってくれるし、沿道で応援してくれている子供を見つければボトルを投げてくれます。カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)がファンの男の子と談笑していたのはスタートわずか6分ほど前(カメラの撮影記録より)。きっと彼の声援が、この3時間半後にステージ2勝目を飾ったユアンの原動力になったことでしょう。
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いい意味で日常の延長線上にある
お祭りムードの強いツール・ド・フランスに比べると、ツアー・ダウンアンダーは日常にポンとロードレースが登場する印象を受けました。スタート地点に面したネイルサロンではいつも通りにネイルアートを受けている客がいるなど、日常生活とロードレースが共存しています。この理由には、アデレードのコンパクトさが関係しているのではないかと感じました。
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ここから先は個人的な推測ですが、ツール・ド・フランスの場合、スタート地点やフィニッシュ地点に関係者や観客が大勢詰めかけ、その地で食事や宿泊をします。そのためホストタウンでは当日と前日(または翌日)の2日間にわたって観客を含むツール関係者をもてなすので規模が大きいのではないかと思います。街の中心部を起点にしたコンパクトなツアー・ダウンアンダーの場合、レースは14~15時ごろに終わり、どんなに遅くても陽が明るいうちに中心部に帰れます。そのため、ホストタウンで食事を摂る人がいても、宿泊する人はそう多くありません。少なくとも選手やスタッフなどは中心部に戻ってしまいます。ホストタウンが大会に接する時間が短いため、非日常の手前で留まっているのかなと思いました。
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日常の延長線上にツアー・ダウンアンダーがあるので、自転車などのデコレーションを施しているお店は少数派といえるでしょう。ただし第6ステージは例外です。毎年ほとんど変わらないコースを採用しているため、スタート地点のマクラーレンヴェールもウィランガヒルの麓の飲食店も、デコレーションの多さはツール・ド・フランスさながら。ウィランガの麓にある小学校の前には生徒が作った横断幕が飾ってあり、この地域の子供たちにとっては、小さい頃からロードレースが身近な存在であることを感じました。
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アデレード住民の憩いの場に設置した特設ヴィレッジ
アデレード中心部のヴィクトリア広場では、連日ツアー・ダウンアンダーのパブリックビューイングを実施していました。ヴィクトリア広場はスポンサーやメーカーのブースが建ち並ぶヴィレッジとなっていて、無料で入場できます。大会開幕前の選手たちがコアラを抱っこしている場所もチームプレゼンテーションの会場もこのヴィレッジ内で、自由に立ち入りできます。
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ヴィレッジを歩いていると、いたるところで選手についての話をする声が聞こえます。個人的な感覚としては、地元オーストラリアのリッチー・ポート(トレック・セガフレード)とカレブ・ユアンが人気を二分。各ステージのスタート地点では、彼らを擁するチームの車の前にはいつも大勢のファンが待機していました。
シーズン開幕戦ならではのことや大会名物も楽しめる!
各チームの新しいジャージや機材など、見慣れないものでいっぱいなのもシーズン開幕戦の特徴です。新城幸也選手が所属するバーレーン・マクラーレンのジャージは遠くからでも目立っていました。また、移籍した選手を思わず前所属チームで探してしまうのも「ダウンアンダーあるある」です。
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現地観戦組ならきっと一度はトライするのが、ツアー・ダウンアンダー名物となりつつある(?)マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)のヘルメットに着いたコアラの撮影。レース中にピントが合った写真を撮れるのが理想ですが、なかなかうまくいかず…。今回私がまともに撮れたのはレース前の後ろ姿1枚のみでした。
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ちなみに、ボアーロは2018年から3年連続で出場していますが、ホワイト、イエロー、ブルーとコアラの服の色が毎年違うのはご存知でしょうか? 早くも来年は何色かな?…と考えてしまいます。今シーズンの活躍はもちろん、来年は何色の服を着たのコアラがアデレードに登場するのか、今からとても楽しみです。
photo&text:Akane.Ikeno in Adelaide, Australia
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