ツール・ド・フランス第15ステージの序盤にエリー・ジェスベール(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)を殴打したとして、UCIコミッセールはジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)に失格処分を与えた。


チームスカイがメンバー全員で集団先頭に立つ(左端がモスコン)チームスカイがメンバー全員で集団先頭に立つ(左端がモスコン) photo:Kei Tsuji
エースの言葉に耳を傾けるジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)エースの言葉に耳を傾けるジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
ツール第15ステージのスタート直後、距離にして800mほど進んだ地点で、モスコンが振り返りながらジェスベールの頭にパンチするシーンが映し出された。モスコンはそのままレースを継続し、アシストとして働きながら完走。ジェスベールは落車することなくステージ101位でフィニッシュしている。

UCIコミッセールはレース後に映像を精査し、モスコンに失格処分を与えることを決めた。チームスカイのデイヴ・ブレイルスフォードGMとニコラ・ポルタル監督がUCIコミッセールに処分軽減を求めたが認められず。処分にあたってはUCI規則12.1.040.30.1「競技者間の暴力行為:重大な違反の場合は除外」が適用されている。

今回の失格処分を受けてチームスカイはプレスリリースを出し、ブレイルスフォードGMの声明を発表している。「我々はジャンニ・モスコンをツールから除外するというレース主催者の判断を支持し、受け入れる。ジャンニは自分の行いを深く反省しており、彼自身とチーム、レースに悪影響を与えることを理解している。ツール閉幕後、必要があればジャンニに対するさらなる処分を発表する。今回の決して容認できない事件に関して、エリー・ジェスベールとフォルトゥネオ・サムシックに心から謝罪したい」。

モスコンの問題行為はこれが初めてではない。2017年のツール・ド・ロマンディでケヴィン・レザ(フランス、当時FDJ)に対して人種差別発言をしたとして、チームスカイはモスコンに6週間の活動自粛処分を与えている。その直後のトレヴァッリ・ヴァレジーネでは、モスコンがセバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ)を故意に落車させた疑惑が浮上。肘と臀部に骨折を負ったライヒェンバッハがUCIに訴えたが、UCI懲罰委員会は映像などの証拠不十分であるとしてその訴えを棄却している。さらに同年のロード世界選手権では落車からの復帰の際にチームカーに掴まったとしてモスコンは失格処分を受けた。

タイムトライアルを得意とするマルチタレントなオールラウンダーとして将来を嘱望され、2016年からチームスカイに所属する24歳のモスコン。プロ1年目にアークティックレース・オブ・ノルウェーで総合優勝を飾り、2017年にはイタリア選手権タイムトライアル優勝、イル・ロンバルディア3位、パリ〜ルーベ5位、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合27位という成績を残している。

総合ワンツー体制を築いて2回目の休息日を迎えるチームスカイに水を差すモスコンの失格処分。最終決戦地ピレネーをチームスカイは7名で戦わざるを得なくなった。ツール閉幕後、解雇もしくは出場停止処分など何らかの処分が与えられる可能性が高い。

クリテリウム・デュ・ドーフィネでマイヨジョーヌに袖を通したジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)クリテリウム・デュ・ドーフィネでマイヨジョーヌに袖を通したジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) photo:CorVos
text&photo:Kei Tsuji in Carcassonne, France

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