2017/01/23(月) - 12:41
翌週にシクロクロス世界選手権を控えるヨーロッパではワールドカップ最終戦が行われ、男子エリートで怪我明けのラース・ファンデルハールが復活を告げる独走勝利。日本勢は多くが完走し、幸先良く欧州遠征をスタートさせている。
シクロクロス世界選手権を1週間後に控えたヨーロッパでは、ベルギー国境にほど近いオランダの沿岸都市ホーヘルハイデでUCIワールドカップ最終戦が開催された。お馴染みとなったコースは林の中の小さな丘陵地と平地を組み合わせており、2014年世界選手権のコースと類似する。気温は低くもドライ。レースの平均スピードは軒並み上昇した。
翌週末にルクセンブルクで世界選手権が控えているため、男子エリートレースには70名を越える選手達がエントリー。前週のワールドカップをスキップしたマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)をはじめ、日本からは沢田時(ブリヂストンアンカー)、前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム)、小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)の3名もスタートラインに並んだ。
ホールショットから序盤の主導権を握ったのはマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)。トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)やマルセル・ウィルドハーバー(スイス、スコット)やクレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス)が代わる代わる先頭に立ち、一列棒状となりつつ1周回を完了していく。
互いに見合いながら走行する中、まず動いたのはフランス王者ヴェンチュリーニ。しかし隊列を引き延ばすにとどまり、次いでファンデルポールが加速すると先頭は2人に。ここに前日ベルギーで行なわれたUCI.2クラスのレースで勝っていたラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・フィデア)が飛びついた。
「(世界選でチームメイトになる)ファンデルポールをアシストしようと思って3位グループから飛び出し合流したけれど、彼はその時僕を先行させようとしたんだと思う」と振り返るように、突如大きなリードを得たファンデルハールはそのまま先行することを選択。どこか一手を欠く2位グループは一列のまま追走したが、最後まで追いつくことは叶わなかった。
快調にペースを刻むファンデルハールに対して、来週オランダチームのエースを担うファンデルポールの走りは精彩を欠いていた。「最初に加速した時にキレがないことが分かった。走れば走るほど疲労が溜まり、そのまま走り続けたけれど状態が良くなることはなかった」と、追走グループからも姿を消し、最終的に2分14秒遅れの24位でフィニッシュすることに。
2位グループからは断続的なペースアップが掛かるものの、アタックと吸収が続いたことでペースが落ち着かず、ファンデルハールとの差は20秒、30秒と広がっていく。それを尻目にミスなく走りきったファンデルハールは怪我明けのビッグレースで初勝利。
2位にトム・メーウセン(ベルギー)、3位にコルヌ・ファンケッセル(オランダ)が入り、テレネット・フィデア勢が表彰台を独占する結果となった。
「信じられない気分だ。金曜日に練習した時の感触が物凄く良く、土曜日に開催されたC2カテゴリーのレースで自信を確かなものにできた。世界選手権に向けて集中を高めてくれる勝利になったよ。序盤はファンデルポールのハイペースに苦しめられたけれど、時間が経つほど冷静に展開することができた。最終週回で今日は勝てると信じることができた。今シーズンはワールドカップで勝つことはないだろうと考えていたので、思わず涙がこぼれたし、どうしても笑顔になってしまった。この勝利はチームメイトのおかげだ」と復活勝利を飾ったファンデルハールはチームでの勝利をアピールする。
世界選手権に関しては「全く違ったレースになると思う。マテューに関しては全く心配していないよ。彼は練習を重ねているし、彼を信じている。オランダチームとして最善の結果を狙っていきたい」とコメント。ここ2年でアルカンシエルを分け合っているファンデルポールとワウト・ファンアールト(ヴェランダスヴィレムス・クレラン)が相次いで不調に陥っていることで、世界選手権の行方はより混沌としたものとなっている。
また、日本勢3選手は共にトップと同一周回完走。最高位は4分17秒遅れた沢田時の51位で、前田公平56位、小坂光57位。沢田は自信のFacebook上で「ドライコンディションの超ハイスピードレースでトップとのタイム差が付きにくいコースであったとはいえ、エリート初戦で完走できたことは自信になりました。去年よりも心肺、脚ともに若干の余裕があることでレットゾーンになることなく、最後までタレずにパックで展開できたことが収穫です。とはいえ51位という順位には満足できないので、1週間後の世界戦ではひとつでも前の順位、パックで走れるようにしっかりと準備していきたいと思います」とコメント。
また、坂口聖香(パナソニックレディース)、今井美穂、武田和佳(Liv)が出場した女子エリートではマリアンヌ・フォス(オランダ、WM3)が圧勝し、序盤には世界王者のタリタ・デヨング(Lares-Waowdeals)が大落車でレースを去る波乱も。日本勢は全員同一周回完走し、それぞれ坂口42位、今井51位、武田61位でフィニッシュ。
男子U23織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)は好位置に付けていたものの、転倒をきっかけに脚を攣ってしまいDNF。初の海外レースとなった男子ジュニアの村上功太郎(松山工業高校)は「初の海外レースで全く想像がつかず緊張していました。今までのレースで一番頑張った」と50位で完走している。小坂光は「日本チーム全体としては良い結果だったのではないかなと思います」と総括している。
UCIシクロクロスワールドカップ2016-2017第9戦結果
男子エリート
1位 ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・フィデア) 1h03’32”
2位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) +44”
3位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア) +45”
4位 クレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス) +47”
5位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)
6位 ティム・メルリエ(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン) +51”
7位 ジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、ステイラーツ・ヴェローナ) +53”
8位 マルセル・マイセン(ドイツ、ステイラーツ・ヴェローナ) +54”
9位 ジム・アールノーツ(ベルギー、テレネット・フィデア)
10位 フィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、ベオバンク・コレンドン)
51位 沢田時(ブリヂストンアンカー) +4’17”
56位 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) +5’11”
57位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)
女子エリート
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、WM3) 42’48”
2位 ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) +13”
3位 アンナマリー・ワースト(オランダ、Liv) +15”
42位 坂口聖香(パナソニックレディース) +2’58”
51位 今井美穂 +3’43”
61位 武田和佳(Liv) +5’19”
男子U23
1位 ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、サンウェブ) 50’51”
2位 クレメン・ルッソ(フランス、サンエティエンヌ・ロワール) +28”
3位 タイス・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア) +40”
DNF 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
男子ジュニア
1位 トーマス・ピドコック(イギリス) 39’46”
2位 ベン・ターナー(イギリス) +04”
3位 ティモ・キーリッヒ(ベルギー) +08”
50位 村上功太郎(松山工業高校) +2’42”
text:So.Isobe
photo:CorVos
シクロクロス世界選手権を1週間後に控えたヨーロッパでは、ベルギー国境にほど近いオランダの沿岸都市ホーヘルハイデでUCIワールドカップ最終戦が開催された。お馴染みとなったコースは林の中の小さな丘陵地と平地を組み合わせており、2014年世界選手権のコースと類似する。気温は低くもドライ。レースの平均スピードは軒並み上昇した。
翌週末にルクセンブルクで世界選手権が控えているため、男子エリートレースには70名を越える選手達がエントリー。前週のワールドカップをスキップしたマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)をはじめ、日本からは沢田時(ブリヂストンアンカー)、前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム)、小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)の3名もスタートラインに並んだ。
ホールショットから序盤の主導権を握ったのはマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)。トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)やマルセル・ウィルドハーバー(スイス、スコット)やクレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス)が代わる代わる先頭に立ち、一列棒状となりつつ1周回を完了していく。
互いに見合いながら走行する中、まず動いたのはフランス王者ヴェンチュリーニ。しかし隊列を引き延ばすにとどまり、次いでファンデルポールが加速すると先頭は2人に。ここに前日ベルギーで行なわれたUCI.2クラスのレースで勝っていたラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・フィデア)が飛びついた。
「(世界選でチームメイトになる)ファンデルポールをアシストしようと思って3位グループから飛び出し合流したけれど、彼はその時僕を先行させようとしたんだと思う」と振り返るように、突如大きなリードを得たファンデルハールはそのまま先行することを選択。どこか一手を欠く2位グループは一列のまま追走したが、最後まで追いつくことは叶わなかった。
快調にペースを刻むファンデルハールに対して、来週オランダチームのエースを担うファンデルポールの走りは精彩を欠いていた。「最初に加速した時にキレがないことが分かった。走れば走るほど疲労が溜まり、そのまま走り続けたけれど状態が良くなることはなかった」と、追走グループからも姿を消し、最終的に2分14秒遅れの24位でフィニッシュすることに。
2位グループからは断続的なペースアップが掛かるものの、アタックと吸収が続いたことでペースが落ち着かず、ファンデルハールとの差は20秒、30秒と広がっていく。それを尻目にミスなく走りきったファンデルハールは怪我明けのビッグレースで初勝利。
2位にトム・メーウセン(ベルギー)、3位にコルヌ・ファンケッセル(オランダ)が入り、テレネット・フィデア勢が表彰台を独占する結果となった。
「信じられない気分だ。金曜日に練習した時の感触が物凄く良く、土曜日に開催されたC2カテゴリーのレースで自信を確かなものにできた。世界選手権に向けて集中を高めてくれる勝利になったよ。序盤はファンデルポールのハイペースに苦しめられたけれど、時間が経つほど冷静に展開することができた。最終週回で今日は勝てると信じることができた。今シーズンはワールドカップで勝つことはないだろうと考えていたので、思わず涙がこぼれたし、どうしても笑顔になってしまった。この勝利はチームメイトのおかげだ」と復活勝利を飾ったファンデルハールはチームでの勝利をアピールする。
世界選手権に関しては「全く違ったレースになると思う。マテューに関しては全く心配していないよ。彼は練習を重ねているし、彼を信じている。オランダチームとして最善の結果を狙っていきたい」とコメント。ここ2年でアルカンシエルを分け合っているファンデルポールとワウト・ファンアールト(ヴェランダスヴィレムス・クレラン)が相次いで不調に陥っていることで、世界選手権の行方はより混沌としたものとなっている。
また、日本勢3選手は共にトップと同一周回完走。最高位は4分17秒遅れた沢田時の51位で、前田公平56位、小坂光57位。沢田は自信のFacebook上で「ドライコンディションの超ハイスピードレースでトップとのタイム差が付きにくいコースであったとはいえ、エリート初戦で完走できたことは自信になりました。去年よりも心肺、脚ともに若干の余裕があることでレットゾーンになることなく、最後までタレずにパックで展開できたことが収穫です。とはいえ51位という順位には満足できないので、1週間後の世界戦ではひとつでも前の順位、パックで走れるようにしっかりと準備していきたいと思います」とコメント。
また、坂口聖香(パナソニックレディース)、今井美穂、武田和佳(Liv)が出場した女子エリートではマリアンヌ・フォス(オランダ、WM3)が圧勝し、序盤には世界王者のタリタ・デヨング(Lares-Waowdeals)が大落車でレースを去る波乱も。日本勢は全員同一周回完走し、それぞれ坂口42位、今井51位、武田61位でフィニッシュ。
男子U23織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)は好位置に付けていたものの、転倒をきっかけに脚を攣ってしまいDNF。初の海外レースとなった男子ジュニアの村上功太郎(松山工業高校)は「初の海外レースで全く想像がつかず緊張していました。今までのレースで一番頑張った」と50位で完走している。小坂光は「日本チーム全体としては良い結果だったのではないかなと思います」と総括している。
UCIシクロクロスワールドカップ2016-2017第9戦結果
男子エリート
1位 ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・フィデア) 1h03’32”
2位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) +44”
3位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア) +45”
4位 クレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス) +47”
5位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)
6位 ティム・メルリエ(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン) +51”
7位 ジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、ステイラーツ・ヴェローナ) +53”
8位 マルセル・マイセン(ドイツ、ステイラーツ・ヴェローナ) +54”
9位 ジム・アールノーツ(ベルギー、テレネット・フィデア)
10位 フィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、ベオバンク・コレンドン)
51位 沢田時(ブリヂストンアンカー) +4’17”
56位 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) +5’11”
57位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)
女子エリート
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、WM3) 42’48”
2位 ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) +13”
3位 アンナマリー・ワースト(オランダ、Liv) +15”
42位 坂口聖香(パナソニックレディース) +2’58”
51位 今井美穂 +3’43”
61位 武田和佳(Liv) +5’19”
男子U23
1位 ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、サンウェブ) 50’51”
2位 クレメン・ルッソ(フランス、サンエティエンヌ・ロワール) +28”
3位 タイス・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア) +40”
DNF 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
男子ジュニア
1位 トーマス・ピドコック(イギリス) 39’46”
2位 ベン・ターナー(イギリス) +04”
3位 ティモ・キーリッヒ(ベルギー) +08”
50位 村上功太郎(松山工業高校) +2’42”
text:So.Isobe
photo:CorVos
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