2014/08/03(日) - 08:53
スペイン・バスク地方を舞台に第34回クラシカ・サンセバスティアン(UCIワールドツアー)が開催され、1週間前に閉幕したツール・ド・フランスで総合表彰台を逃したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が勝利。次なる目標であるブエルタ・ア・エスパーニャに向けて弾みをつけた。
バスク地方の内陸部を行く photo:Tim de Waele
クラシカ・サンセバスティアン2014 image:clasica-san-sebastian.diariovasco.com熱狂的な自転車ファンを有するバスク地方最大のワンデーレースとして知られているクラシカ・サンセバスティアン。「クラシカ(クラシック)」の名を冠しているが、今年で開催34回目。比較的その歴史は浅い。全29戦あるUCIワールドツアーの19戦目にあたる。
レース序盤から単独で逃げたアメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル) photo:Tim de Waeleレースの舞台となるサンセバスティアンは、ビスケー湾に面した港湾都市。バスク語名はドノスティア。「ビスケー湾の真珠」と形容されるバスク地方随一のリゾート地であり、フランス国境にほど近い。
カウンターアタックで飛び出したダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)ら photo:Tim de Waeleコース全長は219kmで、後半にかけて1級山岳ハイスキベル峠や2級山岳アルカレ峠のリピートが組み込まれているのは例年通り。しかし今年は残り7km地点に2級山岳ボルダコ・トントーラが追加された。急勾配で、しかもフィニッシュラインに近いこの登りが勝負を決めることに疑いの余地はなかった。
バスク最大のワンデーレースだけに、バスク出身選手が燃えないわけがない。序盤からアメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)がソロエスケープを敢行して観客を沸かす。
チュルカは1回目の1級山岳ハイスキベル峠と2級山岳アルカレ峠を先頭通過したが、残り70kmを切ってメイン集団に吸収された。
続いて2回目の1級山岳ハイスキベル峠でダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)のアタックをきっかけに、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)やローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)を含む7名の強力なグループが先行。しかしこの動きも封じ込められ、断続的なアップダウンで縮小したプロトンが最後の2級山岳ボルダコ・トントーラに突入した。
観客が詰めかけた2級山岳ボルダコ・トントーラ photo:Tim de Waele
2級山岳ボルダコ・トントーラを先頭で登るミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) photo:Tim de Waele平均勾配が10%に達する登りでロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)がペースアップし、そこからアレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)がアタック。遅れて飛び出したミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)が地元バスクの声援を受けて頂上を目指す。
2級山岳ボルダコ・トントーラでアタックするホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Tim de Waeleコロブネフを抜いて先頭に立ったニエベ。しかしメイン集団から勢いよく飛び出したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)がアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)を引き連れて接近する。
2級山岳ボルダコ・トントーラを並んでクリアするホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Tim de Waele熱狂する観衆をかき分けてグングン加速したロドリゲスが先頭ニエベをパス。自分のペースを保ったバルベルデがロドリゲスに追いつき、2人で2級山岳ボルダコ・トントーラ頂上を通過した。
下りで独走に持ち込んだアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Tim de Waeleハイスピードダウンヒルに差し掛かったバルベルデとロドリゲスには、アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)、バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)、ニエベの3人が合流。すると残り4km地点でバルベルデが徐々に先行を開始する。
イェーツが落車するテクニカルな下り連続コーナーを滑らかにこなしたバルベルデが独走態勢に入った。
「ホアキン(ロドリゲス)がアタックした時、真っ先に飛びついたんだ。ホアキンがいずれ失速すると判断して自分はテンポで登り、その作戦通り頂上で合流。下りで主導権を握ろうと先行しているうちに独走になり、それからは全開で踏み続けた」というバルベルデが、牽制気味の後続を14秒振り切ってフィニッシュ。2008年に続く2度目のクラシカ制覇を果たした。
表彰台でお決まりのベレー帽を受け取ったバルベルデは「この勝利には驚いていない。確かにツールで総合表彰台を逃した悔しさはあったものの、シーズンを通して闘っている結果だ。ここまでシーズン10勝しているけど、UCIワールドツアーでは初勝利。本当に嬉しいよ。モビスターと、いつも傍にいてくれる妻のナターリアにこの勝利を捧げたい」とコメントする。その安定した走りによってUCIワールドツアーランキングのトップに立った。
「これからしばらくトレーニングの強度を落として休息に入る。それからブエルタについて考えたい。今年はナイロ(キンタナ)も出場するし、モビスターとして勝利を狙える体制は整っている」と、すでに次なる目標を見据えるバルベルデ。ブエルタ・ア・エスパーニャは8月23日に開幕する。
選手コメントはレース公式サイトより。
独走でフィニッシュするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Tim de Waele
2位でフィニッシュするバウク・モレマ(オランダ、ベルキン) photo:Tim de Waele
2位バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)、優勝アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、3位ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Tim de Waele
クラシカ・サンセバスティアン2014結果
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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バスク最大のワンデーレースだけに、バスク出身選手が燃えないわけがない。序盤からアメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)がソロエスケープを敢行して観客を沸かす。
チュルカは1回目の1級山岳ハイスキベル峠と2級山岳アルカレ峠を先頭通過したが、残り70kmを切ってメイン集団に吸収された。
続いて2回目の1級山岳ハイスキベル峠でダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)のアタックをきっかけに、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)やローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)を含む7名の強力なグループが先行。しかしこの動きも封じ込められ、断続的なアップダウンで縮小したプロトンが最後の2級山岳ボルダコ・トントーラに突入した。
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表彰台でお決まりのベレー帽を受け取ったバルベルデは「この勝利には驚いていない。確かにツールで総合表彰台を逃した悔しさはあったものの、シーズンを通して闘っている結果だ。ここまでシーズン10勝しているけど、UCIワールドツアーでは初勝利。本当に嬉しいよ。モビスターと、いつも傍にいてくれる妻のナターリアにこの勝利を捧げたい」とコメントする。その安定した走りによってUCIワールドツアーランキングのトップに立った。
「これからしばらくトレーニングの強度を落として休息に入る。それからブエルタについて考えたい。今年はナイロ(キンタナ)も出場するし、モビスターとして勝利を狙える体制は整っている」と、すでに次なる目標を見据えるバルベルデ。ブエルタ・ア・エスパーニャは8月23日に開幕する。
選手コメントはレース公式サイトより。
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クラシカ・サンセバスティアン2014結果
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
2位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
5位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
6位 イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
8位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
9位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
10位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
5位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
6位 イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
8位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
9位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
10位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
5h31'11"
+14"
+26"
+40"
+43"
+14"
+26"
+40"
+43"
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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