クリテリウム・ドゥ・ドーフィネと同時進行で、スイスでは第78回ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)が開催される。「第4のグランツール」と呼ばれる歴史ある大会には、3連覇が懸かったコスタやウィギンズ、クロイツィゲルの他、豪華スプリンター勢が出場予定だ。



ツール・ド・スイス2014コース全体図ツール・ド・スイス2014コース全体図 image:www.tourdesuisse.ch


2つの個人TTが登場 終盤の2連続超級山頂フィニッシュで決着

ツール・ド・スイス2014第2ステージツール・ド・スイス2014第2ステージ image:www.tourdesuisse.ch同時期開催のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネと並んで、ツール・ド・フランスの重要な前哨戦として知られるツール・ド・スイス。7月のツールを狙うオールラウンダーやスプリンターたちがスイスに集結する。

ツール・ド・スイス2014第7ステージツール・ド・スイス2014第7ステージ image:www.tourdesuisse.chその歴史は古く、第1回大会が開催されたのは今から80年前の1933年。ドーフィネよりも14年歴史が長く、今年で開催78回目を迎える。全9ステージで、歴史だけではなく開催期間もドーフィネよりも長い。かつては2週間にわたってで行なわれていたことから「第4のグランツール」とも呼ばれていた。

ツール・ド・スイス2014第8ステージツール・ド・スイス2014第8ステージ image:www.tourdesuisse.chコースの特徴として、ドーフィネと違ってスプリンターにチャンスがある平坦ステージが多く設定される。そのため、ツールに向けて最終調整に入るスプリンターたちの出場は、ドーフィネではなくこのスイスに集中する。

ツール・ド・スイス2014第9ステージツール・ド・スイス2014第9ステージ image:www.tourdesuisse.ch2014年大会はスイス南部イタリア語圏のベッリンツォーナで開幕する。イタリア語圏から北部のドイツ語圏に入り、そこから西部のフランス語圏を目指す9日間。同じスイスで開催されるツール・ド・ロマンディが西部のフランス語圏に限定されるのに対し、ツール・ド・スイスは「スイス一周レース」という名に相応しく、スイス全土を巡る。

初日は高低差180mの登りを含む9.4kmの個人タイムトライアル。2日目には今大会最高地点の超級山岳フルカ峠(標高2416m)を含む4つの難関山岳が登場する。ここで早くも総合優勝候補は絞り込まれるだろう。

起伏に富んだ第3ステージを経て、第4〜6ステージはスプリンター向きの平坦ステージが設定されている。総合争いが再び加熱するのは第7ステージの個人タイムトライアルだ。全長24.5kmのアップダウンコースで総合成績にシャッフルがかけられる。同時にTTスペシャリストたちによる競演に注目だ。

第78代覇者を決めるのは第8ステージと第9ステージの連続山頂フィニッシュだ。今大会最長219.1kmコースの先に超級山岳ヴェルビエが置かれた第8ステージでクライミングバトルが繰り広げられる。そして最終日、2つの1級山岳をこなした後に挑む超級山岳ザース・フェーで決着。例年よりも山岳ステージの比率が高いコース設定であると言える。

美しい風景にも注目のツール・ド・スイス美しい風景にも注目のツール・ド・スイス photo:Cor Vosスイスアルプスを走るプロトンスイスアルプスを走るプロトン photo:Riccardo Scanferla



ツール・ド・スイス2014ステージリスト
6月14日(土)第1ステージ ベッリンツォーナ〜ベッリンツォーナ 9.4km(個人TT)
6月15日(日)第2ステージ ベッリンツォーナ〜ザルネン 181.8km
6月16日(月)第3ステージ ザルネン〜ハイデン 202.9km
6月17日(火)第4ステージ ハイデン〜オッシンゲン 160.4km
6月18日(水)第5ステージ オッシンゲン〜ビューレン・アン・デア・アーレ 183.6km
6月19日(木)第6ステージ ビューレン・アン・デア・アーレ〜ドレモン 192.8km
6月20日(金)第7ステージ ヴォルプ〜ヴォルプ 24.5km(個人TT)
6月21日(土)第8ステージ ドレモン〜ヴェルビエ 219.1km
6月22日(日)第9ステージ マルティニー〜ザース・フェー 156.7km



コスタの3連覇なるか?ウィギンズやカヴ、サガンがスイスに挑む

ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ)ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ) photo:www.tourderomandie.ch2012年と2013年大会で総合優勝を果たしたのは、現在アルカンシェル(世界チャンピオンジャージ)を着るルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)だ。もちろんコスタは大会3連覇を目指して出場する。ツール・ド・フランスも見据えているだけに、相性の良いスイスで勢いをつけておきたいところだ。

ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:www.amgentourofcalifornia.comチームスカイはクリス・フルーム(イギリス)をドーフィネに、ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)をスイスに送り込む。ツール出場が決まっていない中、カリフォルニア覇者の走りに注目が集まる。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji2008年大会の覇者ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)や、ジロ・デ・イタリアを終えたばかりのカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)、2013年大会総合2位のバウク・モレマ(オランダ、ベルキン)、ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)らもリーダージャージ争いに加わるだろう。2010年大会の覇者フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)は弟アンディとともに出場する。

ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) photo:Cor.Vos総合争いと並行して注目したいのがスプリントバトルだ。ボーネンやレンショーを引き連れて出場するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)や、ミラノ〜サンレモ覇者のアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)、サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)らが揃う。

ワイルドカード枠で出場するゲラルド・チオレック(ドイツ、MTNキュベカ)やハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)もモチベーション高くスプリントに挑んでくるだろう。

2013年大会でステージ2勝を飾り、3年連続でポイント賞に輝いたペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)は様々なコースに対応可能。大集団スプリントはもちろんのこと、ピュアスプリンターが遅れるようなアップダウンコースでも勝利を狙える。今年もポイント賞候補の筆頭だ。

2つの個人タイムトライアルでは、トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)とファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)らが激突。オリカ・グリーンエッジから出場するMTBクロスカントリー世界チャンピオンのニノ・シューター(スイス)の走りにも注目だ。

text:Kei Tsuji

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