2013/10/15(火) - 11:02
10月14日に行なわれたツアー・オブ・北京(UCIワールドツアー)第4ステージで、ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)が勝利。ライバルを振り切ったスペインバスク出身の27歳が、最終日を前にリーダージャージに袖を通した。
ツアー・オブ・北京2013第4ステージ image:Tour of Beijing大会史上初めて1級山岳の山頂フィニッシュが設定された第4ステージ。北京西部の山岳地帯、門頭溝(モントウコウ)の妙峰山(ミョウファンマウンテン)で総合争いは決する。妙峰山は標高1003m、登坂距離12.6km・平均勾配5.7%という本格的な登りだ。
体調を崩しながらもスタートにやってきた西薗良太(チャンピオンシステム) photo:Sonoko Tanaka3つのカテゴリー山岳を含む150kmコースで序盤から逃げたのはインチャウスティやゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)ら4名。31km地点のスプリントポイントでボーナスタイムを稼いだインチャウスティがメイン集団に戻ると、代わってダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)ら3名がメイン集団から飛び出し、先頭3名にジョインした。山岳賞ジャージを着るカルーゾは順調に山岳ポイントを積み重ね、山岳賞を確定させている。
アシストとして働く宮澤崇史(サクソ・ティンコフ) photo:Sonoko Tanaka「最後の峠へ向けてメンバー4人をローテーションに入れてコントロールし、ロジャースに託す。チームとして良く機能していた」と語るのは宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)。総合狙いのチームが率いるメイン集団は、最後の1級山岳妙峰山で逃げグループを飲み込んだ。
5〜6%の斜面を速いテンポで登るメイン集団。12.6kmの登りを進むうちにメイン集団は人数を減らし、リーダージャージのナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)は翌日の平坦ステージを見据えて早々に千切れて行く。
残り7kmを切ると、ベルキンプロサイクリングが積極的にリードするメイン集団からアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)やマルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム)、ジョシュア・エドモンソン(イギリス、スカイプロサイクリング)らがアタックを仕掛けたものの、ハイテンポを刻むメイン集団を引き離せない。
残り5kmの時点でメイン集団は40名ほど。続いてダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング)とヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード)が飛び出したが決まらない。世界選手権でアルカンシェルを手にした2人、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)とトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)のアタックも封じ込められた。
北京西部の山岳地帯を進むプロトン photo:Graham Watson/Tour of Beijing
1級山岳妙峰山でアタックするマルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム)やジョシュア・エドモンソン(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Graham Watson/Tour of Beijing
山岳賞ジャージのダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)がエスケープ photo:Graham Watson/Tour of Beijing
1級山岳妙峰山で動くダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) photo:Graham Watson/Tour of Beijingすると残り2kmでベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)が強力なアタックを仕掛ける。ビッグネームが互いの様子を確認する間にリードを広げたインチャウスティが、10秒ほどのリードでそのまま残り1kmアーチを通過。先行するインチャウスティを、ダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング)やダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)が追撃した。
マーティンを振り切ってゴールするベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) photo:Graham Watson/Tour of Beijingしかし最後までインチャウスティのペースは落ちなかった。残り500mから猛烈なペースで追い上げたマーティンを振り切り、インチャウスティが両手を広げてフィニッシュ。レース序盤に稼いだボーナスタイムと山頂フィニッシュで広げたタイム差、さらにステージ優勝に付随するボーナスタイムにより、インチャウスティが総合首位に立った。
リーダージャージを獲得したベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) photo:Graham Watson/Tour of Beijing「最後はマーティンが迫ってきているのが見えたので全力で踏み直したよ」と語るインチャウスティ。今年のジロ・デ・イタリアでマリアローザを1日だけ着用し、第16ステージで逃げ切り勝利を飾ったバスク生まれのオールラウンダーが、シーズン最後のUCIワールドツアーステージレース総合優勝に王手をかけた。インチャウスティは昨年ブエルタ総合10位、今年ジロ総合8位という成績を残している。
「ジロ以来の勝利。ブエルタでは振るわなかったので、良いカタチでシーズンを締めくくることが出来て本当に嬉しい。自分にとって特別な存在であるシャビエル・トンド(2年前にインチャウスティの前で事故死)にこの勝利を捧げたい」と勝者はコメントしている。
前日の第3ステージを終えた時点で総合9位につけていた西薗良太(チャンピオンシステム)は体調不調を押してスタートしたものの、途中リタイアに終わった。「朝から38度の熱がありましたが、こんなチャンスはないと思い、スタートはしました。でも、やはり調子が悪く、中盤の1級山岳で自転車を降りました。レース後の今は熱と吐き気があります。ドクターはウイルスの可能性もあると言いますが、自分としてはトレーニングをしていた鹿児島と、急に冷え込んだ北京との気温差にやられたような感じです。まだ今日は月曜日で、週末のジャパンカップまで時間があるので、食べられるものを食べて、ゆっくりと休んで回復に努めたいと思います」。
翌日の第5ステージは北京市内の鳥の巣スタジアムにゴールする117kmの平坦ステージ。大集団ゴールスプリントで5日間の闘いは締めくくられる。
ツアー・オブ・北京2013第4ステージ結果
1位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) 3h43'25"
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +03"
3位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング) +04"
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +06"
5位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) +11"
6位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード) +13"
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
9位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
10位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) +18"
112位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ) +16'41"
DNF 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)
個人総合成績
1位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) 17h11'50"
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +10"
3位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング) +13"
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +18"
5位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) +24"
6位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード) +26"
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
9位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
10位 ガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカルテル) +31"
ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
山岳賞
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
新人賞
ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)
チーム総合成績
モビスター
text:Kei Tsuji
photo:Graham Watson/Tour of Beijing, Sonoko Tanaka
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5〜6%の斜面を速いテンポで登るメイン集団。12.6kmの登りを進むうちにメイン集団は人数を減らし、リーダージャージのナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)は翌日の平坦ステージを見据えて早々に千切れて行く。
残り7kmを切ると、ベルキンプロサイクリングが積極的にリードするメイン集団からアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)やマルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム)、ジョシュア・エドモンソン(イギリス、スカイプロサイクリング)らがアタックを仕掛けたものの、ハイテンポを刻むメイン集団を引き離せない。
残り5kmの時点でメイン集団は40名ほど。続いてダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング)とヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード)が飛び出したが決まらない。世界選手権でアルカンシェルを手にした2人、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)とトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)のアタックも封じ込められた。
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「ジロ以来の勝利。ブエルタでは振るわなかったので、良いカタチでシーズンを締めくくることが出来て本当に嬉しい。自分にとって特別な存在であるシャビエル・トンド(2年前にインチャウスティの前で事故死)にこの勝利を捧げたい」と勝者はコメントしている。
前日の第3ステージを終えた時点で総合9位につけていた西薗良太(チャンピオンシステム)は体調不調を押してスタートしたものの、途中リタイアに終わった。「朝から38度の熱がありましたが、こんなチャンスはないと思い、スタートはしました。でも、やはり調子が悪く、中盤の1級山岳で自転車を降りました。レース後の今は熱と吐き気があります。ドクターはウイルスの可能性もあると言いますが、自分としてはトレーニングをしていた鹿児島と、急に冷え込んだ北京との気温差にやられたような感じです。まだ今日は月曜日で、週末のジャパンカップまで時間があるので、食べられるものを食べて、ゆっくりと休んで回復に努めたいと思います」。
翌日の第5ステージは北京市内の鳥の巣スタジアムにゴールする117kmの平坦ステージ。大集団ゴールスプリントで5日間の闘いは締めくくられる。
ツアー・オブ・北京2013第4ステージ結果
1位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) 3h43'25"
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +03"
3位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング) +04"
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +06"
5位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) +11"
6位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード) +13"
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
9位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
10位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) +18"
112位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ) +16'41"
DNF 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)
個人総合成績
1位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) 17h11'50"
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +10"
3位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング) +13"
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +18"
5位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) +24"
6位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード) +26"
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
9位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
10位 ガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカルテル) +31"
ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
山岳賞
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
新人賞
ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)
チーム総合成績
モビスター
text:Kei Tsuji
photo:Graham Watson/Tour of Beijing, Sonoko Tanaka