2013/09/30(月) - 00:35
東京国体ロードの舞台は奥多摩、その風張峠が勝負を決めた。少年は峠から単独で抜け出した山本大喜(奈良・榛生昇陽)が、成年は峠手前でアタックした窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁、マトリックスパワータグ)がそれぞれ独走して優勝。
成年 窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁、マトリックスパワータグ)がラスト20kmを独走して優勝 photo:Hideaki TAKAGI
少年 スタート photo:Hideaki TAKAGI今年の国民体育大会(国体)は東京都で行われている。自転車ロードは八王子市から奥多摩町へ、トラックは立川競輪場が会場。初日の9月29日(日)はロードレースが行われた。高校年代の少年と、それ以上の成年に区分、男子だけで行われ総合成績の天皇杯が競われる。点数はロードを含む個人種目が1位から8点、団抜きやチームスプリントはその3倍だ。
少年 37km地点のメイン集団 photo:Hideaki TAKAGI
ロードレースのコースは八王子市役所前をスタートし五日市から檜原村、奥多摩周遊道路で都民の森から風張峠を経て奥多摩湖へ下り小河内ダムがゴール。風張峠までの約900mのヒルクライムそしてゴールまで約600mのダウンヒルと10kmの平坦がポイント。上りが厳しく下りは踏まねばならない。峠を通過した順がゴール順位に大きく影響する。
少年 山本大喜(奈良・榛生昇陽)と仲村顕登(奈良・奈良北)が風張峠を越える photo:Hideaki TAKAGI
プレ国体である昨年の都道府県大会は、少人数のゴールスプリントを西村大輝(当時昭和第一学園高)が制した。同大会のロードは少年成年の区分が無く、ここで少年が優勝したことはトピックだった。少年は一本道をそのまま行く68.2km、成年は小周回と一部区間5往復を含む101.1kmで行われた。
少年:序盤から逃げた仲村顕登(奈良・奈良北)の粘り
少年は8時35分にスタート。1人2人の逃げはあるが吸収されて基本的に大集団で進む。アタックがなかなか決まらない序盤だったが、大田尚之(長野・中野立志館)と照井拓成(岩手・紫波総合)のアタックをきっかけに9km地点で仲村顕登(奈良・奈良北)が抜け出し、仲村が単独で集団を離していく。
少年 ラスト6km、ゴールへ向かう山本大喜(奈良・榛生昇陽) photo:Hideaki TAKAGI
メイン集団はこの逃げを容認し強豪選手たちが前を固めてコントロール。差は2分をキープする。奥多摩周遊道路に入っても差は1分半程度を保つ。メイン集団は山本大喜(奈良・榛生昇陽)が先頭に出てペースをコントロール、アタックを許さない。そして橋詰丈(東京・昭和第一学園)の仕掛けをきっかけに活性化。山本が先頭に出てこれに北野龍人(富山・水橋)が合流、2kmほど2人で走るがやがて山本が独走。先頭はまだ仲村が走る。
風張峠手前1kmほどで先頭の仲村に山本が追いつき2人で峠を越える。同県どうしの先頭だったが頂上付近のアップダウンで仲村が遅れ山本が単独先頭に。下りはほとんどペダルを回してスムーズにこなし後続との差を1分近くまで広げる。奥多摩湖沿いの平坦路もペースを維持して独走のまま優勝。今夏のインターハイに続くビッグレースの優勝だ。
少年 山本大喜(奈良・榛生昇陽)がラスト18kmを逃げ切って優勝 photo:Hideaki TAKAGI
少年 表彰 photo:Hideaki TAKAGI 「上りでマークされても勝てるだけの練習はしてきた」山本大喜(奈良・榛生昇陽)
優勝した山本は「チームメイトの仲村君が逃げて上りで自分がアタックするという作戦通りでした。仲村君が上れるのでそのまま優勝してもいいと彼を信用していました。上りでマークされても勝てるだけの練習はしてきました」と語る。
絶妙だったのは、先行していた仲村との合流地点を頂上付近に予定して、追走や自身のアタックのペースをコントロールしていたこと。全力で踏んだのは上りよりもむしろ下りだった。そして驚きだったのは仲村の粘り。9km地点から逃げ続け、後続が合流したのは下りきってから。そして4位入賞している。
成年 スタート前 photo:Hideaki TAKAGI成年:風張峠の8人の逃げ
成年は小周回や一部往復のあるコース。序盤は内間康平(沖縄・チームNIPPOデローザ)と榊原健一(愛知・中京大)の2人が逃げる。榊原はNIPPOで走ることもあるいわばチームメイト。しかしメイン集団はこれを吸収する。奥多摩周遊道路の上りで動きができる。上りのペースアップで集団が絞られる。
成年 途中で5往復する photo:Hitoshi OMAE
上りで最終的にできたのは6人の先頭集団。窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁、マトリックスパワータグ)、石橋学(青森・鹿屋体育大)、平塚吉光(静岡、愛三工業レーシングチーム)、飯野智行(群馬・宇都宮ブリッツェン)、池部壮太(大分・マトリックスパワータグ)、徳田優(京都・鹿屋体育大)。
風張峠の手前で窪木がアタック、差を広げて下りへ入る。ほかのメンバーは見送った者と追えなかった者が半々。いっぽうで後方からはいったん遅れた西村大輝(東京・シマノレーシング)と木村圭佑(京都産業大)が5人に合流する。先頭の窪木はそのまま踏み抜いて優勝。後続は西村先頭にゴール。
成年 風張峠へ向けて人数が絞られる photo:Hitoshi OMAE
「20kmを逃げることに自信はあった」窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁、マトリックスパワータグ)
窪木は「メンバーを見て単独で逃げるかゴールスプリントでいくか考え、単独で逃げることを選んだ。畑中さんと(山本)元喜が下がっていったので決めた。20kmを逃げることに自信はあった。ここで証明できてよかった」と嬉しさを語る。窪木はスプリント力もあるが個人TTで全日本3位、実業団で4位(日本人1位)のスピードマン。水物のスプリントよりも確実な逃げ切りを選択した。
成年 ゴールへ向かう窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁、マトリックスパワータグ) photo:Hitoshi OMAE
優勝候補だった2位の西村は「勝負どころに入る前に千切れてしまっていた。上り口で自分が仕掛けたけれどそれで自分の脚も売切れてしまった。峠で30秒差だったが下りを攻めて下りきりで追いついた。5人に追いついたけれど窪木さんがいなかったので先行していると思った」と冷静に分析する。
成年 西村大輝(東京・シマノレーシング)先頭に2位以下ゴール photo:Hideaki TAKAGI
結果
少年 68.2km
1位 山本大喜(奈良・榛生昇陽)1時間56分54秒
2位 北野龍人(富山・水橋)+43秒
3位 田窪賢次(大阪・茨木工科)
4位 仲村顕登(奈良・奈良北)+44秒
5位 佐々木文平(秋田・大曲農)+59秒
6位 樋口峻明(神奈川・横浜)+1分29秒
7位 今田崇史(山形・村山農)
8位 武智気吹(愛媛・松山中央)
9位 直井駿太(茨城・取手一)
10位 石上優大(神奈川・横浜)
成年 表彰 photo:Hideaki TAKAGI
成年 101.1km
1位 窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁、マトリックスパワータグ)2時間35分22秒
2位 西村大輝(東京・シマノレーシング)+43秒
3位 石橋学(青森・鹿屋体育大)
4位 平塚吉光(静岡、愛三工業レーシングチーム)
5位 飯野智行(群馬・宇都宮ブリッツェン)
6位 池部壮太(大分・マトリックスパワータグ)
7位 木村圭佑(京都・京都産業大)+44秒
8位 徳田優(京都・鹿屋体育大)
9位 山本元喜(奈良・鹿屋体育大)+2分06秒
10位 井上和郎(福井・ブリヂストンアンカー)
photo:Hitoshi OMAE、Hideaki TAKAGI
text:Hideaki TAKAGI
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ロードレースのコースは八王子市役所前をスタートし五日市から檜原村、奥多摩周遊道路で都民の森から風張峠を経て奥多摩湖へ下り小河内ダムがゴール。風張峠までの約900mのヒルクライムそしてゴールまで約600mのダウンヒルと10kmの平坦がポイント。上りが厳しく下りは踏まねばならない。峠を通過した順がゴール順位に大きく影響する。
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少年:序盤から逃げた仲村顕登(奈良・奈良北)の粘り
少年は8時35分にスタート。1人2人の逃げはあるが吸収されて基本的に大集団で進む。アタックがなかなか決まらない序盤だったが、大田尚之(長野・中野立志館)と照井拓成(岩手・紫波総合)のアタックをきっかけに9km地点で仲村顕登(奈良・奈良北)が抜け出し、仲村が単独で集団を離していく。
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風張峠手前1kmほどで先頭の仲村に山本が追いつき2人で峠を越える。同県どうしの先頭だったが頂上付近のアップダウンで仲村が遅れ山本が単独先頭に。下りはほとんどペダルを回してスムーズにこなし後続との差を1分近くまで広げる。奥多摩湖沿いの平坦路もペースを維持して独走のまま優勝。今夏のインターハイに続くビッグレースの優勝だ。
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優勝した山本は「チームメイトの仲村君が逃げて上りで自分がアタックするという作戦通りでした。仲村君が上れるのでそのまま優勝してもいいと彼を信用していました。上りでマークされても勝てるだけの練習はしてきました」と語る。
絶妙だったのは、先行していた仲村との合流地点を頂上付近に予定して、追走や自身のアタックのペースをコントロールしていたこと。全力で踏んだのは上りよりもむしろ下りだった。そして驚きだったのは仲村の粘り。9km地点から逃げ続け、後続が合流したのは下りきってから。そして4位入賞している。
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成年は小周回や一部往復のあるコース。序盤は内間康平(沖縄・チームNIPPOデローザ)と榊原健一(愛知・中京大)の2人が逃げる。榊原はNIPPOで走ることもあるいわばチームメイト。しかしメイン集団はこれを吸収する。奥多摩周遊道路の上りで動きができる。上りのペースアップで集団が絞られる。
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風張峠の手前で窪木がアタック、差を広げて下りへ入る。ほかのメンバーは見送った者と追えなかった者が半々。いっぽうで後方からはいったん遅れた西村大輝(東京・シマノレーシング)と木村圭佑(京都産業大)が5人に合流する。先頭の窪木はそのまま踏み抜いて優勝。後続は西村先頭にゴール。
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窪木は「メンバーを見て単独で逃げるかゴールスプリントでいくか考え、単独で逃げることを選んだ。畑中さんと(山本)元喜が下がっていったので決めた。20kmを逃げることに自信はあった。ここで証明できてよかった」と嬉しさを語る。窪木はスプリント力もあるが個人TTで全日本3位、実業団で4位(日本人1位)のスピードマン。水物のスプリントよりも確実な逃げ切りを選択した。
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結果
少年 68.2km
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2位 北野龍人(富山・水橋)+43秒
3位 田窪賢次(大阪・茨木工科)
4位 仲村顕登(奈良・奈良北)+44秒
5位 佐々木文平(秋田・大曲農)+59秒
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成年 101.1km
1位 窪木一茂(和歌山・和歌山県教育庁、マトリックスパワータグ)2時間35分22秒
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3位 石橋学(青森・鹿屋体育大)
4位 平塚吉光(静岡、愛三工業レーシングチーム)
5位 飯野智行(群馬・宇都宮ブリッツェン)
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9位 山本元喜(奈良・鹿屋体育大)+2分06秒
10位 井上和郎(福井・ブリヂストンアンカー)
photo:Hitoshi OMAE、Hideaki TAKAGI
text:Hideaki TAKAGI
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