2014/11/26(水) - 09:00
埼玉県さいたま市・秋ヶ瀬公園で2日間開催された「秋ヶ瀬の森バイクロア4」。アットホームな雰囲気で人気を呼び続ける、ナイスなシクロクロスイベントの様子を編集部・磯部が体験フォトレポートします。
「秋ヶ瀬公園」と聞いて「?」な方も、「彩湖のすぐ北側」と聞けばすぐに分かるかもしれない。埼玉県さいたま市、都心からクルマで30分という場所で開催されているシクロクロスイベントが「秋ヶ瀬の森バイクロア」。今年で4回目ながら、人気が人気を呼び、あっという間に一大イベントに成長した大会だ。
種目で分ければシクロクロスなのだが、今回会場を訪れて思ったのは、もとになる競技がたまたまシクロクロスだっただけであって、もはやバイクロアという一つのジャンル、または自転車祭りに進化したイベントなんだな、ということ。
会場には大手はもちろん、ハンドメイドやマイナー自転車工房系の出展ブースに加え、雑貨やアパレル、そしてクラフトのワークショップが軒を連ね、さらには多数の飲食店も。そしてそれらのほとんどが、地元埼玉の企業・ショップで、まさに「地元のお祭り」と言って差し支えない。
昨年に続いて最寄り駅からのシャトルバスの用意や、キッズ用のスペース"ベビロア"もあるからクルマを持たない方、家族連れにもフレンドリーだ。DJやMCも会場を盛り上げてくれるし、競技志向を全面に押し出す従来のシクロクロスとは全く違い、もっとポップで、カルチャーテイストな、「良い大人が思いっきり遊ぶ場」なのだ。
グラウンドの芝生や周辺のトレール、少しの舗装路、林のなかの小径をつないだコースは誰にでも走りやすいけれど、よく見ればあちこちにタイムを縮められるポイントがあって、ベテラン選手にとっても楽しい。コース途中に丸太が4つ転がってたり、大きな岩が鎮座してたり、「乗っていけるもんなら乗ってみろよ」といきなり堆肥の山がデデンと鎮座してたりする。公式レースだと怒られそうなレイアウトだが、別に良いのだ。だってバイクロアだから。
取材に訪れた初日土曜日のメインイベントは、90分間を交代しながら走る「チームラリー」2レース。午前中の部はCycleClub.jpが、午後の部はクロスピストンズがぶっちぎりで制したのだが、上位チームも含めて目を三角にして走っているチームはどこにも無し。仲間にヤジを飛ばしたり、突然コース脇に参加者による、参加者のための補給(半分イジメに近い)ピットが出現して笑いを誘ったり。とにかく楽しんだ人の勝ち、笑った人が勝ち、という雰囲気が会場全体を包んでいる。
さて、今年から始まった面白い試みの一つがその名も「カーゴバイクレース」。要項を見てみれば「スタートして、荷物を積み込み、ゴールを目指す!速さだけでなく、運んだ荷物の量も重要なカーゴバイクレース。荷物を運べる自転車ならかご付きのママチャリからトレーラー付きの自転車まで何でもOK!」とある。なんともバイクロア感に溢れたカテゴリーだ(笑)。
争うのは自転車に積んだ積載量で、運動会の借り物競走のごとく、コースに散らばった荷物をどれだけ積んで帰ってこれるか。着順は成績に関係無く、とりあえず制限時間内に帰ってこれればOKというゆるさなのだが、これがまた最高にイカしてた。
ちなみに優勝を決めたのは丸太4本、麻袋3袋、タイヤ1本をトレーラーにぶち込んだ「アラスカ」さん。なんでも普段からMTBのコース・トレイル整備のためにトレーラーを使っていて、今回は優勝を狙ってきたのだとか。初開催ながらわざわざバイクを仕立ててきた方もいて、来年はさらなる盛り上がりに期待できそうだ。
そして私・磯部は、コースを4人ずつ1周走り、勝ち上がり式で優勝を争う「ロケットレース」に参加してみた。最初の予選1組目は「シングルトラック前に先頭に立ち、フタをしてやり過ごす作戦」が成功して1位通過したものの、2レース目の準決勝でMTBエリートライダーと実業団ロードレーサーの前にあえなく敗退。それでも岩と丸太を乗車のままクリアしたり、負けなりに会場を湧かせることに成功し自己満足に浸った(☜ここ重要)のであった。
陽も傾く16時過ぎから始まる最終カテゴリーがKnogプレゼンツの「サンセットレース」。詳しくは我らが綾野編集長による昨年の参戦記を見て欲しいが、今年も会場のあちこちから「見えねー!」という笑い声が聞こえたり、電飾キラキラのサンタが走っていたり、キクミミさんが走っていたりと大変楽しかったのだ。
さて、こんなポップで堅苦しくない素敵なイベントを作っているのは、実行委員会の松原満作さん。バイクロアを始めるきっかけは、周りの自転車仲間と「地元埼玉で何かイベントをやりたいね」と思いついたことだそう。
「目指しているのは"地元の草レース"なんです。出展メーカーやショップ、フードもほぼ全て地元の会社。例えばアパレルブランド、ワークショップ…。ツリーハウス、バンド演奏といったアトラクション。普通の自転車イベントって、レースに出るお父さんしか楽しめないけれど、これならば家族揃って楽しいし、自転車イベントが家族にとっても楽しくなるじゃないですか。」とは松原さん。
この日は松原さんをはじめ、他のスタッフもカーゴバイクレースに出て楽しんだ。大会を運営しているスタッフが自ら楽しんでいるし、だから楽しい雰囲気が自然とできあがったのかな、と感じる。
松原さんは来年度の大会に関しても、「もっともっと楽しいことを仕掛けていきたいんです!」と意欲的だ。「今年はカーゴバイク選手権を始めて開催したけれど、とても良かったですね。競技としてみれば底辺ですが、この場所はもともと遊びに来ている方も多いから、たくさんの方の目に触れる。そうした方が参加してみたい!となって、自転車に興味を持ってくれば良いですよね。」と語ってくれた。
2日目はあいにく会場に脚を運ぶことができなかったが、日曜日にはバイクロア名物?のオウルクラスが開催され、大いに盛り上がったようだ。主催者さまより写真が届いたので、その一部紹介すると共にレポートを締めくくろう。笑いに満ちた、とても良いグラスルーツイベントだった。また来年も是非参加したい。
2日目のオウルクラスの模様(主催者提供)
text&photo:So.Isobe
「秋ヶ瀬公園」と聞いて「?」な方も、「彩湖のすぐ北側」と聞けばすぐに分かるかもしれない。埼玉県さいたま市、都心からクルマで30分という場所で開催されているシクロクロスイベントが「秋ヶ瀬の森バイクロア」。今年で4回目ながら、人気が人気を呼び、あっという間に一大イベントに成長した大会だ。
種目で分ければシクロクロスなのだが、今回会場を訪れて思ったのは、もとになる競技がたまたまシクロクロスだっただけであって、もはやバイクロアという一つのジャンル、または自転車祭りに進化したイベントなんだな、ということ。
会場には大手はもちろん、ハンドメイドやマイナー自転車工房系の出展ブースに加え、雑貨やアパレル、そしてクラフトのワークショップが軒を連ね、さらには多数の飲食店も。そしてそれらのほとんどが、地元埼玉の企業・ショップで、まさに「地元のお祭り」と言って差し支えない。
昨年に続いて最寄り駅からのシャトルバスの用意や、キッズ用のスペース"ベビロア"もあるからクルマを持たない方、家族連れにもフレンドリーだ。DJやMCも会場を盛り上げてくれるし、競技志向を全面に押し出す従来のシクロクロスとは全く違い、もっとポップで、カルチャーテイストな、「良い大人が思いっきり遊ぶ場」なのだ。
グラウンドの芝生や周辺のトレール、少しの舗装路、林のなかの小径をつないだコースは誰にでも走りやすいけれど、よく見ればあちこちにタイムを縮められるポイントがあって、ベテラン選手にとっても楽しい。コース途中に丸太が4つ転がってたり、大きな岩が鎮座してたり、「乗っていけるもんなら乗ってみろよ」といきなり堆肥の山がデデンと鎮座してたりする。公式レースだと怒られそうなレイアウトだが、別に良いのだ。だってバイクロアだから。
取材に訪れた初日土曜日のメインイベントは、90分間を交代しながら走る「チームラリー」2レース。午前中の部はCycleClub.jpが、午後の部はクロスピストンズがぶっちぎりで制したのだが、上位チームも含めて目を三角にして走っているチームはどこにも無し。仲間にヤジを飛ばしたり、突然コース脇に参加者による、参加者のための補給(半分イジメに近い)ピットが出現して笑いを誘ったり。とにかく楽しんだ人の勝ち、笑った人が勝ち、という雰囲気が会場全体を包んでいる。
さて、今年から始まった面白い試みの一つがその名も「カーゴバイクレース」。要項を見てみれば「スタートして、荷物を積み込み、ゴールを目指す!速さだけでなく、運んだ荷物の量も重要なカーゴバイクレース。荷物を運べる自転車ならかご付きのママチャリからトレーラー付きの自転車まで何でもOK!」とある。なんともバイクロア感に溢れたカテゴリーだ(笑)。
争うのは自転車に積んだ積載量で、運動会の借り物競走のごとく、コースに散らばった荷物をどれだけ積んで帰ってこれるか。着順は成績に関係無く、とりあえず制限時間内に帰ってこれればOKというゆるさなのだが、これがまた最高にイカしてた。
ちなみに優勝を決めたのは丸太4本、麻袋3袋、タイヤ1本をトレーラーにぶち込んだ「アラスカ」さん。なんでも普段からMTBのコース・トレイル整備のためにトレーラーを使っていて、今回は優勝を狙ってきたのだとか。初開催ながらわざわざバイクを仕立ててきた方もいて、来年はさらなる盛り上がりに期待できそうだ。
そして私・磯部は、コースを4人ずつ1周走り、勝ち上がり式で優勝を争う「ロケットレース」に参加してみた。最初の予選1組目は「シングルトラック前に先頭に立ち、フタをしてやり過ごす作戦」が成功して1位通過したものの、2レース目の準決勝でMTBエリートライダーと実業団ロードレーサーの前にあえなく敗退。それでも岩と丸太を乗車のままクリアしたり、負けなりに会場を湧かせることに成功し自己満足に浸った(☜ここ重要)のであった。
陽も傾く16時過ぎから始まる最終カテゴリーがKnogプレゼンツの「サンセットレース」。詳しくは我らが綾野編集長による昨年の参戦記を見て欲しいが、今年も会場のあちこちから「見えねー!」という笑い声が聞こえたり、電飾キラキラのサンタが走っていたり、キクミミさんが走っていたりと大変楽しかったのだ。
さて、こんなポップで堅苦しくない素敵なイベントを作っているのは、実行委員会の松原満作さん。バイクロアを始めるきっかけは、周りの自転車仲間と「地元埼玉で何かイベントをやりたいね」と思いついたことだそう。
「目指しているのは"地元の草レース"なんです。出展メーカーやショップ、フードもほぼ全て地元の会社。例えばアパレルブランド、ワークショップ…。ツリーハウス、バンド演奏といったアトラクション。普通の自転車イベントって、レースに出るお父さんしか楽しめないけれど、これならば家族揃って楽しいし、自転車イベントが家族にとっても楽しくなるじゃないですか。」とは松原さん。
この日は松原さんをはじめ、他のスタッフもカーゴバイクレースに出て楽しんだ。大会を運営しているスタッフが自ら楽しんでいるし、だから楽しい雰囲気が自然とできあがったのかな、と感じる。
松原さんは来年度の大会に関しても、「もっともっと楽しいことを仕掛けていきたいんです!」と意欲的だ。「今年はカーゴバイク選手権を始めて開催したけれど、とても良かったですね。競技としてみれば底辺ですが、この場所はもともと遊びに来ている方も多いから、たくさんの方の目に触れる。そうした方が参加してみたい!となって、自転車に興味を持ってくれば良いですよね。」と語ってくれた。
2日目はあいにく会場に脚を運ぶことができなかったが、日曜日にはバイクロア名物?のオウルクラスが開催され、大いに盛り上がったようだ。主催者さまより写真が届いたので、その一部紹介すると共にレポートを締めくくろう。笑いに満ちた、とても良いグラスルーツイベントだった。また来年も是非参加したい。
2日目のオウルクラスの模様(主催者提供)
text&photo:So.Isobe
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