2023/05/29(月) - 09:00
イタリアの首都ローマで繰り広げられたスプリントバトルを、大会中に引退発表したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)が制す。前日に総合大逆転を演じたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が第106代ジロ・デ・イタリア総合優勝者に輝いた。
イタリア北部ドロミテ山塊での個人タイムトライアルを終えた選手たちは、飛行機に乗り終着地点のローマに向かって約700kmの大移動。そしてジロ・デ・イタリア最終日としては5年振りとなる平坦ステージが、午後3時30分にスタートした。
アブルッツォ州フォッサチェジーアでのスタートから、3週間を走り抜いた選手たちやマリアローザ、その他の特別賞ジャージの凱旋レースという意味合いの強い大会最終日。前日のステージで総合優勝を実質的に決め、ピンク色に染められたサーヴェロ S5に跨るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)を先頭にパレード走行が始まった。
コースは今大会3度目のティレニア海に至った後、選手たちは再びローマの市街地に戻ってくる126km。フォロ・ロマーノやサンピエトロ大聖堂など数々の名所の前を通る13.5kmコースを6周し、最後は白熱の集団スプリントが繰り広げられる。
第1週目と2週目に続いた雨による体調不良やマリアローザ候補をも襲ったCOVID-19の流行、落車による怪我などで続々と選手が姿を消した今大会。そんな中でも最後まで8名のまま、マリアローザを射止めたユンボ・ヴィスマが横一列になりフォトタイム。開幕4日前に急遽出場が決まり、最終日のローマにたどり着いた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)の笑い声も聞こえるなか、125名の選手たちがゆったりと距離を縮めていった。
ログリッチは前日に激闘を繰り広げたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)と言葉を交わし、マリアネーラ(総合最下位:最終的に5時間26分45秒遅れ)のニコラス・ダッラヴァッレ(イタリア、チーム・コラテック)と握手を交わすシーンも。現役最後のジロでマリアアッズーラ(山岳賞)を獲得したティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)はワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)と笑顔を見せながら、いよいよ集団スプリントに向けてレースが動き始めた。
ファーストアタックが生まれたのは残り69km地点から。共にプロ15年以上のベテラン、マキシム・ブエ(フランス、アルケア・サムシック)とチェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)に、今大会何度も逃げに乗ったトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)を加えた3名が、ローマの大観衆の前で逃げ集団を形成した。
最大40秒のリードを奪った先頭グループだったが、厳しい山岳ステージを乗り越えたエーススプリンターを擁するモビスターやチームDSM、アスタナ・カザフスタンが先頭に牽引役を送ったため、それ以上拡大することはなく最終周へ。直後に3名は捉えられ、メカトラで遅れた総合7位エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)も問題なく復帰。スプリントに向け一気に緊張感を高めていく。
トーマスの安全確保のためイネオス・グレナディアーズが先頭で人数を固め、今大会4度も2位に入りブレイクしたデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)がアタック。最終日でも見せ場を作ったジーによる仕掛けをイネオスが引き戻し、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)を擁するモビスターが先頭へ。
「元チームメイトへの早めの引退プレゼントだった」と語るトーマスがマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のためアスタナ・トレインの先頭で牽引するシーンもありながら、サンピエトリーニ(ローマ特有の石畳)が敷き詰められた最終ストレートに突入する。先頭でリードアウトするアンドレア・パスクアロン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の背後にマリアチクラミーノのジョナサン・ミラン(イタリア)はつくことはできず、逆にそれを利用したガビリアが残り300mからスプリントを開始した。
しかしガビリアのトップスピードは持続せず、別ラインから勝利を目指したミランは力なく踏みを止める。フィニッシュ手前150mでガビリアの背後からカヴェンディッシュが並び、残り100mで先頭へ。後方ではパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)らの落車もありながら、後続に4車身ほどのリードをつけたカヴェンディッシュがフィニッシュラインを駆け抜けた。
今シーズン初勝利をジロ最終日に飾ったカヴェンディッシュ。「とても嬉しい。ここにたどり着くまでのジロは長く、厳しいものだった。その途中で何度か勝利に迫った。チームメイトによる素晴らしい走りに加え、友人(トーマス)も手伝ってくれた。感動したよ」とコメント。「僕が初めてグランツールで勝利を挙げたのは2008年のジロ。レッジョ・ディ・カラブリアでの勝利だ。そしてここローマで挙げた勝利は本当に美しい。本当に嬉しい。本当に嬉しいよ」と、カヴェンディッシュはジロ通算17勝目をそう喜んだ。
そして両手で観客を煽り、ガッツポーズを作ってフィニッシュしたログリッチが総合優勝。「昨日の出来事もあり色々な感情が駆け巡った。いまの思いを言葉で表すことは難しいが、一生忘れない記憶となった。いまだジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たした実感はないが、自分たちの力を信じ、チーム一丸となって戦ったことがこの素晴らしい結果に繋がった」と、表彰台で再度マリアローザに袖を通したログリッチは語っている。
マリアチクラミーノ(ポイント賞)は大会2日目から最後まで保持したジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が獲得。マリアアッズーラ(山岳賞)にはピノ、マリアビアンカ(ヤングライダー賞)は総合3位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が着用し、総合敢闘賞には合計4度の区間2位に加え、ポイント賞と山岳賞でも2位のジーが輝いている。
そしてジロ最終日を114位(総合123位)でフィニッシュした新城は、チーム総合成績でトップとなりローマの表彰台に上がった。
イタリア北部ドロミテ山塊での個人タイムトライアルを終えた選手たちは、飛行機に乗り終着地点のローマに向かって約700kmの大移動。そしてジロ・デ・イタリア最終日としては5年振りとなる平坦ステージが、午後3時30分にスタートした。
アブルッツォ州フォッサチェジーアでのスタートから、3週間を走り抜いた選手たちやマリアローザ、その他の特別賞ジャージの凱旋レースという意味合いの強い大会最終日。前日のステージで総合優勝を実質的に決め、ピンク色に染められたサーヴェロ S5に跨るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)を先頭にパレード走行が始まった。
コースは今大会3度目のティレニア海に至った後、選手たちは再びローマの市街地に戻ってくる126km。フォロ・ロマーノやサンピエトロ大聖堂など数々の名所の前を通る13.5kmコースを6周し、最後は白熱の集団スプリントが繰り広げられる。
第1週目と2週目に続いた雨による体調不良やマリアローザ候補をも襲ったCOVID-19の流行、落車による怪我などで続々と選手が姿を消した今大会。そんな中でも最後まで8名のまま、マリアローザを射止めたユンボ・ヴィスマが横一列になりフォトタイム。開幕4日前に急遽出場が決まり、最終日のローマにたどり着いた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)の笑い声も聞こえるなか、125名の選手たちがゆったりと距離を縮めていった。
ログリッチは前日に激闘を繰り広げたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)と言葉を交わし、マリアネーラ(総合最下位:最終的に5時間26分45秒遅れ)のニコラス・ダッラヴァッレ(イタリア、チーム・コラテック)と握手を交わすシーンも。現役最後のジロでマリアアッズーラ(山岳賞)を獲得したティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)はワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)と笑顔を見せながら、いよいよ集団スプリントに向けてレースが動き始めた。
ファーストアタックが生まれたのは残り69km地点から。共にプロ15年以上のベテラン、マキシム・ブエ(フランス、アルケア・サムシック)とチェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)に、今大会何度も逃げに乗ったトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)を加えた3名が、ローマの大観衆の前で逃げ集団を形成した。
最大40秒のリードを奪った先頭グループだったが、厳しい山岳ステージを乗り越えたエーススプリンターを擁するモビスターやチームDSM、アスタナ・カザフスタンが先頭に牽引役を送ったため、それ以上拡大することはなく最終周へ。直後に3名は捉えられ、メカトラで遅れた総合7位エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)も問題なく復帰。スプリントに向け一気に緊張感を高めていく。
トーマスの安全確保のためイネオス・グレナディアーズが先頭で人数を固め、今大会4度も2位に入りブレイクしたデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)がアタック。最終日でも見せ場を作ったジーによる仕掛けをイネオスが引き戻し、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)を擁するモビスターが先頭へ。
「元チームメイトへの早めの引退プレゼントだった」と語るトーマスがマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のためアスタナ・トレインの先頭で牽引するシーンもありながら、サンピエトリーニ(ローマ特有の石畳)が敷き詰められた最終ストレートに突入する。先頭でリードアウトするアンドレア・パスクアロン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の背後にマリアチクラミーノのジョナサン・ミラン(イタリア)はつくことはできず、逆にそれを利用したガビリアが残り300mからスプリントを開始した。
しかしガビリアのトップスピードは持続せず、別ラインから勝利を目指したミランは力なく踏みを止める。フィニッシュ手前150mでガビリアの背後からカヴェンディッシュが並び、残り100mで先頭へ。後方ではパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)らの落車もありながら、後続に4車身ほどのリードをつけたカヴェンディッシュがフィニッシュラインを駆け抜けた。
今シーズン初勝利をジロ最終日に飾ったカヴェンディッシュ。「とても嬉しい。ここにたどり着くまでのジロは長く、厳しいものだった。その途中で何度か勝利に迫った。チームメイトによる素晴らしい走りに加え、友人(トーマス)も手伝ってくれた。感動したよ」とコメント。「僕が初めてグランツールで勝利を挙げたのは2008年のジロ。レッジョ・ディ・カラブリアでの勝利だ。そしてここローマで挙げた勝利は本当に美しい。本当に嬉しい。本当に嬉しいよ」と、カヴェンディッシュはジロ通算17勝目をそう喜んだ。
そして両手で観客を煽り、ガッツポーズを作ってフィニッシュしたログリッチが総合優勝。「昨日の出来事もあり色々な感情が駆け巡った。いまの思いを言葉で表すことは難しいが、一生忘れない記憶となった。いまだジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たした実感はないが、自分たちの力を信じ、チーム一丸となって戦ったことがこの素晴らしい結果に繋がった」と、表彰台で再度マリアローザに袖を通したログリッチは語っている。
マリアチクラミーノ(ポイント賞)は大会2日目から最後まで保持したジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が獲得。マリアアッズーラ(山岳賞)にはピノ、マリアビアンカ(ヤングライダー賞)は総合3位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が着用し、総合敢闘賞には合計4度の区間2位に加え、ポイント賞と山岳賞でも2位のジーが輝いている。
そしてジロ最終日を114位(総合123位)でフィニッシュした新城は、チーム総合成績でトップとなりローマの表彰台に上がった。
ジロ・デ・イタリア2023第21ステージ結果
1位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) | 2:48:26 |
2位 | アレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード) | |
3位 | フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ) | |
4位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM) | |
5位 | アレクサンダー・クリーガー(ドイツ、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
6位 | ジェイク・スチュワート(イギリス、グルパマFDJ) | |
7位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター) | |
8位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | |
9位 | アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
10位 | キャンベル・スチュアート(ニュージーランド、ジェイコ・アルウラー) | |
14位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
32位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
114位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:11 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 85:29:02 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:14 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:15 |
4位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +4:40 |
5位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | +5:43 |
6位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +6:05 |
7位 | エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) | +7:30 |
8位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +7:31 |
9位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +7:46 |
10位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ) | +9:08 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 217pts |
2位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | 164pts |
3位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | 101pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 237pts |
2位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | 200pts |
3位 | ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) | 164pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 85:30:17 |
2位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +4:50 |
3位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +6:16 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 256:21:18 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +16:22 |
3位 | ユンボ・ヴィスマ | +30:40 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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